ひかりのつぶさ
目の前に
薄鈍色をつまみあげたばかりに、さまよっている飛行船。ワタシになまえを授けるならば。
だけど好きとかきらいとか反転して透かして、炙って焼いて灰を蒔いていた、腐敗した庭には雑草だけが、憚る。といい、
(ねえ可笑しいでしょ/)いないでしょ。そのくせ断端に故冴えた畝をみおろして、
街明かりは今日も波一つないように思えたのです。
風がやんで夜空は澄んでステンドグラスの内側に潜り込んだ、ひかりが輝いていた。
「鳴いているの……」
恥ずかしいから俯いたまま、抱きしめて離さないこころばっかりの熱気球といっしょに、私の渚に身を投げて、意味のない境界線の頭上を花火が潤わせた、落下地点に息を吸って吐いただけの砂の城を築いたものです。
というに、
どうせ遅かれ早かれそれだけのことと、
「〈ちびた/鉛筆〉と。」いつまでも眩しいから立ち尽くしてそのままです。
骨を埋める座標の中心は赤いかざぐるまが廻っていたようでした。わたしたちには夢も希望も持ち合わせてはいません。ただ繋がらない未来を出たら目に瞑想するインテリな魔術師を選びました、それだけのことで進んでいたのです。
つまらないスゴロクは浮き草の余に下手糞の血肉を張り合わせたばかりのアスタリスクを飲み込んだときのように、カニバリズムのガイドブックが流行しているから。
「それでね、紙風船の行方なんだけど。」授業中、後ろ手に受け入れた目玉ばっかり見開いちゃってさ。屋台で掬った金魚袋に弾まない糖衣錠と、弾丸の眼球を忍ばせてさ。「大事にしているんだって/忘れないでいてね。」
タイムカプセルごと飲み込んじゃったんだって。もう膨らんでしまったんだねって。
――花だね。キミらは、
簡単にすき・きらいっていいながら添削する。よつばのクローバーを探して大事にするくせに、占いなんて酷いことで、きれいな首をもぎ取ってね。ほらまた、自分のことばっかり考えて照らし合わせるでしょ。
空砲の線状痕を
(似つかわしくない微笑みを理由もなく授けられるようでしたが。)
表情を崩したわたしたちとは→身を寄せ合っても/なにひとつ正しいことなど/読み取れない≒紙面上のピクセルレート、そのものでした。ですが「ねえ英字新聞に横たわる裸婦を、知っている?」あれら全部が社会で、私故人のことだって今にしてしまえば「易々宵よ。」
波消しモザイクから爆破した弱さが飛翔して「もう。」理解っていることでしょう。
断ち切られたアドバルーンは繋ぎ留めただけだ。どうしたって定めたくなる。こんな意味のない納得が必要で、すがりついてないといけなくて。なんか意地みたいな感じばらばらのその腕で、この胸を隠して、目指すべき場所は何もないところへ、流されて生きてしまったただの断片を劇薬のように大袈裟に喰らう、あのすごいわがままな太陽なのでしょう。
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