欠けた黒の月(三)
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でもラミカなら。あの子は軍学校の在学中にいつの間にか【
だが今からラミカを呼び寄せたとしても、いったい何日かかることか。連絡用の早馬を飛ばして八日、さらに国境を越えてここまでは順調に行っても片道十日以上、治安が悪化している今となっては予想もつかない。それまで諸侯軍が持ちこたえることができるかどうか……
落ち込むカチュアを
皇帝軍はメドルーサ将軍に全権を与えて諸侯軍を圧倒しており、ユーロ侯爵家をはじめとする諸侯軍は百日足らずの間にいくつもの町や拠点を失っている。
メドルーサは私達と同じ
特に先日の野戦ではメドルーサの豪勇の前にカチュアが敗れ、軍そのものも大敗を喫してしまった。諸侯軍は戦力の立て直しを図っているが、最後の拠点であるクロエ砦が
私がエルトリア国内で得た情報は『諸侯軍劣勢、カチュア負傷』という断片的なものでしかなかったが、想定していたよりもよほど追い詰められている情勢のようだ。
「聞いての通りさ。メドルーサって化物にカチュアお嬢様がやられて、我が軍は壊滅寸前。この戦に勝ち目なんかありゃしないよ、エルトリアに帰ってそう報告するんだね」
「……メドルーサという人を止めれば良いんですね?」
「ああん?」
「私がやります、カチュアの代わりに」
「思い上がってんじゃないよ!」
覚悟はしていたけれど、ポーラさんの反応と大声は思っていた以上だった。振りかぶった分厚い掌で頬をぶたれるかと思い目を
「カチュアお嬢様の代わりだって?ふざけてんじゃないよ、表に出な」
有無を言わさぬ口調で外に連れ出され、
この人とは何度か剣を交えたことがある。訓練で二度、実戦で一度。剣術だけならともかく魔術を使えば簡単に負けることはない、そう思っていたのだがこの日は……
「お嬢ちゃん、あんたは
両膝を地に着き、
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