テゼルト平原の戦い(四)
優に千を超える
エルトリア王国に限らず、近隣諸国においても馬上戦闘はあまり一般的ではない。
軍用に適した
ゆえに騎兵の機動力、突破力は一方的な脅威となる。ましてそれを率いるのがメドルーサ、あの人外の猛将とあっては、いかに精強を誇るユーロ侯爵軍といえど恐怖から逃れられない。
「うわははは!臆病な羊どもめ、このメドルーサの前に立つ者はおらぬか!」
先程とは反対に、メドルーサがユーロ侯爵軍の中央を真っ二つに叩き割る。それに続く三百ほどの騎兵も精鋭中の精鋭と見えて、主君に遅れじと
ついにはメドルーサの目が至近にカチュアの姿を捉え、愉悦の笑みが口元を
「どうした『
大男が自慢の
「カチュア、駄目だよ!」
「わかってる!」
この化物と正面から雌雄を決しようという気など私達には無い。声と同時に左右に跳んだ直後、天から落ちて来たような鉄の塊が大地を
メドルーサとその騎兵隊の突撃に耐えかねたユーロ侯爵軍は大きく後退し、ついには中央を突破されてしまった。数で劣り主力を突破された諸侯軍は浮き足立ち、一人の男のために総崩れとなるかに見えた。
「うわはははは!蹴散らせ、殺せ、叩き潰せ!勝利は我が手中にあり!」
人外の化物は頭上で血濡れた得物を旋回させ、馬蹄に土を
だが彼は知るまい、ここまで私達の思惑通りに事が運んでいることを。
「頼むよ、アシュリー」
あの天才ラミカさえ上回ると私が信じる魔術師は本陣に立ち、漆黒の
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