テゼルト平原の戦い(八)
【
だが無尽蔵の生命力を誇る男は
「逃げて、アシュリー!」
「逃げるものですか!」
アシュリーの【
「駄目だよアシュリー、この相手は他と違うんだから!」
「何が違うっていうのよ!」
まさか反論されると思っていなかった私は思わずアシュリーを振り返った。その汗まみれ
「化物だろうが、
私とカチュアを振り払ったメドルーサの胸に【
これまで気付かなかったが、メドルーサの巨体にはいくつもの傷が刻まれ、矢が突き立ち、激しく呼吸を乱し、全身を濡らすほどの血が流れ出ている。『剛勇無双』の名と
「ユイ、あなた言ったわよね。私達ならできるって。魔術師の力を見せてやろうって。私はあなたが口だけの女じゃないことを知ってる、だからその言葉に賭ける。この程度で失望させないで
「わかってる!」
陥落寸前に見えるメドルーサ。だがその手に握る
「ふふふ……ははは!うわははは!腰抜けどもが!このメドルーサの首を
「ここにいるわ!脳味噌の足りない筋肉
ただ一人、挑発に乗ったのはアシュリー。手にした
勇ましい言葉とは裏腹に膝が震え、顔じゅうから汗を
「アシュリー!それは……」
「あなたに賭けるって言ったでしょう!?賭けるからには血も肉も残りの人生も、何もかも
魔術師の扱いが軽い帝国で、この子はどれほど悔しい思いをしてきたか。天才と呼ばれたラミカの才能さえ凌駕するほどの能力を持ちながら、その力を発揮することも認められることもなく
「……わかった。必ず仕留めてみせる」
ならば私も
「
【
「喰らい尽くせ、全てを飲み込め!【
メドルーサの
「貴様……」
「ふふ……魔術師ごときに自慢の得物を奪われた気分はどう?」
無双の勇者の愛刀として無数の命を刈り取った
だがその代償も安くはない。アシュリーの杖は真二つに割れ、そればかりか術者の右肘から先も同様に失われていた。
怒りのあまりか、メドルーサは獣のような咆哮を上げてアシュリーの腹を蹴り上げた。その小さな体は十歩ほども宙を舞い、捨てられた人形のように砂塵の中に転がった。
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