第二次カラヤ村防衛戦(四)
まだ肌寒さが残る早朝。カミーユ君、ロット君、私の三人は村で正規軍の出発を見送った。
彼らエルトリア王国軍アカイア駐留隊の四十名は、南の山にある
直後、【
「カミーユ君、西の
「もう出てきた?・・・・・・了解。そちらの偵察を開始して」
私は目を
「十二、十三・・・・・・十四匹。そのうち
「魔術を使えそうな個体はいない?」
「見たところいないみたい。でも一匹、妙に偉そうなのがいる」
「偉そうな?どんなふうに?」
「立派な鎧に
その個体は明らかに異質だった。体格は他の
「ふうん。
「
「それは保留。まずは奴らの行き先を確認するよ」
私が【
「南に進んでるね。村じゃなくて軍が向かった巣の方」
「わかった。ユイさん、【
使い魔の
村ではなく正規軍の方に向かうとは意外だったが、カミーユ君はこの事態も想定していた。軍の主力が南の巣に入ったところを中と外から挟撃するつもりだろう、と。
村で警戒に当たっているカイルさんに
「カミーユ君、疲れた?」
「いや、違うんだ。ちょっと気になる事があって」
「何かあった?」
「軍が南の巣に向かったら、すぐに西の巣から
「ゴブリン側にも【
「
やがて洞窟の入口が見えてきた、あれが南側の巣だろう。
正規軍の一隊五~六名ほどが所在なげに
「
「わかった。・・・・・・万里を駆ける風の精霊、我が声を乗せて
『
私の声は風に乗り、三百歩ほど離れた軍の方々に届いたはずだ。隊長さんがひっくり返り、周りの兵士達が右往左往する。
これは逆効果だったかもしれない、と私は少々焦ったが、もう一度同じことを伝えるとようやく兵士が槍を構えた。隊長さんが洞窟の奥に向かって何やら怒鳴り散らす。それを見た
「こっちも急ごう。ユイさん、ロット、あとはお願い」
「おう、肉体労働は任せろ!」
やけに張り切るロット君が駆け出し、私もそれに続いた。
張り切っているのは彼だけではない。私だって昨年とは違う、この一年で
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