第三次カラヤ村防衛戦(六)
ロット君が【
「おらああっ!」
渾身の体当たりは、しかし
でも彼の役目はここまで。背後に隠れていた私がロット君の背を借りて跳躍し、障壁を飛び越えて頭上から打ち下ろす。
静かな洞窟に響く金属音。振り下ろした刃は妖魔の頭に届く寸前、新たに作られた【
「あっ……!」
思わぬ衝撃に剣を取り落としてしまった。親友に貰った
「天に
続くルカちゃんの魔術も【
「そんな……」
淡く光る【
どの魔術で
左手の人差し指を小さく回転させる。呼応した刃がくるりと回り、
ルカちゃんが稼いでくれた十数秒の間に私が詠唱していたのは、【
黒衣に包まれた身体が傾き、橋から転がり落ちる。数舜の後、激しい水音が上がった。
左手の指で弧を描くと、愛用の
刀身を丁寧に布で拭って鞘に納める。手荒な扱いをしてごめん、と贈り主に心の中で謝りながら。
「ルカちゃん、怪我はない?」
「はい……ありがとうございます」
「ごめんね、ロット君。酷い扱いしちゃって」
「盾にするか踏み台にするか、せめてどっちかにしてくれよ」
この日夕刻。カラヤ村自警団は
この場にカミーユ君がいないのが惜しい。彼ならば
だから学生時代に少しでも鍛えておけば良かったのに。さんざんロット君の首から上を馬鹿にしていた彼だが、カミーユ君の首から下も凡人以下のようだ。
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