第2話

「なんですって!こんなにたくさんの借金返せるわけないわ!!」



お父さまのお葬式が終わって涙も乾かないうちに大変なことが起きた。

お父さまは裕福な商人だったのだけど、最後の事業にかなり投資をしていた上に買いつけた商品の全てが船と一緒に沈んでダメになり、借金が膨らんでしまったみたい。

領地はもちろんのこと屋敷にあった装飾品に家具のほとんどを手放し、多くの使用人にヒマを出してなんとかなったようだけど、お父さまの財産管理を任されていた弁護士いわく、これくらいですんで幸運だったと…。

贅沢な暮らしができなくなってしまったお母さまの嘆きといったら、それはそれは凄まじかったの。



「やっと裕福な商人と再婚できて安泰だと思ってたのに」



そう言って泣き臥せてしまい…。



「ああ、これから先のわたくしたちは、どうすればいいの?使用人はほとんどいなくなってしまったし、娘3人養っていかなければならないし………娘………」



ここでお母さまが泣きやんでみるみる顔色が変わってくの、当時子供だった私にもわかったわ。



わたくしが産んだ娘は2人だけ、なぜ腹を痛めてもいない子まで養わなければならないの?」



かと言って追い出すわけにもいかず…。

他に親戚頼りたくても、私たちとシンデレラに他に親戚もいなくて…。



「ああ、もう少し成長していれば家庭教師にでも出したのに」



まだ7つのシンデレラではムリもない。

そうこうしてるうちに最後の家政婦長がいなくなってしまったの。

すでに多くの使用人はいなくなり、執事もレディーズメイドも去ってしまった状態で家政婦長が一人で全て請け負っていたのだけど、ずっと無給に近い状態で働いていたのが耐えられなかったみたい。



「ああ、これからどうすれば…」



お母さまの視線が徐々にシンデレラへ向けられ…。



「シンデレラ、これからはお前が家のこと全ておやりなさい、この家に置いてもらうだけありがたいと思いなさい」



こうしてシンデレラが家の雑事全てをやることになったの。

それまで仲良くしていた私たち姉妹は、シンデレラと口をきいてはならないと厳しく言われたわ、



「あなた方はレディーなんだから、使用人と親しくしてはいけないのよ」



と…。

当時まだ子供だった私にとってお母さまの言うことは絶対で逆らえないもの、昨日まで仲良くしていたのに当然のように受け入れてしまったの。



「シンデレラ!掃除がすんだらさっさと食事の支度して!」「グズね!こんなこともできないの!?」



お母さまはシンデレラに家事を押しつけるのにいちいちトゲのある言いかたをし、シンデレラがなにか反論しようものなら、



「置いてやっている身で生意気なのよ!」



と、黙らせ…恥ずかしながら私と妹もそれを当たり前のこととしてマネてしまったのよね…。




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