卒業記念試合(七)
ジュノン軍学校の屋内競技場。その空中に赤、青、黄、緑、魔術で作り出した三十個ほどの
満員の観客が見下ろす決勝戦ではあるが、もちろん楽しげに演出しようという意図ではない。私は腰の水袋の紐を解き、砂岩の床に叩きつけた。
「
これは水の動きを制御する基礎魔術【
その間に赤、青、黄、緑、色とりどりの球体を蹴って宙へ駆け上がる。観覧席ほどの高さで両足の下に【
地上で激しく空を裂く音が連鎖した。素振りで霧を振り払ったカチュアと視線がぶつかる。
「そんな所にいないで、早く降りてきなよ。時間ないんでしょ?」
「まあね、その通り」
当然ながら見透かされている。上級魔術である【
「母なる大地の精霊、その優しき手に我を乗せよ。【
「・・・・・・お待たせ。行くよ、カチュア」
「うん」
詠唱を済ませ、足元の【
黒い瞳が地上で待ち構えている、ただそのまま落下するのではあまりに無策というものだ。
「万里を駆ける風の精霊、我が剣と共に舞い踊れ!【
模擬剣を手放し、左手の人差し指で弧を描く。それに応えてカチュアの背後に剣が回り込んだ。
【
でもこっちが本命。【
誰にも知られないよう夜中に、それも
「・・・・・・このおっ!」
奇術の種は出し尽くした、残り時間もない。体も心もこの二年間も全て両の足に乗せて、文字通り自分の全てを賭けて押し込んだ。
観覧席から息を飲む気配が伝わってくる。あの
「来い!【
求めに応じて細身の剣が右手に戻る、そのまま片手で振り下ろす。
これさえもカチュアは受け止めた。でもさすがに力は入っていない、この体勢では技を出しようもない。両手に剣を握り直して相手の剣を跳ね飛ばし、胸元に剣先を突きつけた。しばらくは身動きする者も無い。
「場外!」
知っていた。私も、きっとカチュアも。
たぶん決着をつけたかったのだ、こんな床に書かれただけの線に構うことなく。
だがそんな思いも
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