行途

壁の向こうから 網目の膨らみから

一粒のchocolateが

剰(あまつさ)え、てんてんさえ、丸く冴え

一日がコスモスとひとひらずつ

星がまた一つと、てのひらを廻っていた

折り鶴三周目の捻りから 喉を潤した

とすれば

雫/静けさ /視線が、うつむき加減に衝突する


赤ん坊はただ啼くばかり

点と知を繋ぎ芯のズレた処で


〈歩行する。〉


ここに無欲な犬を狩る、翼のない炎その鬣に等しい。刀身で切り開く。紅花は蜜に堕ち、斑蝶は星の皿の縁で、『今と』謳歌している。グラスには鳥居、お社、開かぬまなこの或る、あわされぬひらをてばたきに。白い鳩、宴の中の一幕、杭に餐まれた『わたしを』解いて磨いて、真水に紗らして


ほら! 翔んンよ


履物から凍みる 臆病なウジムシは爾か、乾いた口に頭を垂れ 浮かんでは消える。過ぐる日の誰そ彼。蜂 蛭 蜈蚣≒迷酔蛾<麻雲の孤毒>蚤 虻 蝿。命あるものを磔 息の根を啜る、屑繭の衣蛾の薄ら、略式の鉄漿 蠟染の紋白蝶 めくり上げた透水の裸體。杜の奥ふところ 血の端を深みに剃って、淵に隠伏す。


ひとよ

大事なモノなんて、我儘で身勝手なフルマイ

泣いたり怒ったり笑ったり/何に撒かれ何処に咲くのだろう

排泄物だよ、これは原案でしかない

なりかたちというありさまは、瓶詰めの風采だろう

どうせ

虚像に手を合わせ目を閉じてひれ伏すだけじゃないか


唯 讃えよ! 閂が恥ずれ明白に取結ぶ形相を扉と 単純な満彩をクレオンを喩えば/天に通ずるなら! 目が眩む程の渇望を象牙にて押し当て、摩滅に至る一花が幻想に榮える。瞳孔が光芒を退いた。朧に霞む月 気息を音した、モノクロームの純正律でしか生し得ない『是の病、後の行方』窮めて貴い、尤も/だが。


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