死霊達の主(七)
「いるねー」
「ここだね」
魔術師である私達には明らかだ、この扉の奥に大きな力を持った何かがいる。死霊が住まう古城にあってさえ不自然なほど闇の精霊の力が渦巻いているから。
階段を上りきった先にある、獅子の彫刻が施された両開きの扉。【
いや、かつて女性であったというべきか。その姿は半ば透けて後ろの壁が見通せる、つまり彼女は実体の無い
ただし
「天に
剣士が剣を打ち交わすように、魔術師は破壊魔術の基礎である【
総合的にはほぼ互角か。古城をゆるがす轟音と衝撃波、打ち消し合った光の欠片が互いの
「空を駆けし風の精霊、
再び同じ系統の破壊魔術が互いを打ち消し合い、力の
軍学校で天才と呼ばれたラミカに匹敵するほどの魔術師、それも命を失い
「ファルナさん、ファルナさんですよね!?私達は
彼女の姿を見てすぐにわかった、ルッツさんの義実家で見た肖像画の女性に間違いない。この人はファルナさん、ルッツさんの亡き妻で、単身で死霊の群れに挑み命を落としたという魔術師だ。
おそらくは町に押し寄せる
またしても閃光、轟音、そして熱風。部屋の中央で衝突し爆散した【
「ルッツさんもカール君もご
既にこの世のものではない存在に私の声が届く保証など無かったが、動きを止めたところを見ると何か伝わるものがあったのだろうか。ラミカも詠唱を止めて、だが相手からは目を離さず成り行きを見守っている。
「だからもう
「もう休んでください。
長い沈黙。やがて目が閉じられ、小さく頷いたファルナさんは最後に穏やかな表情を見せて、不意にその姿を消した。
からん、と乾いた音が響き、後には細やかな意匠が施された
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