第4話 旗取 後半
4話 旗取 後半
「あっ、いたぞ」
俺はリアムを見つけて、ケンと共に急いで向かった。
「おっ、ベベとケンか」
「ああ、これ持ってきたぞ」
俺は戦利品の相手の荷物をリアムに渡した。
「どうだったんだ?」
「ビルはやられたけど、3人倒した。その内の一人は"マッド・マスティフ"だからでかいと思
う」
リアムはその話を聞いて、驚きながら
「まじか、こっちが一番警戒してたのを落とせたのはでかいな」
「それで、そっちは?」
「こっちはとりあえず偵察に来た8人を倒した。でも、5人やられた」
「そうか」
つまり、俺達は6人脱落したが、11人脱落させたことになる。
人数的にもこっちが有利になっている。
「俺たちが一歩リードしている。とりあえず、俺たちの作戦が刺さっている」
「じゃあ、順調ってことでいいのリアムちゃん」
ケンの問いかけにリアムは頷いた。
「んっ、悪いエヴァから連絡がきた」
リアムは無線を聞きながら、「うん」や「ああ」と相槌を打っていた。
「とりあえず、拠点の設置が終わったみたいだけど、お前達とは別の偵察組の四人と連絡が
取れなくなってしまったみたいだ」
脱落者のアナウンスはされない。
だから、脱落した人を確認するすべは目で確認する。
もしくは、無線で連絡を取り返事が返ってこなったら脱落と判断する。
事前にエヴァさんから伝えられていた。
つまり、こっちは4人脱落したことになる。
ケンが
「じゃあ、10人脱落しちまったのか。あんまり、差がないな」
「いいや、偵察組が何人かはやっているかもしれないから、そうとはいいきれない」
と、リアムが答えた。
「とりあえず、俺はモモにこの事を教えてくよ」
「それがいい」
俺は無線で現在の状況を報告した。
「って、感じだけどそっちは?」
『ちょうどいいや、今相手の拠点から4人北にでっていったから、そっちに多分くるから準
備しとけよ』
「ああ、リアムにいっとくよ」
俺は無線を切って、リアムに報告した。
リアムは
「おっけー、だったらそいつらを倒そう」
そう言い、近くの高台へ行った。
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「クッソー、Dクラスが不利だな」
コヨーテは自分のクラスが不利な事で嘆いていた。
実際Dクラスの偵察組は全員Bクラスにやられて、脱落してしまった。
Bクラスの状況を知るために追加で人員を出さなければいけない状況だ。
「それにしてもお前らのクラス大丈夫か?」
「何がだ?」
「だってよー、高台のおかげで有利な待ち伏せしてるけど、3つもいらないだろ。ポイント
足りのか?」
Bクラスは拠点の少し離れた位置に高台を隠して設置した。
高台のおかげで有利に戦闘をして、相手の偵察組を倒していった。
高台は今回の買える物の中でそれなりに高いほうである。
それを3つも買っているため、相当使っていることになる。
その為、他の物はほとんどかえていない。
「まあ、長引けばこっちが不利だろうな」
「ああ、そういうことだな」
そんな話をしているとDクラスの後からでた偵察組の内二人がBクラスにやられてしまった。
「これで、Bが10人。Dが14人か」
「4人かー」
そんなことを話しながら俺達は中継を見ていた。
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"旗取り"が始まってから10時間経った。
始まりは朝の7時、今は17時となっている。
あと、1時間もすれば夜になる。
とりあえず、こっちの状況を話さないとな。
俺は無線で、
「こちら、バトラー。聞こえるか」
エヴァに連絡をした。
『ええ、聞こえる。どんな感じなの?』
「とりあえず、観た感じあれから、何人か拠点から出て色々やってるみたいだぞ」
『色々って?』
「罠とか、どこに俺が隠れているか探してっるて感じだな」
『それって、大丈夫なの?』
「さっき、一つ見たけど、罠は一番安かった音が出る奴だった」
ポイントで買える罠もいくつがあったが、Dクラスは高台など他の出費のせいで買えなかっ
たんだろう。
俺達も大分ポイントを使っているため買えていない。
『そう。それで、返り討ちにはできなかったの?』
「おいおい、無茶言うなよ。銃を持っているかもしれない奴らが3,4人で廻ってんだぞ。不
意で一人くらいやれても、その後やられちまうわ」
『そうね、偵察がいなくなっちゃうのも困るしね』
「まっ、そういうわけだ」
『それじゃあ、相手の拠点に罠にかからずに行けるルートを探してくれる』
「了解」
俺はエヴァから指示を受け行動に移った。
とりあえず、作戦までそんなに時間がない。
急がねえとな。
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リアムと共に、高台で待機しているとエヴァから無線が来た、
『全員準備して、作戦通りに。バトラー君が終わり次第にいくわよ』
そう指示が来た。
「よし、きた。速くしようぜ」
寝転がって退屈にしていたケンが飛び上がった。
「モモが終わったらな」
「あっ、そうか」
ケンはすぐ落胆して座ったが、リアムが
「まあ、モモなら速く終わらすだろうし、そんなにかからないだろうよ」
「そうだよな」
ケンは少し嬉しそうに反応した。
無理もない。
さっきまで、ただずっとここで待機して何もせず何時間も経っている。
正直暇だった。
ケンの性格にはきついだろうな。
「じゃあ、ベベこいつ」
リアムは俺に袋を渡してきた。
「おう、あんがと」
「頑張れよ」
そう言われ俺は準備した。
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「ガット、そろそろ日が沈むぞ」
僕が旗の近くで守っていると、話かけられた。
「そうだね、準備させないと」
「それもそうだがよ、俺たちの近くを探っている奴どうすんだ?」
「探してるけど中々見つからないんだよ」
「大勢で探しに行ってるからだろ。だから、ばれるんだ。俺が一人でいってきてやるよ」
そう、自信満々に言ったのは"チャド・ボルゾイ"だ。
金髪の長い髪を後ろで団子状にまとめており、爽やかな男で、クラス内で最も人気である。
自信過剰な性格ではあるが、全体で9位の好成績で、実力もきちんとある。
「いや、相手はマシューを倒した人だから一人は危ないよ」
それでも、訓練内で一番強い男を倒した人達だ。
一人で倒そうとするのは難しいだろう。
それで、今Dクラスで一番の実力者まで落ちたら勝てなくなってしまう。
「だから、チャド君はこれからの夜戦に備えておいてよ」
「ああ、そうだな。わかったよ」
そう言い、チャド君はこれから必要になる暗視スコープやスーツを取りに戻った。
僕たちDクラスは拠点の周りに罠を置き、その近くや敵が通る場所に待機して、相手を倒し
て、人数差を有利にして、押し切るのが作戦だ。
簡単でシンプルだと思うけど、嵌れば強いと思う。
問題は相手が夜の間に攻めてこないと意味がないが、相手も昼間の内には偵察こそあったけ
ど攻めてはこなかった。
向こうの偵察をしているメンバーに聞くと、相手もテントなどを張って待機しおり、内と同
じように夜かもしれないと報告があった。
内もメンバーの主力を昼間のうちには休ませておいた。
だから、Bクラスも夜に動いてくる。
攻めてくるか、同じように守りに入るかのどちらかだろう。
でも、こっちが現在負けているから、その調子で一気に攻めてくるかもしれない。
そっちの方がありがたい。
「おい、準備できてきたぜ」
そんなことを考えていると、チャド達筆頭の夜戦組が準備を終えた。
「うん、わかった。だったら配置に行こう」
日が沈み始める夕方がもう近い。
そろそろ準備したほうがいいだろう。
ウーウーウー、ウーウーウー、ウーウーウー
という大きなサイレン音が鳴り響いた。
罠が作動したのだろう。
「おっ、来たんじゃないか?」
「そうだね。とりあえずそこの4人で見てきて」
そう指示すると、4人は音の方向に行った。
「わざわざ行くのか?そういう罠じゃないだろ」
「うん。でも、わざとらしいからね」
「どこが?」
「だって、相手には僕たちを見張っている人がいたのに、罠に気づいてないわけないじゃな
い。夜にまたバレないように仕掛けなおそうとは思ってたけど、このタイミングで引っかか
るのはあやしいよ」
「確かに、言われてみれば」
「だから、本命は別にいるんじゃないかな」
そんな考えをチャドに話した。
それに、作動した罠とわ逆の方向は一番攻められやすい場所だ。
警戒に越したことはない。
『二人いました』
見に行ってきた人かた連絡があった。
「わかった。とりあえずそのまま見張ってて、こっちが動いたら倒せるようにしといれ」
『はい』
連絡を終え、次に高台組に連絡をした。
「作動した罠とは逆の方向をよく見てくれる」
そう、指示をだしてしばらく待つと。
『いました。10人以上はいます。その中にリアム・アレンも』
やっぱり、本命はこっちか。
「わかった。そのまま、待機で」
「考え通りだったみたいだが、どうすんだ?」
「引っかかた罠の方向に10人向かわせよう」
「いいのか」
「うん、偵察の人は見つけられなくても場所は限られてるし、その人達に見つからないよう
に相手の本命の部隊の後ろに回り込ませて、挟み撃ちの形にしよう」
「なるほど」
「本命の部隊感出すために、チャド君が率いて」
「わかった。ならすぐ行ってくるな」
僕はマップを開き、偵察がいると検討している場所を教え、前あり込むルートを示した。
そして、直ぐにチャドが率いる10人は出発した。
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『どんな感じだ?』
リアムから無線が来た。
「音の罠の方向に最初に4人が行って、その後に10人行った。けど、死角に入られて追えて
はいない」
『ばれたのか?』
「細かい位置とか人数はばれてないと思うけど、大まかにはわかってるな」
まあ、それはしゃあない。
相手の拠点の位置と高台のせいで一人偵察するには場所が限られてすぎてるし。
「それと、一応罠作動させた二人は下げてはいる」
『そうだな』
「まあ、相手がどう動くにしてもリアム達はそのまま真っ直ぐだな」
『ああ、わかってる。お互い頑張ろう』
「ああ」
そう、連絡を取り合った。
俺もそろそろいくかないとな。
俺は、着替えて言われた場所へと向かった。
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罠が作動してから30分。
もう、日が沈みかけてあたりは薄暗くなってきている。
お互いの顔が認識しずらくなってくる「黄昏時」だ。
『相手の部隊が指定の場所にきたぞ』
チャドから、連絡が来た。
「わかった」
そのまま、罠の方へ行った4人にも連絡し。
「それじゃあ、作戦通り行こう」
『『了解』』
指示をした。
今現在僕たちは、罠を見に行った4人・チャドが率いる10人・高台を見張る4人が外に出てい
る。
そして、連絡が取れなかった人が14人。
拠点には18人となる。
相手の偵察がこのことを伝えていれば、拠点の人数が少なくチャンスと考えているはずだ。
その状態で、罠に引っかかた部隊が襲われ脱落が分かれば、チャンスだと考え、相手の部隊
が攻めてくる。
そこを挟み撃ちをする。
もし、相手の確認できていない部隊が他にいてもチャド達の部隊で挟み撃ちができる。
それに、周りにも色々と細工はしている。
ここを乗り切れれば流れはこっちのものになる。
『二人落とせた』
4人組から連絡が来た。
「了解」
返事をし、しばらくすると、
『こっちにも動きがあったぜ』
やはり、リアムが率いている部隊も動き始めた。
「向かい討とう」
そう、Dクラス全体に連絡をした。
近くにいるものは頷き、Dクラス全体が一つとなった。
そして、リアムが率いている部隊が見えた。
「多くないか?」
想定では10人のはずだったが、それよりも明らかに多いい。
20人はいないか。
『悪い、ガット』
「どうしたの?」
『リアム達が拠点の方に走り始めたら、近くからギリースーツを来た集団も合流した』
それであの人数か。
「あれ、あの服って」
『そう、リアム達の部隊は俺たちDクラスの服や無線をつけてた』
俗に言うなり変わりをBクラスは行っていた。
半年もいれば顔の認識ぐらいつく。
それに、相手の無線をつけても電源の有無でばれる。
なり変わり自体たいして意味がない。
しかし、黄昏時であの人数での乱戦。
混乱が起これば見逃すこともあり、そのまま旗を獲る。
これがBクラスの作戦か。
でも、
「やることは変わらない。無線の電源やゼッケンで相手かを判断しよう。ここで勝とう」
そう、指示をして。
BクラスとDクラスの戦いが始まった。
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「これがDクラスの作戦ってわけか。知ってたのか?」
コヨーテが聞いてきた。
「いいや」
そもそも教官は今回の訓練に原則関わってわいけない。
知らなくて当然である。
「まあ、ポイントの購入から夜まではかからないとは思ってたが」
Bクラスの購入した物の中には夜を越すためのライトといった物がなかった。
夜を越さない事を考えれば、そういった物を買わなくとよくなる。
その分他の物を買えるようになる。
しかし、夜になってしまえば暗闇の中過ごさなければいけなくなり、相手が準備しているな
ら、負けるのは必然だろう。
これで、決められないならBクラスは負けだろう。
映像を見ると、どちらも一歩も譲らない。
まさに乱戦だ。
お互いに、脱落者を何人も出している。
「こう見ると、この試験はやっぱり戦争みたいだな」
コヨーテはそう言ったが、
「こんなもんじゃない」
と、俺は否定をし、感染を続けた。
始めは奇襲によってBクラスが有利せはあったが、落ち着きを取り戻したDクラスは人数差で
押し始めている。
「時間が経ちすぎたな」
「ああ」
コヨーテの言う通り奇襲から5分程経っている。
元々人数差がある戦いだ最初の勢いのままいけないのなら奇襲の意味はない。
このまま策がないなら負けるのはBクラスだ。
「んっ、一人動いた」
映像を見ると、バトラーが動き始めた。
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こっちの人数が大分減っちまった。
でも、それは相手も同じ。
落ち着き始めている。
俺はリアムに目線を向けた。
リアムは頷き、リアムが率いた部隊は一気に攻め込んだ。
相手の防衛はそれに反応して守りを固めていった。
俺はリアム達とは反対側へと移動した。
周りを確認し、狙うなら今。
俺は周りを避けながら、旗の方へとへと向かった。
旗の周りの一人をナイフで倒して、一気に旗へと近づいた。
「んっ!」
しかし、近づききれず、ガットに阻まれてしまった。
「くっ」
「そりゃあ、警戒するよ」
そう言いながら、ナイフで攻撃を始めた。
「特に君やアレン君はね」
リアムの方を見ると、チャドが対応していた。
ガットのナイフを捌きながらガットを足で払って地面に倒した。
そのまま、止めを刺そうとした時に、
バンッ!!
『脱落です』
機械音が俺の無線から聞こえた。
どうやら俺は後ろから他の奴らに撃たれたようだ。
俺はすぐにガットを放して、邪魔にならないようにその場から離れた。
リアムの方を見てみると囲まれていた。
何人も相手に健闘していたが、後ろからナイフでやられ脱落してしまった。
「よっしゃー、アレンもやったぞ」
チャドが大きく叫べ、さらに
「このまま押切ぞー-」
「「「「おー---」」」」
クラス全体を鼓舞した。
『ブー、試験終了』
突然終了のアナウンスが流れた。
その場にいた全員が呆気にとられ、固まってしまった
「あっ?なして」
チャドが困惑して旗の方を見た。
俺もDクラスの旗を見ると
チャドが困惑した声を挙げ、Dクラスのゼッケンと無線をつけた人が旗を獲っていた。
「えっ、何してんだお前?てか、違うんじゃ」
と、なおさら困難していたが、旗を獲った奴に近づくと、
「おっ、お前誰だ!!」
どうやら気づいて、叫び始めた。
旗を獲った奴の顔をよく見てみると、Dクラスの人物ではなく、我らBクラスのベベである。
「どういうことだ?だってコイツの無線は」
チャドは動揺している。
それは、ベベがつけている無線はDクラスの物で電源がついていたからだ。
「それは、多分一人は脱落させないで捕まえたってことだよね?」
と、ガットは尋ねてきた。
「ああ」
俺は頷きながら答えた。
おそらくリアム達が偵察してきた一人を縄で縛り、捕まえ、獲得した。
「そんなのありなのか?」
「ありだよ。考えられない手ではないけど」
その通りで思いつく奴は思いつく、それでも問題がある。
「なり代わり自体、顔を見られたすぐにばれるし、顔なんか隠したなおさら」
クラスの仲は昨日今日の物でもなく4か月も続いている。
話したことのあるなしや顔と名前が一致しないはあっても顔を知らないなんてことは起こら
ない。
特に旗を守る人はそういう人を配置する。
だから、なり代わり自体強くはない。
だが、それも状況次第だ。
「これが、Dクラスの作戦?」
「ああ、そうだ」
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<6日前>
「それで、作戦どうする?」
三人で講堂を借り、再び話し合いを行った。
今回はどうやって勝つかの作戦だ。
「とりあえず、ポイントのリストの感じ夜戦を想定して考えないと」
暗視スコープやライトの有無で夜戦の有利不利が大きく変わる。
できるだけ多く保持しときたいが、
「別に想定しなくてもいいんじゃないか?」
俺は別の提案をしてみた。
「どういうことだ?」
リアムは反応し、エヴァも顔をこちらに向けた。
「詳しくは考えてないけど、夜戦のことも考えたり、長期戦を考えると資源が大量に必要に
なって、ポイントが足りなくなっちゃう。だから、夜になる前に決着をつけるように作戦を
考えれば、ポイントも色々使えるようになるんじゃ」
俺は自分の意見を言った。
「確かにいいかもしれないけど、夜前なら相手の人数もそこまで減ってないだろうし、防衛
のための準備でいっぱいいるんじゃにか?」
その通りだ、多分一日も時間もあるんだから、ゆっくりと相手の人数を減らしていくのが得
策なのだろう。
「でも、いいんじゃないかしら。試験の次の日は休みだし、その日に決着をつけられれば、
丸一日休みになることだし、試せることは色々あるんじゃない」
「ああ、夜まで色々やるもは大変だし、めんどくさいからな。決められないなら負けの方が
わかりやすくていいんじゃないか」
「まあ、そうだな」
「まっ、その線で少し考えてみましょう」
と二人は納得をし、考え始めた。
「それだったら、なり代わりの奇襲で一気に決めてみる?」
エヴァはそう言った。
様は、顔の判別が難しい黄昏時に相手のゼッケンや無線をつけて一気に攻め込む。
相手の判別がゼッケンや電源の有無で判別するように誘導させる。
そして一人が事前に相手を捕らえて、電源の付いた無線を手に入れてどさくさで、旗を獲る
という作戦だ。
「ギャンブルみたいな作戦だな」
俺もリアム同様にそう思ったが、
「でも、いいんじゃないか。夜までに決めるなら奇襲だろうし」
「ああ、だな」
「でしょ、それじゃあこれで行きましょう」
これで作戦の本筋が決まった。
「それで、旗を獲るヒト人をどうするかだけど」
エヴァが話を進めた。
重要な役目を誰にするかだ。
順位が高いエヴァやリアムが実力的には適任だが、
「ここにいる三人以外、できれば50位以内に入っていない奴で上位の奴だな」
と、リアムが言った。
俺達が50位以内の相手を警戒するように、向こうもしているはずだ。
だから、そこに入っていない人の方が適任だろう。
それだったら、
「ベベでいいんじゃないか?」
「ベベってベイカー君?」
「ああ」
べべは50位以内に入ってはいいが、所々の個別のランキングでは入ったりしてる。
50位以内の奴とそこまで大差はないと俺は思っている。
「いいんじゃないか、よく仕切ったりして責任感ある奴だし、他の奴も信頼してるし、任せ
られる」
リアムも賛同してくれた。
「二人が推すなら私もいいと思う」
その後は細かい内容やポイントの使い道を決め、俺たちの作戦が決まった。
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「そう、やられたよ」
ガットは手を差し出しため、俺はそれに答えて握手をした。
チャドは悔しそうにしていたが、リアムと握手をした。
それぞれがそれぞれを称え、今回の"旗取"を終え、俺たちは寮へと戻った。
寮の戻るとエヴァやその周りの甘未好きがはしゃいでいたが、コンゴウ教官が、
「ケーキは明日の夜だ」
と、一言残してどこかに行くと、全員が消沈してしまった。
どっちでもいいだろうと思いながらも、俺達は消沈した奴らを慰めていった。
次の日は、ここに来て初めての一日丸々休みとなった。
午前だけ訓練といったことはあったが、全休は初だ。
部屋でゆっくりしてたが、マッドがリベンジマッチで突撃をしてきて大変だった。
それ以外のもリアムに呼ばれ、向かうと、Dクラスの奴らがいて色々話した。
敵同士だったが、なんだかんだ今回の試験を通して仲良くなった気がした。
そして、夜になって、念願のケーキを食べることになった。
全員が初めて生で見、はしゃぎながら食べた。
初めてのケーキの味は今まで食べた物の中で一番甘く、一生忘れられないほどのおいしさだ
った。
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