久方の 虚実
ひさかたの――
数ミリの増殖、摘んだ分 嗄れた《香草》ふわっとろなシナップス 原材量 肩より過多先代の玄奏、単純な丹頂あかくしろくらい 帰り道もらい火、まにまにまにましている。今日明日の境に訊くがさて煤けた笊、朽ちた約束の糞 今日の残照の。真似語ト〈宵〉酔フに善い峰へ。手招きし、烏などが哭く、どこかしこへ
膨らんだ胸 噤んだ口 開いた眼
花瓶に臥した 更紗水泡眼
啄いて頃して
お狐様が通ります、
お狸様が通ります
そこにいるだけの私が誰であろうと
好きだったのかも痴れないね
嫌いだったのかも識れないよ
草原を亘る風が糾える
雨に湛んだ今日からはまたね
袋小路の鼠に
見透かされる事無しげに
――泡
、なのだと思います。
きれいなお魚の鱗一枚、肥沃とし
大地に芽吹かせましょう
天地に耀く鐘の音のカケラは
涙のようなもので身を焦がします
(それはまさに美しい影だった。)
喪われた赤い屋根、骨組みだけの緑の扉
帆のない風車が今
この時を動かしていました
ココは空っぽ
なにもない
フレグランスキューブのお墓だよ
こんな辺鄙な場所に迷い込んで
、どうしたんだい
年齢不詳の紳士のシルエットは
憂いたり没んだり、云うのです
――それで、鏡に映る自分の姿を見ましたが。
鎮まないだけの喧騒が右往左往し
、ショーウインドウを濁していました
春裸のマスコットは千切れ
硝子は裂け障子は砕けてしまいました
短波放送は私を踏みつけ
絖突けるばかりの狂喜が道を開かせました
(屍骸ほどぬくもり
生きているようで、逃げられない空蝉)
ふと 筆にたつぷりと墨を尾とし
白銀を涜して生きます
つと 鉛色を口に挿し
魂を封じるのです
風紋が騙るべきうたは、微か
気枯れていたが、
それは美醜であればこそ
賽の目 一面に 浮かぶ瀬 イカサマ 如何様/ごきげんよう。函の中 檻の外、御覧なさって。ゲテモノの毛色 てふてふのモザイク 円(まる)くほころびるような極楽、走り描く。
虚実を尽くす/実体のない沈着
【ひさかたの――】
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