24話 メイドさんと受験後の一騒動

遅い。

とっくに筆記は終わっているはずですし面接の順番が遠方から来ている受験生が先と言っても流石に遅すぎる。


「流石に遅すぎるので探しに行きましょう。マックスは馬でアカデミーへ、私は工房の方を見てきます。」


試験終わりに工房に寄ってそのまま捕まっているだけなら良いのですが…

工房の前までマックスに乗せてもらいマックスはその足でアカデミーへ。


「チェインさん!お嬢様はこちらに来ていませんか!?」


「今日は来てないけど…何かあったの?」


私が血相を変えて走りこんできてチェインさんの発言で工房内の空気がピリっとしました。事情を説明すると


「そういえば最近王都内での誘拐事件が多発してるって言ってたわね…。貧富の差を問わず魔力保持量が多い人が狙われてるとか。」


二人とも魔力保持量はそれなりにありますけどお嬢様を誘拐できるとは結構な実力を持った人間かそれなりに強力な魔導具を使用した可能性が高いですね…。


「ダメだ、アカデミーを馬車で出たところから足取りがわからねぇ。ルーティがたまたま帰るところ見たらしいが御者と馬車が普段と違ったみたいだから誘拐された可能性が高いな。」


マックスも工房に戻ってきて状況を教えてくれました…ってちょっとルーティそこで止めなさいよ!


「しょうがねぇだろ、今日に限っては同じような送迎が多いんだ。アカデミーの手持ちじゃ足りなくて外部に委託してたらしい。」


確かに…ここでルーティを攻めてもしょうがないです…。お嬢様に限ってはこんな事にはならないだろうとどこかで油断していました…。



「お嬢様…というかカーラちゃんの場所なら探せるかもしれないわよ?」


わかるんですか!?


「お嬢様と新作の魔導具の話をしてて微弱な固有魔力を感知して場所を特定するっていうのを考えてたの。まだ小型化には至ってないから試しにカーラちゃんの義手に発信側を仕込ませてもらってたのよ。細かい場所まではまだ厳しいけど大まかな場所ならいけるわよ。」


本来はもっと小型化してネックレスサイズにするつもりで用途は今回のようなケースだったり貴重品の輸送の際に使う予定だそうです。


「すぐにそれは使えますか?」


「もちろん。試験が終わったらお嬢様に確認してもらえるようにしてたからね!」



別室に移動すると水晶のテーブルのような物がありました。


「えっと…とりあえず縮尺を王都周辺の地図に合わせて…」


チェインさんが王都の地図をそれに重ねて場所を調整します。


「まだ受信側の小型化に至ってはいないから持ち運びはできないんだけどね。この緑の点がこの受信機の場所、それで…あった!この点滅しているのがカーラちゃんの場所!南地区にある倉庫街…かな?」


ありがとうございます!


といってドアを蹴破るくらいの勢いで開けたところで…


「なんかあったのかい?」


と声をかけてきたのは紅竜姫のケイさんです。義肢が新しくなっているのを見ると例のモニター用のが完成したんでしょうか。

事情を説明し先を急ぐ旨を伝えると…


「なら私達も一緒に行かせてもらおうか、ちょうど試運転したいと思ってたところだし、あんたやお嬢様にも恩がある。それにギルドの方にも誘拐事件情報が欲しいって依頼が来てたからね。」


助かります…。というワケで工房の人に王都邸への言伝をお願いし私・マックス・紅竜姫の皆さんの6人で倉庫街を目指します。




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