亜人種自治区における産業の調査および振興(五)
先程手当てを済ませたこの子はといえば、ほぼ
「……
土と岩ばかりの山地に足を踏み入れて数刻、プラたんの足がようやく止まった。身軽で森や山に慣れているはずの彼女も額に汗を浮かべている、やはり先刻の大規模魔術による消耗が激しかったのだろう。
「―――!―――!」
怪我をした
この亜人種自治区ではことごとく亜人種に拒絶されてきたが、こうして助けた子供を連れ帰れば少しは態度が軟化するだろう……などという考えが非常に甘かったことはすぐに知れた。
武器を持った
「……
「密猟者?」
「……たまにいる。亜人種を殺して、
「そんな人達が!?」
それでは亜人種達が
同族の子供を助けた事実とこの地に住むプラたんの説明でようやく解放されたものの、やはり集落からは追い出されてしまった。それから不思議なことに、怪我をした
「あの子どうしたの?ずっとついて来るつもりかな」
「……聞いてみる」
しばらくして戻って来たプラたんはいつものように無表情だったけれど、薄い色の瞳に憂いの色を浮かべていた。
「……集落にいたら
「え、なんで?どうして!?」
「……お前のせいで自分達が
「そんな……どうする?」
「……フルシュ村の学校に連れてく。他にも同じような子がいるから」
「怖くないよ。村まで背負ってあげる」
「……」
その子はしばし警戒していたようだが、プラたんが頷くと背中に重みを感じた。
私にはこれくらいしか出来ないけれど、と思い隣に視線を送る。ハーフエルフの友人は相変わらず表情を変えず黙々と歩いていた。
改めてこの友達を尊敬する。この子を連れ帰るということは、この子の将来に責任を持つということだ。怪我を癒し、生きる
私はどうだろうか。不意にエリューゼ、貧民街の小さな魔術師のことを思い出した。きっとあの子も救いを求めていたに違いない、私は自分の無力を言い訳にして彼女を見捨ててしまったのではないだろうか。
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