行政官フレッソ・カーシュナー(七)
さほど広くもない部屋、既にその大半が炎に包まれている。
土壁か石壁であれば【
であれば唯一の脱出口である窓にも罠が仕掛けられているに違いない。私は動かなくなった
黒煙とともに窓から外に飛び出し、地面で二回ほど転がって激しく
肺の中が熱い、手足のあちこちに鋭い痛みを覚える。煙を吸い込んだ上に
「素晴らしい。その勇気と機転、賞賛に値する」
黄金色の炎が空を焦がす、異様に明るい夜の下。燃えるような赤毛の魔術師はリースの肩を抱き、嫌らしく口元を
「見ての通りさ。この女も俺の手の内にある、俺が外出中というのも嘘だ。お前はこいつに
「違う。リースはそんな子じゃない」
「ははははは!言ってやれよ。お前は
「……違う、違うの。ごめんユイちゃん、違うの……」
ただでさえ色白のリースは死者のような顔色で紫色の唇を震わせ、ただ同じ言葉を繰り返すのみ。
「ほら、やれよ。こいつも友達の手に掛かれば本望だろ」
私の前に押し出されたリースはやはり蒼白な顔で全身を震わせ、何度も何度も首を振った。
「できない、できない、そんなこと……」
「はっ、少しは役に立てよ。
背中を蹴られたリースは雑草だらけの石畳の上に倒れ、そのまま顔を伏せてしまった。怪我のためではない、立ち上がる気力が持てないのだろう。
「フレッソ・カーシュナー……」
立ち上がった私は静かに
「
「はっ、いいだろう。その友人とやらに裏切られた哀れな者にふさわしい
魔術師フレッソは再び口元を
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