中間試験(一)
「ううう・・・・・・参ったなぁ」
私は
一般教養 十一位
魔術総論 十二位
基礎魔術 十一位
応用魔術 十二位
総合成績 十二位/十二人中
いくら何でも二科目で最下位、残り二科目でも下から二番目とは
「・・・・・・大丈夫。ユイちゃん頑張ってるもの」
「ありがとう、プラたん。また勉強教えてね」
「おー。がんばれよー」
「なんだかラミカに言われると腹立つなあ」
真面目で
私はといえば独学で学んだ共通語や
「ねー。ユイちゃんは夏休みどうするの?」
「学校に残るよ。家は遠いし、こんな成績じゃ少しでも勉強しないと」
ジュノン軍学校の課程は前後期に分かれており、これから私達は十日間の夏休みに入る。この十日という日数が実に中途半端で、比較的遠い上に交通の便が悪い田舎村から来ている私やロット君は家までの往復に八日を要してしまうし、異国からの留学生であるカチュアなどは帰省するという選択肢そのものが無い。結果、半分ほどの生徒が寮に残ることになるらしい。
「ラミカは実家に帰るの?」
「帰るよー。ここから馬車で二日もかかんないし」
「プラたんは?」
「・・・・・・ここにいる。けど、たくさんお仕事あるから遊べないかも」
「あ、そうだったね。ごめん、私もお仕事休んじゃって」
「・・・・・・いいの。ユイちゃんは合宿がんばって」
そう。私はカチュアと共に、夏休みの十日間を「夏合宿」と
「失礼します。ユイちゃん、いるかな」
「あ、カチュア。教室まで来るなんてどうしたの?」
「もうすぐロット君の試合が始まるから呼びに来たの」
「わかった。今行くね」
わざわざ魔術科の教室まで迎えに来てくれたカチュアに続いて廊下を歩く。
渡り廊下のガラス窓を雨風が叩く。この日は朝からの雨が一向におさまらず、屋外で予定されていた剣術科の中間試験試合が屋内競技場で行われているそうだ。
「ずいぶん雨が強くなってきたね」
「うん。ねえユイちゃん、大丈夫?その・・・・・・ロット君のこと」
「大丈夫、かな。もちろん応援するつもりだよ」
「そう。わかった」
私とロット君はこの数十日、ほとんど言葉を交わしていない。カチュアに対する思いや言葉の行き違いから気まずくなり、しばらく彼を避けてしまっていたから。
知り合って日が浅いのに公式には兄妹、という事情もそれに
我ながら複雑な思いを抱えつつも、ともかく私は薄暗い渡り廊下を通って屋内競技場に向かった。
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