人の姿をした獣(八)
男の背から剣を引き抜く。ずるりと泥人形のように崩れ落ちたその向こうには、大切な友人の姿があった。
「間に合った……?」
思い出したように息を吐き出し、大きく吸い込んだ。
プラたんの耳が垂れ下がる。相変わらず表情は無いが、付き合いの長い私にはわかる。これは色々な感情が混じり合って言葉に困っているのだ。
「ごめんプラたん、遅くなっちゃった」
「……ん」
私は
「
「
だが中には例外もいる。小隊長アルバールは『
それを取り囲む正規兵を制して私が進み出ると、二人は同意に剣を引いて向き直った。
「ユイちゃん!?なんで?えっ、どうしてここにいるの!?」
「お前は!いつも俺の邪魔を……」
「邪魔をしているつもりはありません。ただ
「ふん、俺はカーマイン男爵閣下に
気の毒だが、その逃げ道はもう使えない。この男はもう切り捨てられたのだから。
「この
「ふざけるな、ふざけるなよ!俺にはこの剣がある!死にたい奴からかかって来い!」
後ろ盾を失くし、五十名の正規兵と十名ほどの亜人種自警団に囲まれてなおこの自信。この男の命運は尽きたとはいえ、無闇に捕らえようとすれば大きな被害が出てしまうだろう。
この男には自分で
「エアリー、任せていいかな」
「ん、任せて」
「はっ、負け犬が!何度やっても同じことだ」
「大丈夫。エアリーはもうあんな奴に負けたりしない」
半年前はアルバールに敗れたエアリーだが、私には彼女の優勢がはっきり見えていた。
「だってさ。やってみようか」
「ふん、後悔することになるぞ」
激しい金属音を背中で聞き、再び深い森を一人で駆ける。
アルバール小隊のほとんどを捕らえたが、近くにエルフリーデの姿は無かった。そしてヤサク、あの男も。
私はエルフリーデを守ると誓ったのだ。必ずあの子を、大切な友人を、不幸の
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