テゼルト平原の戦い(五)
「さあ来なさい!魔術師の恐ろしさ、見せてあげるわ」
アシュリーは胸を反らせて堂々と宣言したものだが、その声が震えている。
無理もない。剛勇無双の大男が巨大な得物を振り回し、精鋭無比の騎兵三百を従えて真正面から迫るのだから。
「母なる大地の精霊、
アシュリーが発現させた【
「草木の友たる大地の精霊、その長き手を以て
私が発現させた【
豪勇メドルーサ率いる無双の騎兵隊とまともに戦うなど論外。そう考えた私達が思いついたのが、乾燥した気候を利用した地味な範囲魔術の応用だった。単純な【
はずだ、というのはその戦果を確認できないためだ。
『剛勇無双』メドルーサもあわや乱刃に刻まれるかと見えたものだが、土煙の中で鈍い光が一閃すると、兜をかぶったままの頭部がまとめて三つ宙に舞った。
「魔術師ごときが
立ち上がったメドルーサは続けざまに
土煙の中に血煙が上がり、黄土色に染まった視界の中で四方から悲鳴が噴き上がる。いつまでも収まらぬ砂塵に覆われた戦場は混乱を極め、敵味方入り乱れての乱戦になった。
「カチュア!ポーラさん!」
十歩先さえ見渡せない戦塵の中、いきなり現れた槍の穂先を辛うじて
「うわはははは!見つけたぞ、威勢の良い女。このメドルーサを前にひとつ
見上げるほどの体躯、生物としての圧倒的な格の違い。あのカチュアの技巧さえ無意味なものにしてしまうほどの暴力が、目の前で人の形をとっていた。
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