第三次カラヤ村防衛戦(五)
「【
黒衣の術者は見たところ
私よりも数段上の恐るべき力。だが格上の魔術師、塞がれた逃げ道、追い詰められた状況に、かえって肝が据わった。先程は異形が死肉を喰らう光景に驚いたが、ここはそれらが巣食う世界だ。もうやるしかない。
青白い【
その長剣は昨年ここで倒した
しかし
「おい、考える時間は終わったみたいだぜ」
私を制して進み出たロット君の言葉に、愛用の
「―――、―――、―――」
ゆっくりと橋の上に舞い降りた
長剣の刀身に光の精霊が集まる。刀身自体を魔術の媒体として使っているのだろう。
「二人とも私の後ろに!我が内なる生命の精霊、来たりて不可視の盾となれ!【
一本目で私の【
本当にアシュリー並みの魔力と練度であれば私の胴体に風穴が空いていたところだが、さすがにそこまでの力は無いようだ。とはいえ格上の魔術師であることは疑いようがない。
「ルカちゃん、これ使って」
「これは……?」
「後で渡そうと思ってたけど、今必要になったから」
ポケットに入れていた小さな箱から指輪を取り出し、手渡した。
意匠は少し違うものの、材質、加工技術など、私が左手小指に嵌めているものとほぼ同じ。この
「ロット君、合図したら飛び出して。ルカちゃん、【
「はい。でも……」
「大丈夫、自分を信じて。私がついてる」
長すぎる剣を掲げ、再び
「ルカちゃん、【
「わ、我が内なる生命の精霊、来たりて不可視の盾となれ……【
続けざまに響く衝撃音。半透明の障壁に
だがこれでいい。以前のルカちゃんなら瞬時に破られていたであろう【
これはきっと指輪の力だけではない。時が止まっているように見えた彼女も、少しずつ成長していたのだ。
「だ、駄目です、もう……」
「ううん、もう大丈夫。三つ数えたら出るよ、ロット君」
「おう!」
ルカちゃんが稼いでくれた十数秒の間に、私は密かに魔術を一つ発現させていた。
「行くよ。一、二、三!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます