27話 メイドさんと騎士さん達打ち合わせをします

お嬢様がアホの子を黙らせてくれたおかげでその後の話は楽に進みました。それにしてもお嬢様…ご立派になられて…。いけないいけない、感慨に浸るのは後にしましょう…。

とりあえずさっきの見張りから渡された鍵を使って皆さんの拘束を解きます。お嬢様曰く王国製の魔導具ではないようなのでさっきの物と一緒にあとで工房に持って行って解析してもらいましょう。そうでなくても持っていかなければルーティさんがうるさいでしょうし。


「さて、それでは脱出いたしましょうか。露払いは私とマックスが、あとは合図を出せば外から味方が来ますのでその方々と合流しましょう。」


お嬢様が見つかったならこんな所に長居は無用ですしそろそろ衛兵隊も到着している事でしょう。


「すまんティア、なんか獲物貸してくれ。急いで出て来ちまったし剣はまだ預けたまんまなんだわ。」


まったくマックスは…といっても私も普段使っている収納じゃなく容量の低い物に魔導銃と弾丸を入れている程度と伝えると…。


「げ、まいったな…。まぁ格闘もできねぇわけじゃないし最悪奪うか…。」


なんて話しているとお嬢様が


「オリハルコンナイフだったらティアの右脚に入ってるんじゃない?」


あ、そうでした。これなら魔力伝導率も高いですしマックスの魔法剣にも丁度いいですね。


「お、サンキュー。あとで返すわ。」


「失くさないでよ?お嬢様からいただいたナイフなんだから。」


マックスにナイフを預けて私は魔導銃の準備を。お嬢様を誘拐したという事実だけで万死に値しますが黒幕も暴かねばなりませんし弾は硬質スライム弾頭に雷属性を付与した盗賊撃退用の雷撃弾スタンバレットにしておきましょう。


「それじゃあ行きましょうか。貴族の子女の皆様には刺激が強すぎますし今回はなるべく殺さない方向にしましょう。彼らにはまだまだ余罪もありそうですし…。」


「あー、そうなるかぁ。属性付与した魔法刃得意じゃないんだよなぁ…。護衛やらお付きさんやらも救出しなきゃならんだろうしもしもの場合はそんな事いってらんねぇけどな。」


そういえば一部の人を除いて護衛だったり侍従がいませんね…。こことは別の区画にいるのでしょうか…。


「ここにいるのは魔力がそこそこ高い人みたいで他の人はまた別の販路があるとか言ってたから無事じゃねぇかな?」


「それなら私も行きます。認識阻害は割と得意な方ですしお二人が引き付けている間に探しておきます。それにお二人が出るとなるとお嬢様が障壁でここを保護しないと危ないですし…。」


カーラ…私達を災害かなにかと勘違いしてない…?


「それなら僕もここの障壁の補助をしましょう。これでもそれなりの魔法教育を受けているし障壁系の術に関しては一家言ある家の者です。」


と奥から金髪金眼の将来は女性に困る事のなさそうな成長をするであろうおそらく受験生と思われる男の子が名乗りをあげました。それにしてもこの子どこかで…


「なぁティア、なんかに似てねぇか…?」


マックスに聞かれて納得しました。それなら障壁系の術に一家言あるというのも納得ですね。

「あぁ、なるほど…多分当たりでしょうね…。お嬢様といい彼といいここまで来ると誘拐犯のアホさ加減に少し同情してしまうわ…。あの子爵とやらは本人の極刑で済めばいいわねぇ…。」


「確かに。良くてお家断絶、悪くて一族郎党…ってところかねぇ。」


それでは彼とお嬢様にここの守護は任せて私・マックス・カーラで誘拐犯の捕縛と他の皆さんの救出という事に致しましょう。


「それでどうする?まぁ30人くらいなら俺たち2人だけでもどうにかなるだろうけど一応外の連中にも花は持たせてやんねぇとな。」


そうですね。多分彼がここにいるという事は捜索が大掛かりになっているでしょうし騒ぎになれば突入してくる向こうの皆さんのメンツもあるからほどほどにしておきましょうか。



それでは手始めにお嬢様、天井と正面側の木箱を吹き飛ばしていただけますか?


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