第33話 誕生日と不良グループ再び③
「お、おう。で、どうなるんだ?」
疑問を返してくる。これは興味が出てきた証拠だ。それを見た僕はさらに作戦を話す。
「蓮野内君への恋心が敗れた女性2人にあなたたちがアタックするんですよ。これから話す内容は極論ですよ? あなたたちで相談してアタックする女性を被らないようにしたら、うまくいけば3つのカップルが成立するかもしれないってお話です」
「マジか? そんなことがありえるのか?」
男性陣は
「その方法はあちらの女性陣とも一緒に話したほうが、分かりやすいと思います。あなたたち5人で話し合って、相談していくことが今後おそらく沢山でてくるからです。それはあちらの女性3人とあなたたちが話す機会が増えるってことです。お目当ての女性の好感度をあげていく絶好のチャンスだと思いませんか?」
「けどよ。そんな卑怯な作戦ってありなのか?」
ちょっと心は傾きかけてるな、と判断した僕は最後の一押しを試みる。
「『恋愛と戦争は手段を選ばない』と言っていた偉人もいます。恋愛は戦いです。戦わずに得られるものなんて世の中にはないんですよ?」
「マジか。そんなことをいってる奴がいるのか」と男性陣は迷いだす。この2人は不良ぽい
気は引けるけど、僕と
「これから先はあなたたち次第です。僕の大筋の作戦は以上です。もし僕の作戦にのりたいなら、そのままスマホの録画を続けてください」
にっこり笑って僕は続ける。
「そうでもしないとこんな卑怯な作戦を考えるやつは、とてもじゃないけど信用できない。そうでしょう? 今から10秒、待ちますね。どうするかスマホの録画を続けるか、やめるかで教えてください」
僕は神様にまたしても祈りを捧げることになる。上手くいった試しなんて夏祭りの時くらいだったけど、ここまできたら神頼みだ!
「10秒、9秒、8秒、7秒……」
どんどん時間はなくなっていく。男性陣は迷ってるみたいだ。頭に手をあて悩む姿を見る。けれども平等に時間は進む。
「3秒、2秒、1秒……0秒」
10秒はとうの昔に過ぎ去った。男性陣2人はスマホの録画を止めてはいなかった。まだ悩んでいる男性陣にトドメを刺す。
「それじゃぁ、僕の作戦にのるってことでいいですね?」
「「お、おうよ」」
迷っていたみたいだけど、男性2人の様子はスマホで全て録画済みだ。
僕も含めて3人でスマホの録画をしましょうと提案した真の目的は、僕がこの男性陣と話した内容を疑われることなく証拠に残すためだ。この話し合いは、僕にとってはマイナスになる要素はないからだ。
男性陣2人の印象が悪くなる可能性はめちゃくちゃある。けれども最悪どこかにこの証拠を持ち出されても、(5人の不良グループのメンバーに絡まれて、東海林さんも守らないといけないと思って必死だったんです)と言えば済むと僕は考えた。
こんな腹黒としかいいようがない側面が、自分にあったのをみるのは正直いって複雑だ。けれども、これから平和に学園生活を続けていくためには仕方ないと割り切った。僕とそして東海林さんを守るためだ。
こちらの男性陣の話し合いはひとまず終了だ。これから先は僕と東海林さん、そして5人の不良グループ全員で話し合う必要がある。
さっきよりもさらに不安そうな顔をしている東海林さんに「落ち着いて、大丈夫」と小声で
3人の不良女性陣も話し合いは済んだ様子だ。僕たちの話し合いが終わるのを待ってたようだ。
「3人様の話し合いは終わりましたか?」と僕は問いかける。
「ああ、決まったさ」と女性陣のリーダーぽい人は答える。
「じゃぁ、これから先の僕の話を聞きたい方はスマホで録画してください。それが参加するという意思表示と僕は判断します。どんな罠があるかも分からないこの話し合いにおいて、動画は証拠になる。でも僕には皆さんからの信用がない。不安だからこそ、お互いにとって必要でしょう?」
と言いながら僕は不良グループ5人が上手く画面いっぱいに入るようにスマホを調整する。そして全員スマホを録画状態にして話し合いを開始だ。
「皆さん、『蓮野内君のこれからについての話し合い』に参加するということでいいですね?」
「「「いいわよ」」」
「「おうよ」」
上手い具合に全員をスマホで撮影できた。
「では、僕の作戦を話しましょう。蓮野内君の好きな女性は東海林さんのような人です。目指すのは東海林さんの容姿ですよ。具体的には『蓮野内君の好きなタイプは長い黒髪の
と僕は考えた作戦を説明しだすのだった。
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