21話 お嬢様とメイド見習いと第一寮
本棟に負けないくらいの大きな建物、第一寮が見えてきた。本棟も大きかったけどこっちもすごいねぇ…。
「はい、約1000人の生徒を収容しかつ生活に必要な食堂なども中にあるためこの位の大きさになっています。生徒が一気に押し寄せるとパンクしてしまうため食堂は2か所、シャワーは各部屋と大浴場は各フロアにあり、あとはそこそこの人数が入れる談話室が各フロアにあります。入口についてはメインエントランスと各コースごとに入口があり、これはメインエントランスに人が集中するととんでもない事になるからですね。」
コースごとに分けてるのは学年ごとにしちゃうと時間で集中しちゃうからかな?
「その通りです。部屋については1・2年生が4人、3〜5年生が2人で1部屋を使うようにしてあります。部屋割りはコース・身分を問わずごちゃまぜに配置して学園生活が終わっても続くような人脈を築いていただければと思っております。」
けっこうその辺りは考えてるんだね。貴族・平民の差だけじゃなく爵位でも上下があるからそこの人脈作り如何によっては将来にかなり影響しそう。
「あ、ルーティ先生こんにちわー!」
元気な声が聞こえて女の子4人組がこっちに向かってきた。
「あらこんにちわ。どこかの帰り?」
「はい、街に少し買い物に行ってきました!その子達は新入生ですか?」
まだ試験前だから厳密に言えば違うけど…
「はじめまして、試験前の見学をさせていただいてますマリンと申しますこっちはカーラ、もし入学できたらお世話になります。」
道中でルーティさんから基本的には家名は名乗らず名前で名乗ると言われていたのでそれに倣って名前のみ。これは家名で身分を気にしてしまうことが無いようにと定められたルールらしい。
「本人も言ったけどまだ入試前だから新入生とまではいかないけど事前の模試の結果を見る限りはほぼ間違いなく受かるでしょうから来年からはお願いね?…ちょうどいいわね、良かったらあなた達の部屋を見せてもらえないかしら?」
「いいですよー。お出かけ前にお掃除したばかりなので見せれる状態…のはずです!」
あ、普段は割とすごいのかな…?まぁ女だらけで気心も知れてくるとそうもなるのはどこの世界も一緒か。
休日はメインエントランスから出入りしても良いらしくそのまま中に入り寮監さんに挨拶をして2階にあるという彼女たちの部屋へ。
「ここです~。」
真ん中にテーブルのある共用スペースと大きな窓で明かりも十分、仕切りの付いた個室がありその中はベッドとそこそこ大きなクローゼットといった感じ。水回りはちょっと奥まったところにあるようだ。生活にはそこまで不自由しなさそう。
「綺麗にしてるわね。でもお菓子の匂いが結構するから換気するなりクリーンの魔法を使うなりした方がいいわね。確かこないだの授業で教えたから出来るわよね?」
おっと、ルーティ先生の突然の確認でみんな苦笑いしてる。まだ1年生だし生活魔法もおぼつかないだろうからね。
「まったく…次の授業までには復習して時間がかかって効果が薄くてもいいから確実に発動できるようにしておきなさいね?特に侍従コースだと必須技能だから今のうちにやっておかないと後が大変になるわよ。」
「「「「はーい」」」」
先輩の部屋をあとにして寮内を歩きながらルーティさんがあれこれ説明してくれる。
「さっきの子達はまともな方ね、同室の仲もいいし身分もだいぶ違うのに対等に接している。酷いところだと身分差が出ちゃってたりするし。そういう場合は大体身分が上の子がちょっと残念な子だったりするけど円満な部屋はその逆ね。だからマリンさんも気を付けてね?」
やはり上級貴族たるもの身分は気にせずとも言われてもそういった立ち振る舞いにも気を付けなきゃいけないか。それは肝に命じておこう。
「さて、大まかなところは見て回ったし次は第二寮に行きましょうか。」
第一寮の裏に回り歩くこと数分、城壁の切れ目が見えた。あれが外の森に繋がるところかな?実習林も兼ねていて切れ目があっても魔導具で結界が張ってあるらしく魔物は入ってこれないみたいだから切れ目があっても問題ないらしい。
第二寮はその結界を管理する職員の宿舎だったものを改装した二階建ての建物だったっけ?進んでいくとあれは…畑?それとその奥にはベッドシーツだろうか洗濯物も見える。だけど六階建ての建物は見えるけどそれらしい建物が見えない。
「そうですね。ティア達に提供された当時は二階建てでした。」
え…?
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