第24話 夏祭り①
昨日は
「よっ! おっはよー、
「あ、東海林さん、おはよう」と僕もいつも通りの挨拶だ。
東海林さんはほんとうにいつも通りだ。緊張するけど、ならば僕もいつも通りを貫こうと思った。変に意識すると東海林さんの憧れの王子様の話をした時のように、ぎくしゃくした感じになっちゃうもんね!
そうだ、そうに違いない。
僕はそう納得することにした。いつも通りを続ける。
「期末テストも近いね! ちゃんと勉強してる?」と東海林さんは期末テストの話題を出してきた。
「ここのところ本当に本が読めてないんです。期末テストの勉強を真面目にする訳がないじゃないですか?」
「余裕だねぇ。赤点の心配とかないの? 学年1位だと余裕になるの?」
「中間テストの勉強を通して傾向と対策はしっかり考えました。中間テストと体育祭で全然、本を読めてないんです。勝負もないんですから僕は本を読みたいんです!」
僕はグッと手を握りしめる。東海林さんは
「将来なりたいものとかって五十嵐君にはないの?」
「将来なりたいものですか? 特にないですね」
「夢がないなー! もっと頑張りたまえよ、五十嵐君!」
東海林さんはニッシッシと笑う。いつも通りくるくる変わる表情をみてるだけでも楽しいなって思ってた。
「そういう東海林さんはどうなんですか? 将来なりたいものってあるんですか?」となんとなく聞いてみた。
「私? 私はね……看護婦さん、かな?」って東海林さんはにっこり微笑んだ。
「へぇ。白衣の天使ですか? 東海林さんなら確かに似合いそうですね」とナース姿の東海林さんを想像してたら
「パン!」
と東海林さんに叩かれた。
「……鼻の下、のばしすぎ」と言って、んふふーって東海林さんは笑ってた。
「
そんな話をしていたら学校に着いた。
席に座り教室の様子をぼんやり見てみると、
まぁ、昨日の状態の後じゃすぐには立ち直れないよねぇ、なんて思って僕は蓮野内君を見ていた。
◇
授業が終われば、放課後は図書室に
しばらく僕は自分の好きなことをして毎日を過ごした。そして期末テストが始まってあっという間に終わった。そうすれば僕たちを待っていたのは、学生の特権といっていい夏休みだ!
◇
そして夏休みが始まった。近所の図書館に行って本を読みまくる日々だ。去年まではこの生活に満足してた。けれど今年は何か寂しいなと思っている僕がいた。
いつも隣にいた東海林さんがいない。違いはこれだけ。僕は東海林さんをやっぱり好きなんだと実感した。
本を読んでも身が入らない夏休みが続いた。
「兄貴、最近元気ないね。なんかあったの?」
なんて妹の
「ん、なんかね。やる気がね。でないんだよねぇ」
と煮え切らない返事をしてた僕に綾香は頬に手をあてて考えた。
「じゃぁ、明日さ。お祭りがあるから一緒に行こうよ! 気分転換になるんじゃない?」
綾香の話を聞いて
「そういえば明日はお祭りあるんだったっけ。本を読むのも気分がのらないから行ってみるか~」
猿田島公園の近くに
「じゃあ、明日はお祭りに行こう行こう! 兄貴! 気分転換だよ!」
兄の僕に気を使ってくれるとはなんて良い妹だ。僕の自慢の妹である。お小遣いもちょっと持って行って、何か屋台の食べ物でも
「じゃぁ、明日の17時にお祭りに行こう!」
予定を打合せして綾香と一緒にお祭りに行くことにした。東海林さんと連絡先を交換しておけばよかったとつくづく後悔した僕だった。そしたら3人で仲良く行けたのになんて思ってた。
このことを前田さんに話したら、たぶん(君は、ほんとにそういうところが
とにもかくにも僕は普段使いしている服を着た。英語のロゴプリントされた半袖Tシャツにジーパンの簡単な装いだ。夏のうだるような暑い日がもうちょっと涼しくなればいいのになぁ、と思いながら綾香を待つ。
やはり綾香も女の子というべきか、17時の予定をすぎても準備が終わらないようだ。準備が終わったのは17時20分くらい。やっとおめかしが終わったらしい。
母さんと一緒に玄関にやってきた綾香は、綺麗なたくさんの星の刺繡のついた青い浴衣を着ていた。ボブカットの黒髪に赤いかんざしがアクセントになっている。頬をちょっと赤く染めてる姿を、なかなか
「ほらほら、こういう時は感想をいってあげるのよ?」なんて母さんに言われた。
「ああ、そうだね。綾香、似合ってるよ、その浴衣」
「ありがとう」と言いつつ綾香は照れた様子だ。
おめかしして照れてる綾香を見てると、父さんがコロッと
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