かごのかたち

てらてらとしたあいだ 荷物を押し込み水平線につかまる、糸車から紡ぐ私の躰ははて、しあわせと飲み込まれる。ゆきのなかのふたり/はるさきに足を向け/眠りの途中にいる。観覧車は秒針をなくし、正しくは黒蜥蜴を何処へ運ぶのか。ブロックをつみあげたa6NOと、自由は産声を挙げる 過去の記憶の形だ。


生まれ乍らに重ねた掌に皹と逆剝けを。モウシアゲルモウシアゲル。進化の過程でハラワタは役に立たない。(というにアマガミの、)森羅万象を養生テープで囲い、挙げた〈錆。びた釘、儀ヲ、巧く〉耳を併せ進ませる。塩ノ波太陽ノ否はどこだったか、譜は壱円にも緋色の浮島、百万陀羅だって、も。


落ち窪んだ回廊の川を転げ回る私達の影を踏みつけ、手垢の付いた裸足でありふれたもの。ペラペラとよく喋る花の便りから逃げ出した憐れみとは、寝ぼけたことを。残照の首は傾ぐ。上ずった冗舌、名器の翅を引き伸ばしたカイナ、ゆっくりとした警告は不定形に固まった高揚に彩られ。コンスタントに、灘。だとしても。


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割れた頬紅で描いた走錨が牙をむく。吹き返しの風は生々しくひうひうと告げられたものだ。ただの片毬で刎ねることのない首だとしてもなまじ抱いた。濡羽色の烏はそれで、侭蕾。表裏のない嘴から生まれ出る天使のささめきごと/おくるみに戻して海に還したのだったと。その軟弱な靨だった。浮標ブイの幻黙。その『痛哭』

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