第二次カラヤ村防衛戦(七)
「お待たせ。あとは任せて!」
「おう。頼むぜ」
私は二人の間に割り込み、長身の男の剣を
ロット君はいくつもの手傷を代償に貴重な時間を稼いでくれた。その期待に応えなければ。
「【
「そうでしょうかね!?」
地底湖にかかる
「そう、残念です。私を驚かせる奇術を期待したのですが」
この男の力は想定を超えていた。身体能力は魔術を上乗せした私と同等、いや、もしかするとまだ力を隠しているのかもしれない。技術はさすがにあの
「奇術の種が無いなら、もう終わりにしましょう」
「くっ・・・・・・」
すくい上げる一撃をまともに受け止め、体が浮きかけるのを必死に
長身の男がゆっくりと歩みを進める。一歩、二歩。そう、そこだ。あとは度胸の問題。
私は限界まで強化された脚力で思い切り地を蹴った。瞬時に間合いが詰まる。
「これでっ!」
「はは、所詮は愚かな
斜め下から飛び込む捨て身の一刀。しかし間合いが遠く、男は上体を反らせて
するほど愚かではない。【
銀色の光が斜めに一閃。体ごとぶつけるような
男は言葉もなく橋から転げ落ち、はるか下で激しい水音が上がった。
「驚きました?お望みの奇術」
私は【
【
【
本来は足場にするには
「ユイ、お前すごいな!」
「ロット君のおかげだよ。準備する時間を稼いでくれたから」
「ユイさん、怪我はない?」
「大丈夫、ロット君の方が酷いかな。手当てするから座って」
背中の鞄(かばん)から薬と包帯を取り出し手当てをしていると、周囲を警戒していたカミーユ君が戻ってきた。
「ユイさん、剣を見せてくれないかな」
「ん。何かあった?」
「これを見てよ」
「・・・・・・青い!?」
薄暗い洞窟ゆえの見間違いかと思ったが、確かに青い。刀身に残った血も、革鎧に浴びた返り血も、趣味の悪い塗料のような青紫色をしていた。
「
外見は
「そういえば私達を『
「うん、僕も気になってたんだ。まさか戦うことになるとはね・・・・・・」
私とカミーユ君は同時にロット君を見た。
「何だよ、俺のせいかよ?」
「そうだよね!?」
「そうだよ!」
翌日、エルトリア正規軍の一隊と私達は地底湖を捜索しようとしたが、思いのほか地形が
それはそれとして困ったことがある。証拠品として提出した私の武具一式が戻るのはいつだろうか。自警団から借りた品だったのだが、やはり弁償した方が良いのだろうか・・・・・・
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