亜人種自治区における産業の調査および振興(六)
駆け回る子供達の姿も、飲み物を売る屋台の娘も、通りで野菜を売る獣人の姿も無く、みな家に
「その子はどうした!密猟者にやられたのか!?」
「お前は何だ!
そのような意味の言葉を発しているのはわかるが、
「……
狩りとは恐ろしい言葉だが、密猟者がした事を思えば無理もない。彼らこそ亜人種達を『狩って』死体の一部を持ち帰るというのだ、同じ目に遭わされても仕方ないだろう。
でもその話は本当だろうか。だとすれば私は
「私も一緒に行かせてもらえないかな」
「……聞いてみる」
しばしの話し合いの後、幸いにも同行を許されることになった。ただし魔術師プラタレーナも同行すべしという条件付きで、大規模魔術を使った上に歩き通しの彼女にまた負担をかけることになってしまった。
いつも通り辛さを言葉には出さないけれど、亜麻色の髪が汗で額に貼りついているほど疲労しているというのに申し訳ない。
「ごめんプラたん、わがまま言っちゃって」
「……ん、だいじょうぶ」
でも私はどうしても行かなければならない。
私はエルトリア王国民である亜人種を守る立場にあり、法を犯す者を裁く権限もある。だが実際にそれができるだろうか。どこか自分を試されているような気がして、腰の
それぞれの種族の特長を活かした追跡と連携はなかなかに優れたもので、ほどなく密猟者の荷車と思われる痕跡を見つけたようだ。私にとっては注意深く調べてようやく見つけられるかどうかという程度のものだが、森の奥に向かって微かな
「……見つけたって。あそこ」
木々の陰に隠れるように、いや実際に隠してあるのだろう。張り出した大木の枝葉の下に粗末な荷車が停めてあり、
それを見るや、
むせ返るような血の匂い。
上空の
胸に矢が突き立った
密猟者たちは既に追跡に気付き、荷車の周囲で奇襲の用意を整えていたのだ。四方から斬り立てられた亜人種達は武器を構える間もなく地を朱に染めていく。
「敵襲!」
聞き取りにくい共通語の叫びは
疲労のあまり動けないプラたんに向けて血濡れた剣が突き出される、銀色の
「あなた達!こんな事をして許されるとでも……」
「ほう?珍しい、
にやりと笑うその
間違いようがない。認めたくはないけれど、この人達は私と同じ
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