『――蕩け遺る・ゆき』
己の速さより、姿形が崩されて、丁寧な肉匙に小刀にて、私が巻き取られる。骨片で粗れた砂時計の硝子篇が、わたし、ということに成されてしまいます。わたしは遷り変わりどのようにも見える事柄になりましょう、わたしは初めから最期まで、知り得ることはありませんでした。
ただ錆びている、眇の番人たちよ。
本当は何処にも彼ら自身がいない世界であるにせよ、思いだけが楔に打ち付けられ、願いばかりが実を宿す。永遠の螺旋を翔んだり刎ねたりしながら、ヒトは生き続ける。形を変えながらも、この体を作る設計図は生に対する恐怖、貪欲な執着を引き起こし、憎悪と最愛を絡み合わせどんな時代でも本質を変えようとはしないのだ。 脳裏にこびり付いた、なにか礎のようなものがふたりを動かしているように見える、けれど真実とは言えないのは、もうふたりだけの世界でしかないということ。で、だれもみさだめることが叶わないほど、おくふかくに、あって。
原始すら感化できない、ところへ見せつけるだけの強さで、ほんとうにハズカシイ限りなのですよ、カレラは。もう停められないところまで往ってしまったのでしょう? と大いなる祖が夢と現れ揶揄することもある、
けれどそれすらゆめうつつの理。
……しかしなんのことだかわからねえなぁ。ホント見たまんま思ったようにおしゃべりするけれどね。想像を超えるっていうかデタラメだな。そうそう、パズルを無理やりはめてるみたい。のはわりに馴染んじゃってさぁ、こういう世界だったっていうオチ、なんでしょ。それ落ち着くって言うか塗り込められるだけ、違和感も何もかもなかったんだよな、
まぁね、
なんて、
適当に並べ立てた口上だろう。空白から目を逸らし物事を曖昧に踏み固める。この足で、至極うろうろしながら今居る所を確かにする。
自分の立ち位置に恋い慕い振る舞いを見て取る。上昇も下降もないただ
やはり一寸先は闇。
外は猛吹雪となっていた。
たぶんそれだけのことで舞い落ちる、冷ややかでも美しく思えた、あかりなど何処にもないのに、真っ白く汚染されていく外界の景色もまた、自分らが塗りつぶし適当に線と点を手と手を繋いで、辛うじて描いたことだとわかっていた。
ふたりは、
扉という鏡は開かれることはない。だからこそ安泰、カゴノトリでも迷宮は羽ばたける。近くて遠い素晴らしい世界、歪んだ思い描いた正解、惑いは湾曲し現実を映し出す。
喇叭は鳴り止まぬ、鼓に脅かされる、心臓は飛び出し手の平で反り返っていた。ぐにゃりと弛めた腕、ひずんだ疼きを知りを丸くおる、うねりはふところを肥やし、妄執は穴を装う。欺く行為の名を言葉を返すなら、
進行を損なう鏡の前のアリス症候群。
ですがもうとっくに悪化して、取り繕う暇もなく、
死んでしまったあとの祭儀を唱えようよ。
世直されるべき、夜な夜な、つべこべ言わずに飲み込まれる。
はぐらかそうとしても、別の真意は翻され、
のらりくらりと詭弁といなす。
裸足で逃げ出した、脱兎の、如く。
なにか野生の動物のように生き延びる言い訳を探るように、行方を晦ませた。だけだろうに(そんなこと知っていた。)
けれどどうせ、必死の弁解も虚しくお払い箱さ。いつかの夢のまた夢今は今にしか、ほら
2023年2月11日
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