17話 メイドさんと騎士さんと冒険者ギルド③

「それでは立会人は私が務めさせていただきます。あくまで模擬戦ですので戦闘不能になった段階で終了、万が一殺してしまった場合はしかるべき措置を取らせていただきますのでくれぐれも注意してくださいね…ところでティアさんもマクスウェルさんはそのままで大丈夫なのですか?」


「「問題ないよ(です)」」


私は魔導銃ウィンチェスター、マックスは自前の剣だけで防具の類は無し、対して向こうはフル装備。双方準備が整ったところで…


「よっし!ティアちゃんとマックスに銀貨1枚だ!」

「私達も銀貨1枚!」

「おい、誰か黒ぶt…黒獅子にも賭けてやれよ!かわいそうだろ!」


やっぱり賭けが始まるんですね…そしてほぼ私たちに賭けているので倍率は1.0倍です。まぁ負けるよりはいいんですかね…?


「くっそ…どいつもこいつもバカにしやがって…姉ちゃん義足だったのか。じゃあその義足ぶっ壊して後々


ほう?お嬢様からいただいたこの義足を壊すと?いい度胸をしていらっしゃいますね?


「あ…やっべ…どうしてこういう連中は必ずと言っていいほど的確に踏み抜くんだろうなぁ…」


「マックス、あのバカさん…でしたっけ?は私がもらってもいいかしら?」


「バッカスだろ…せめて名前くらい覚えてやれよ…。なら斥候とアイツは任せた。俺は後衛叩いてから挟むか。」


「それでいきましょう。」


簡単に打ち合わせも終わり…


「それでは…始め!」


「素人め!銃なんざ懐に入っちまえば役に立たn…」


ナイフを両手に構えた狐目の男がそう言って駆け出してくるや否や…




ズドンッ




「入らせなけばいいだけですよ?」

流石に実弾や正規の魔弾を使うと死んでしまうので痺れて動けなくなる程度に威力を抑えた魔弾で眉間に一発。まぁ属性付与の魔弾と言えど空砲くらいの威力はありますからね?一発で気絶しました。



「くっそ、魔弾使いかよ!ならこっちも魔法で…」


「お前の相手はこっちだよ」


「はぇ?」


後衛の魔導士のところまで一気に距離を詰めたマックスが振りぬくと…


ビタンッ!


という音とともに盛大に吹っ飛んでいきました。


「  」


はい、二丁上がりです。


「さて、数の差は無くなりましたがいかがいたしましょう?このまま降参していただけるのでしたらすこーし痛くするだけで済ませてあげますよ?」


と出来る限りの笑顔で諭してあげたのですが…


「うるせぇ!まだ勝負は終わってねぇ!俺はCランクだ!てめぇらなんざ一捻りなんだよ!」


そうですか…ならまずは精神的に折りましょうか。


「人の好意は素直に受け取った方がよろしいですよ?…そうそう、私自身不名誉な二つ名なのであまり名乗りたくはないのですが、ランクに固執しているようなので名乗らせていただきますけど皆さんからは【黒脚】と呼ばれており後ろの彼は【白刃】と呼ばれています。あなた方がさっきから皆さんに笑われている理由をご理解いただけましたか?」


「んなっ…じゃあお前らが例の…?」


「はい、ちなみにあなたがお知り合いと言っていた【閃斧】の友人でもありますので。…さて?諸々の覚悟はよろしいですか?」


マックスも二人を挟んだ反対側で良い笑顔をして魔法剣を発動させてますね。


「なっ…ちょっと待っ…」


「待ちません♪」


私は強化抜きですが距離を詰めた勢いのまま回し蹴り、マックスは魔法剣を解除して最初の一人と同様にフルスイングの体制に…



ゴシャァッ!!!!!



あ…、同時だったせいか吹っ飛ばされた同士真ん中で激突しましたね…


「もしもーし?大丈夫ですかー?…うん、気絶してますね。というわけで勝者はティアさん・マクスウェルさん!」


「まぁ当然だな」

「だから賭けたって成立しないって言ったじゃない」

「いやぁ久しぶりに面白い見世物だったわ~」

「ティアちゃんが名乗った時の顔ったら最高だったわね!」

「おいマックス!次は俺とやろうぜ!」


ホント皆さんいい性格してますね…。


「ティアさん、お疲れさまでした。なんだかんだでそこそこ強いので困ってたんですよ…。この件はしっかりギルマスにも報告して処分してもらっておきますね!」


なんか先日もこんな感じでしたねぇ…。またお嬢様に「テンプレに立ち会えなかった…」と言われてしまいます…


さて、大した運動にもなりませんでしたが少し休憩しましょうか…ってマックスはもう次の相手と模擬戦してますね…。領都ではほとんどたまに現れるゴロツキか魔獣か癖も知り尽くしたような同僚としか戦ってませんからいい刺激になるんでしょう。


何人かに私も模擬戦を申し込まれましたがこの服装を理由にお断りさせていただき馴染みの女性冒険者の方とお茶でもしてましょう。

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