カラヤ村防衛戦(三)
【
「助かったよ。足は大丈夫か?」
「うん。それより塀を越えてくる奴がいるからお願い」
「お前も戦う気か?やめとけ、中に入れ!」
「わかった。早く行って!」
振り返りつつもロット君ともう一人が向かってくれたので、そちらは大丈夫だろう。それよりも門の向こう側の様子が変わった。集団が中央から割れ、ひときわ体格の良い
身長は大柄な成人男性ほどもあるだろうか、粗末ながら革鎧を身に着け大剣まで持っている。彼らにはほとんど別種族と言って良いほど腕力体力に優れた
大柄な
「前から土の魔術が来ます!気を付けてください!」
伝えてからこちらも詠唱を始めたが、おそらく相手の方が早い。私は土の魔術、というよりも生命の魔術以外をやや苦手にしている。破壊魔術を実戦で使うのももちろん初めてで、効果範囲の指定や出力の調整にも時間がかかってしまう。
「母なる大地の精霊、欠片となりて
どうやら私の方が精霊の操作、魔術師としての力量ともに上回っている。こちら側から飛び去る
「ひるむな!押し返せ!」
三本の槍が同時に突き出されたが、
「すみません、通してください」
密かに【
ふざけている訳でもないし本当に申し訳ないのだが、近くにはこれしか無かった。私は運命の女神アネシュカ様の銅像を台座ごと振りかぶり、多少よろめきながらも力任せに叩きつけた。我に返った
巻き込まれた中に魔術を使った
意外な出来事にしばらく動く者はなかったが、数秒経って後ろで歓声が上がった。自警団が次々と槍を繰り出し、それに追われた妖魔の群れが逃げ散っていく。
「お嬢ちゃん、あんたすごいな!」
「あ、いえ。お役に立てて何よりです」
「ユイ、これお前がやったのか?」
「う、うん・・・・・・あとで説明するね」
ロット君が理解不能といった様子の目を向ける。血濡れた女神像をせめて元の場所に戻そうとした時、
ずん、と重々しい音を立てて大きな人影が近づいてくる。見上げるような巨躯、布の腰巻に棍棒、隆々と盛り上がった肉体。昔話に出てくるような赤鬼が、小鬼を蹴散らしながら目の前に現れた。
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