第8話 ロームとエリス

 婚約破棄を見事掴み取ったロームは、エリスと共に居た。



「エリス……やっと君に会えた。ごめんね、こんなに待たせてしまって」

「婚約が決まったと聞いた時はもうローム様と会えないかと思いましたが……こうして、私のために相手の方と協力して婚約破棄までしてくださるなんて……私、嬉しいです」

「当たり前だ。俺が愛しているのはエリスだけなんだから。何がなんでも、君との未来を掴み取るに決まっている」



 久しぶりに会うことのできた恋人に、今までの顛末をロームは話していた。エリスは、もう会えないと思っていたロームが目の前にいることで涙ぐんでいた。



「もう大丈夫。エリス、俺と結婚をしよう?」

「ええ、もちろんですわ」

「ありがとう。もう君以外と婚約することなんて、絶対にないから」

「……分かっています。ありがとう、ローム」



 ロームはエリスを力強く抱きしめた。エリスもロームを受け止めた。二人は会えなかった時間を温もりで埋めるように、抱き合っていた。


 二人は婚約を誓い、あっという間に時は流れた。


 二人は誰にも邪魔されることなく幸せに暮らしていた。



「……アンさんも相手と幸せになれたのかな」

「きっと、そうですよ」



 ロームとエリスはそんな会話をして、いつもの日常に戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

婚約破棄して幸せを掴みます 翠月 歩夢 @suigetu-ayumu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ