第20話 体育祭②
種目はどんどん消化されていく。
「バスケットボール!」
バスケットボールは
とりあえず東海林さんと前田さんの試合を応援することにした。東海林さんもかなり頑張っている。パスをつなぎボールを前に進める。前田さんにボールを集め、綺麗なレイアップシュートで確実に点を取っていく。
レイアップシュートをさせたら、前田さんはほぼ100%決めてみせた。そういう
そして東海林さんたちのチームのバスケ部員の背の高い女の子はリバウンドをきっちり取る。これがやはり大きい。相手チームとのボールの所持率が全然違う。
ゴール下に侵入させず無理な体勢からシュートをさせて、ゴールを決める確率をさげる。そしてこちらはリバウンドを確実にとりすぐに反撃だ。
相手がゴール下に戻る前に素早く前田さんが動いてボールをもらい、レイアップシュートできっちり決める。
試合の状況はこちらが圧倒的に有利となった。前田さんがシュートを打てば点が入る。守りも固くゴール下にボールを持った相手は入ってこれない。無理なシュートを打ってきても、リバウンドはこちらがボールを確保して反撃開始。
負ける状況は考えられなくなった。そしてうちのチームが勝利する。
「「いい感じ!」」
と二人の感想も息もぴったりだ。
そしてバスケットボールの決勝戦に駒を進めた。
ここまで勝ち上がってくる敵チームだ。相手は3人がバスケ部員だ。バスケ部員のドリブルを止めるのは、正直むちゃくちゃ難易度が高い。
あんなの止められるのか? と疑問に思うレベルだ。うちの学校って運動系の部活が強いんだねぇと素直に思った。
こちらのバスケ部員は2人だ。その2人と前田さんの3人で相手のバスケ部員に対処する。どうなるかヒヤヒヤしながら僕は見守っていた。
試合は混戦となった。どっちも点を入れて入れられのシーソーゲームになった。点差は開かない。けれど中盤を過ぎたあたりからだろうか? じりじりと相手の方がシュートを決める回数が増えてきた。
200メートル走、バレーボール、ソフトボールをしてきたせいだろうか。前田さんの動きが悪くなった。
体力がなくなってきたんだろう。これは運動量が大きいバスケットボールだと仕方ない。しかも相手はバスケ部員だ。
色んな種目を連戦しすぎだったんだろう。そんな中、前田さんを少しでもフォローしようと東海林さんは頑張る。けれどバスケ部員を相手だとさすがに分が悪い。
それでも諦めない東海林さんだった。敵チームとゴール下でぶつかって吹き飛ばされてしまい、膝や肘にすり傷を作ってしまったようだ。でも幸いそれほど大きなケガでもなかったのだろう。へこたれずコートを走り回って頑張っていた。
僕も知らず大きな声を出してた。東海林さんと前田さんを声を張り上げ応援した。けれども勝負は負けてしまい2位となった。でも2位だ。充分、頑張った。
東海林さんも前田さんも負けて残念そうにしていたけど、こればっかりは相手が悪かったとしか言いようがない。
「惜しかったけど頑張ったね!」と僕は明るく話しかける。
「強かったね~」と東海林さんは相手を称賛する。
「バスケ部員3人はさすがに止められなかったな~」と前田さんは悔しがる。
二人の健闘をねぎらっていると、ひときわ大きな黄色い声援が上がる。どうやら蓮野内君を含めたうちのチームは1位になったようだ。ほんとに蓮野内君は無茶苦茶な規格外だなーと僕は思った。
そして充分に休む間もなく次の競技が始まる。
◇
「卓球!」
卓球は前田さんの出番だ。連戦しすぎだろうと僕は思った。とはいえ、棄権してしまえば優勝は遠のく。
東海林さんはケガの手当てに保健室へ行っている。今は前田さんを応援だ。前田さんの卓球はカットマンだ。
ピンポン玉の回転を巧みに操り、相手にまともに打たせない。温泉卓球レベルは全て蹴散らした。勝負相手にならなかった。
普通に打ったら明後日の方向に飛んでいくピンポン玉でとんとん拍子で勝ち上がる。そしてほとんどの相手は温泉卓球レベルだ。速攻で勝負は決まるので前田さんには休む時間がたっぷりできた。
床に座り息を整え前田さん体力回復をさせていく。なんだかんだ言いつつも、しっかり準決勝まで残っていた。
東海林さんはなかなか帰ってこなかった。どうしたのかねぇと思っていた。それでも時間はすぎて前田さんの試合は始まった。
カットマンの前田さんを相手に戦える選手なんて卓球部員くらいのものだ。そして今の相手は卓球部員だ。当然、簡単には点を取らせてくれない。
前田さんは粘る。相手のミスを誘う戦いをしていた前田さんだけど、相手はなかなかミスをしない。
相手も疲れが見えてきた。気力を振り絞って前田さんは戦った。いぶし銀の戦いを続けた前田さんはきっちりサーブを決めて勝利してみせた。
けれどもさすがに決勝戦は体力がなかったし相手は卓球部員のエースだった。ストレート負けだった。けれども、充分な成績だと僕は思った。
「前田さん大活躍!」と僕は称賛する。
「ほんと! 頑張ったね!」と東海林さんもいつの間に帰ってきたのか前田さんを
「きつかった。たはは~」なんて前田さんも笑ってた。残る種目は100メートル走と僕の出場種目の野球だ。僕は頑張るのみと気合を入れるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます