28話 不届き者を成敗します

とりあえず天井と正面側の木箱を吹き飛ばしていただけますか?


「えーと…吹き飛ばすの…?」


はい、吹き飛ばして向こうから来ていただきましょう。カーラは吹き飛ばすのと同時に認識阻害をかけつつ奥の方へ。おそらくこちらに向かってくるのが大半でしょうけど一部は他の人たちのところに行くはずでしょうから。


「まぁ派手にやれば外の待機組も突入してくる合図にもなるし丁度いい…のかな…?」 


「はい。それにあの程度のゴロツキ2~3人ならカーラでも十分無力化できますし。」


有事には魔獣、普段の訓練では私とマックスを相手にしているんですから余裕でしょう。とはいえ丸腰というのもアレなの小型魔導銃デリンジャーを渡しておきましょうか。


「いくら腕が立つといっても正直魔獣やティアさん達より強いってことは中々ないですもんね。でも人相手だとあまり加減がわからないので気を付けます。弾は鎮圧用の雷撃弾スタンバレットですよね?」


「ホントにあなたは私達をなんだと…まぁいいわ、ちょっと弱いゴブリンくらいで生け捕りにすると思ってかかりなさい。装弾数は2発だけど一応10発渡しておくわ。大丈夫だとは思うけど気を付けてね?」


「はい。生け捕りなら多分こっちの方が手っ取り早いのでなるべく使わないように頑張ります!」


というとカーラの義手からバチバチと音を立てて電撃が迸っています。確かにこれで触るだけでオークくらいなら軽く昏倒するでしょうね。

さて、作戦も決まったらこんな所に長居は無用ですね。


それではお嬢様と…


「ヴィルでいいよ」


「ヴィル様は障壁の展開を、お嬢様は木箱を吹き飛ばした後はヴィル様の障壁の上から障壁の重ね掛けをお願いいたします。他の皆様は決してヴィル様の障壁から出ないようお願いいたします。」



さて、不心得者達にはしっかりと反省してもらいましょうか。




「それじゃあいっくよー!」




ズドォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!



粉々に吹き飛んでいく木箱、私達の周りには障壁が展開されているので破片すら当たりませんが…。流石お嬢様、効果範囲もしっかり設定して木箱だけを吹き飛ばしましたね。これだけ盛大に遮音結界ごと吹き飛ばせば外の紅竜姫の皆さんも気づくでしょう。



「な…何事だ!?貴様ら何をした!?」


あ、先ほどの身なりのいい男を先頭にひぃふぅみぃ…やはり20人程度がこちらに来たようですね。


「このような汚い場所は未来の紳士や淑女を招待する場として相応しくないので帰らせていただこうかと思いまして。あ、エスコートは結構です。貴方がたのような者が近づいていい方々はありませんので。無論お引止めいただいた場合は押し通らせていただきますが。」


「どうやって魔力封じの枷を外したのかはわからんがこの人数から逃げられると思うなよ?大人しくしてりゃ悪いようにはしねぇさ。」


「この際多少の怪我は構わん!もう一度捕まえてしまえ!」



例の子爵の叫び声と共に下卑た笑いを浮かべながら護衛のゴロツキが一歩踏み出したところで…




ズドン!




「ガァァァァァァァッ!!!!」


雷撃弾スタンバレットを一発。金属弾頭じゃないので死にはしませんがこの硬質スライム弾頭と雷撃の組み合わせは一発でオークも昏倒しますからね。


「んなっ…!?怯むな!相手はたった2人!数で押し切ってしまえ!」


馬鹿な方ですねぇ…。子爵ともなれば戦で陣頭指揮を執ることもあるでしょうに…相手の事も良く見えていないようでは味方の敗走は決まったようなものですね。


「うし、大した事ないのはわかったからさっさと片付けちまうかぁ。」




――――――――ここからマリン目線―――――――――




あーあ、痛そー…。あれは前世で言うところのゴム弾とテーザーガンの組み合わせみたいなもんだから俗にいう「死ぬより痛い」ってヤツだ。

さて、イケショタの障壁の上から重ね掛けしてっと…。それにしてもあのコンビはいつみてもほれぼれする連携だよなぁ。てか取り囲まれているとはいえこの人数相手ならティア1人でもいけるんじゃ…。


てかもう随分とウィンチェスター使いこなしてるね。蹴り飛ばしながらスピンコックとかもう普通にできてるし…。こうして観察してるとやっぱりティアは足技が主体の体術だねぇ。本人も義足の重さに任せて蹴り飛ばしてたって言ってたけどよくあのゴシックスタイルのメイド服でやってのけるよなぁ…あれで背が高ければホントに某マンガのキリングメイドだよ。

あー、そういえばアレの続き読んでなかったなぁ…確か某国の諜報員のメガネのお姉さんの話がまだ途中までしか読めてない…。


マックスはマックスで魔法刃を雷属性にしているらしく軽く当てるだけで次々にゴロツキさん達が気絶していく。しかも多分斬れないようにしてるよね?ビームソードってよりはライト〇ーバーって見た目だし剣ってよりは電磁警棒みたいな感じかな。


なんて事を考えながら観戦を決め込んでいると


「ハハッ、すごいねぇ。アレが噂のバルドフェルト候の戦闘侍従隊コンバットバトラーかぁ。特にあの2人は兄様が欲しがるワケだよ。」


イケショタことヴィル君がはしゃいでいる。そのお兄様とやらは2人の同級生とかだったのかな?誰であろうとあげないけどね!

そんな感じでジト目を向ける。


「大丈夫、彼らはきっと君の元からは離れないから。兄様もそれは重々承知しているからこそ悔しいみたいだ。それにしてもあの魔導銃もセンスがいいね。ウィンチェスターのスピンコックなんて。」


ん?なんか今ものすごく引っかかる言い方だったような…。まぁいいか。

数分後最後の1人が気絶した。これであの貴族だけになったね。


「こ…こんな事をしてタダで済むと思うなよ!?まだこっちには人質だっているんだ!やつらの命が惜しければ大人しくしrギャァァァァァァァァァ」


あ、カーラが後ろから電撃食らわせた…カーラは認識阻害が得意だからキリングメイドってよりアサシンメイドだよねぇ。ここに戻ってきたって事は無事に救出できたのかな?そして貴族が倒れると同時に外から大勢の人が駆け込んでくる足音が聞こえる。


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