7 侵攻

ミカドミンミンの目を反射した橙色の光が、自分の目を貫いた。

くらりと目眩がして、目を覆う。

無理矢理、侵攻、強行突破、そんなような言葉が頭に浮かんだ。

なんだ、これ。

ぐじゃぐじゃと頭に何かが入ってくる感覚がした。

気持ちが悪い、嫌、吐きそう。

まだぐじゃぐじゃと。

今度は頭の中をかき混ぜられているように。

「大和、大和、ねえ」

涙で滲んだ視界の中の蓮を見た。

「俺の神様、すごいでしょ?」

みんみんみんみんみんみんみん。

ぐじゃ。

脳みそを侵攻されているのか、精神を侵攻されているのか分からない。

ただただ気持ちが悪くて吐きそうだった。

苦しみの中、何か一つの確信を得た。

この空間の蓮はおかしかった。

それは合っていた。

それは合っていたんだ。

ずっと前はこうじゃなかった。

その、小3の夏より前、だ。

その後からは、時々様子がおかしかった。

ぼんやりと遠くを見ていたり、急に後ろや上を見たり。そういう行動が目についた。

今までは、そういう些細な、それも1ミリ程度の違和感だったものが、蓮の根幹、本領ともとれるこの空間で露呈しただけだ。

蓮も初めてこのセミを見たとき、今の俺と同じような体験をしたはずだ。

ただ、その時は幼かったから分からなかった。

こいつは神様なんかじゃない、勝手に人の頭、もしくは精神を弄って精神崩壊させて、そのまま自分の味方、陣地に取り込む「何か」なのだろう。

自分の頭の中で合点がいった。

ぐじゃぐじゃ。

みんみんみんみんみんみんみん。

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