俗説。我らが啼泣

 あーなにしてたっけね。ちょっと待って、飲みすぎてわからねえからとりあえずわらっとけ、なっ。屋上から眺めた交差点で読心術をもよおした午前四時の砂嵐から読み取られたFAXは最初からげろげろにぶっ壊れていたっけ。

 思い出したかでっち上げたか、それでほらしあわせってお花畑に保織り込まれてそれで霞でも食って永遠を呆ける感じかぁ 男女関係はくだらないあみだくじを千切って、ミキサーにかけた後のミックスジュースの味はどうだろうな。

 くっそ舌が乞えちゃって垂涎びっしゃびしゃでなんでも飲めコメそうなべろんべろんで間延びした時間ではわからねえやン。

 冷蔵庫は空っぽでなにもねえよ、鳴り止まねえの踏切、遮断器は降りたままかあ。そうかあ。っしょうがねえああ、あっ、

 あれかぶれぶつくさみちくさこうして、

 朝方まで駆け抜けてきたけどもうね、金策が尽きましたので。「――すいませんね」と頭痛腹痛の最中、自由奔放な死神はくたびれたスーツでしゃがみこんでくれました。どうやらもうちょっとだけ時間が余ってるみたいです。


 そうやってへらっと軽く云うのね。そういうとこちょっとズルいと思う。ゆるされないでしょ、もう妙薬以下偽薬以上だってその頬に毒ふくんでしあわせ、なんてずるずるなミチ、ほんのちょっこっとしか感じ得ない無いモノねだりっしょ。


 散歩進んで二歩下がる猫島の動画はお決まりのパターンで朝方まで流されています。22字13糞、憤る鼻息に酔って捲られた絵日記を御覧くださいませ。映画館で上映される演目はいつだって掠れた匂いがする。これは金木犀だったか……けれど嘘つきとも本当とも何も知らないから、クサイくさっとだけ絖点けられている走馬灯かな。

 気づけばほら便所で吐いてる。風呂場で突っ伏してる。寝床でヘコヘコしてる。

 星が見える! 星が消える! 点滅暗礁嬌声――滂沱の宇宙を見た!

 それで教会の前だ、悠長にも割れ鐘なんか劈いて、へったくそな絵画感傷に浸るってが! 降り積もる雪に埋もれた記憶みたいなもんで霧がかったパステルカラーの綿菓子、大きく息吸いこんだら胸にすっと落りてくる。

 ほら甘くて冷たい――

 あんた、天使さま……だったんだろうな。羽根はもぎ取ったこの腕で括ってやった、何処にもいけないように。全部引きちぎってもう、残るのは心だけだって「もう、知ってるか。」


 愛恋夢希望、みんな死んじまったな。お先真っ暗だ、道が見当たんねえんだよ。そうだな~何も考えたくないし何処にも居たくない。正直どうでもいいんだ、どうしようもねえだろ。逃げらんねえのよ、なにしたってな、その時が来たら、よりよい選択なんて悠長なことありえねえし。


 波間だよ、深い海の境目に中るこれはね、これが幸運だって抱き込んで言い聞かせてる。それが振り向かない呪文で振り返らない願い。だって唱えて、なっ。なんだかんだ言ったってまずはこの減らず口よ、能弁垂れられるこの素晴らしき環境にいるんだぜ。ってな。賛美歌でもレクイエムでもいいや。唱歌でも軍歌でもいつか鼻歌交じりさ。

 砂を噛んだ、砂を吐いた。どうせひとりの波打ち際にあるところ、に。いまさらに嵐の衝動、いまごろ担って鈍色の扉をノックする、最初は恐る恐るけれど最後はひっちゃかめっちゃかだ。どうせすぐ、むかしむかしのものがたり。繰り返される始発列車で微睡んだものでしょう……


 ゆめゆめゆめ/ナンカを目指す気にも仕切る気にもなれないしなあ。

 惰性でしかない。いまいまいま/しかしよくぞここまで来たって調子にノリに乗る。

 いまここに立地尽くしてる自分に当てはまると到底思えなくて、泣くに泣けずに愚痴の一つもろくに言えねえまま、変わらねえ朝がくるのを簡単に待ってる。素晴らしきはドンズマリの大正解。

 すきなものすきなことすきなひとすら、信じきれないもんな。なんとなく、に二言はないケド。すきにしてくれ、すきにやってくれ、煩いな、察しろよ。どうか構わないでくれ、いいや淋しいもんだ。ただの我儘だろ。

 だいたい、自分って認識は他人がいるから成立するんだよ。オレだけ~だったら生きてることにならない。だれも見ねえからな知らねえだろだから真実なんていねえの。それを正しいと認めてくれるあいてがいなくっちゃ、一生悩んで、道は定まらず地に足はつかない、自分の思いなんてあてにならないもん、誰だって、誰でもいいんだよ。感情さえなければ物語ならば、オモシロくなれるのになあ。まっさらに書き換えられたらいいんよ。


 さてこの写真の人物に見覚えはありますか。 定説はつちのなかコラージュされた遺影には交差点で行き交う人々が映し出され続けている。しかしモノクロの花で飾る、しわしわと言ったらなんだか黴臭いみたいだった。だからそっと目を逸らして、エロいことオモショイ事、感情に素直に、言いたいこと纏まらなくても、どこか誰かにぶつけてももう、


 どうせ暮れ泥む黄昏は目前に控えていた坂道に転じる。

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