女神の塔(十五)
天に届かんばかりの巨塔、その頂上。
曇天の下で刃が絡み合う。打ち交わす鋼の響き、渦巻く風、互いの息遣い。剣の技も身体能力も経験も私の方が数段
もう何度目だろう、ミオさんの剣を絡めて撥ね上げる。隙だらけの相手に斬撃を繰り出そうとして突風に
「まだわからない?自分が何と戦っているのか」
「勘違いしないでください。ミオさん、あなたはただの人です」
完璧に組み立てた連撃で相手を追い詰め、必勝の態勢から必殺の刺突。だが踏み込んだ足が
「そうよ、ただの
「違います。力に魅入られただけの
斬撃に
「もう何度目かしら。これが全て偶然だとでも思って?」
「偶然です。運命だろうと不運だろうと、何度でも逆らってみせます!」
【
「偶然が何度も続けば、それは必然というのよ。春の次には夏が来る、水は低い方に流れる、私が勝つのもそれと同じ」
「最後に勝つのは私です。私は自分を、今まで積み上げてきたものを信じます!」
私の言葉は強がりなのだろうか。ミオさんは確かに人智を超えた力に守られており、まるで『絶対にここで敗れて死ぬことはない』と定められているかのようだ。
逆にこちらは理不尽な何かに
「諦めが悪いのね。わからせてあげようと思ったのだけれど、見込み違いだったかしら?」
先刻までの好天が嘘のように
辛うじて身を投げ出して逃れたものの、ミオさんとの間の床は十数歩ほどの幅に渡って崩れ落ちてしまった。【
「おわかり?この世界で起きる全ての事象は私の味方。
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