リーベ市防衛戦(七)
ハバキア帝国軍の攻勢は正面から始まった。
街道を埋め尽くさんばかりの兵を押し出し、城壁に
ただ、それらの
「ああ、
カミーユ司令官はそう言い捨てて、城塞後方の山岳地帯への増員を命じた。
彼の言う通り、見た目は派手だが大して意味のない城壁の攻防の陰で、本当の激戦は城塞近くの山中で始まっていた。
間断なく帝国兵が押し寄せてくる。何重にも
「帝国軍の
それもおそらく魔術師の中に。そうカミーユ君は言っていたが、詳しく調査する時間はなかった。
従軍している魔術師九名のうち、五名が城門の防衛に回っている。この中には
片や、戦場にいる魔術師は比較的機動力のある者ばかり。私、プラたん、カイナの他には一人だけ。いずれも戦いぶりにおかしな様子は無い。
「隊長、もうここは駄目です!下がりましょう!」
「後退!後方の拠点に移動します!」
今日何度目かの後退。確か次の陣は
周辺のエルトリア兵すべてが結集しての抵抗。
重装歩兵を【
その帝国軍の陣頭に、見知った顔がある。
特徴のない中背の体つき、むしろ目立つことを避けるような動き。だが激戦が続く最前線にあっていくつもの手傷を意に介さず、青色の血を
なにしろ先ほどから私達が後退を
「ファルネウスさん!」
私は柵の向こうに声を掛けた。
彼の名はファルネウスさん、以前知り合った
「……お前か。何故こんな所にいる」
「私の
「俺は俺の都合でここにいる」
「それを教えてもらう訳にはいきませんか?」
「隠すつもりはない。だが今はそのような状況でもあるまい」
「では後日、必ず教えてもらいます」
「それまでお前が生きていればな」
静かに、だが鋭く長剣が振るわれ、柵の一部が斬り落とされた。そこから侵入した帝国兵とエルトリア兵が激しく揉み合う。
ファルネウスさんはその間に、
「お前にも譲れないものがあるなら、俺を止めてみろ。ユイ・レックハルト」
「名前を
こうなってしまっては言葉では止まらない。
この人を、帝国軍を止めるのは私自身と、愛用の
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