第47話 姉弟だった
- これはジューサがテンの力を使いエリックの屋敷過去へと戻る前の話 -
「しまった……」
冷や汗を書いて動揺するジューサ、それもそのはずである。
何せ【365ができる前の過去】まで戻ってしまったのだから
「寧ろ良いか、実際問題僕には365に来るまでの記憶が無かったし…」
改めて探索する気持ちに持ち直したジューサ、するとその視線は一件の家へと移る
「ここは……」
赤い屋根の家にはこう書かれていた
【煌羅咲家】
と
「つまりここは…レイの家?」
裏側の庭へと回る
カーテンが開いてるからこっそり除いてみる、すると
「!! なっ……」
驚いた
除いてみると二人の幼子がおもちゃで遊んでいた。
恐らく白髪の少女の方は幼きレイと見える、それは見ればわかる。だが黒髪の少年の方はどうだろう……
「明らかに……僕だ」
確信できた。 他人の気がしないしそれは明らかにジューサ本人の幼き頃の姿だったのだ
7~8歳ぐらいと思われるレイとジューサ、お互いにおもちゃをぶつけ合ってじゃれあっている
「とーう!! 喰らえ【アーサ】!!」
「やめてよ!!【レイア姉さん】!!!!!」
「ねぇ……さん……?」
その言葉に目を大きく開かせた
「それに僕は……アーサ……レイは僕の姉で……本当の名前はレイア」
直ぐに理解した。 信じられる自信もあった。
ジューサの本名は【煌羅咲アーサ】
そしてレイの本名は【煌羅咲レイア】
失われた記憶を思い出した
二人は紛れもない【姉弟】だったことを
「つまりその記憶は消されたんだ……それだってもう察しがつく」
「おーい!!レイア!!アーサ!!
お昼だぞー!!」
奥の方から聞こえる若い男性の声
その声に元気良く「はーい!!」
と返事する二人
ほら来た
白髪と黒髪に分けられた髪を持ち、白衣を来ている痩せ細った青年
「…【煌羅咲紀元】」
長男であり365全ての元凶、煌羅咲紀元
やはり彼が記憶を消した張本人であることに違いはなかった。
「わーい!!ビーフンだー!!♥️♥️♥️♥️」
「紀元兄さんの焼きビーフン美味しい♪」
紀元が作ったとされる焼きビーフンを美味しそうに食べる二人、それを見てドヤッと紀元がペラペラと説明する。
「それは僕は天才学者だからね、料理だって得意なのさ、フフン⭐」
「もーう!!学者と料理は関係ないでしょ!!」
「そうだっけ?」
わははははははと笑いが混じり合う誰が見ても平和な家族の食卓、今の煌羅咲紀元とはあり得ないほど別人に見えた
因みに両親の遺影が見えたので両親は既に他界しているらしい。紀元一人が二人を養っていたのだ。
「とても楽しそう……」
それが何で? こんな平和なのにどうしてこうなった? と悩むジューサ
「……過去を見続ければわかるか」
ジューサはトリックタイム=システムで過去を渡り続ける事にした
1日、また1日と煌羅咲家の過去を渡り続け徐々に取り戻していく。
- そしてその瞬間の時間(とき)へ来た -
そこには信号を待っている紀元とレイア
青信号になった。仲良く手を繋いで渡る二人
しかし、凄い大きな音が凄い速さで近づいてきて……
「!!お兄ちゃん危ない!!!!!」
「うわっ!?」
レイアに思い切り突き飛ばされる紀元
後ろからピピピ-!!!!グシャアアアアアアア!!!!!
と不穏な音が聞こえた
「いてて……え」
紀元が振り向く
そこには大型トラックが止まっている
そのトラックの右タイヤの横
【ちぎれた腕】が宙を舞って飛んで落ちた
「あ…あ……あ…」
トラックの下から流れる赤い液体
さっきまで可愛くて、愛らしくて、白く美しかったそれは真っ赤に染まりぐちゃぐちゃになっていた
「……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その場で膝をつき、叫び崩れる煌羅咲紀元
「……うっ」
背後で見ていたジューサは口に手を当てて顔が青ざめる
暫くして警察が来た。トラックの運転手はどうやら飲酒運転だったのだ。
飲酒運転?
そんな理由で大事な妹の命が奪われた?
数少ない家族を殺された?
「……っっっ!!!!」
手に怒りがこみ上げる、そして運転手の所へ走り
「よくも……よくも僕の妹をおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「うわっ!?」
殴った、ひたすらひたすらと殴りまくった
警察に止めなさいと止められても殴りまくった
「……次へ行こう」
ジューサは再びトリックタイム=システムで過去へと向かった
- そこからは地獄だ -
「うっ!!」
「さっさと命令通りにしろこの出来損ないがあ!!!!!!」
レイもといレイアを失ってからジューサ…アーサに強く当たるようになったのだ
殴る蹴るの暴行は当たり前、酷い時には手にたばこを突きつけられた
「…うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「あっはっはっはっはっ!!!!!痛いか!?痛いかよ、ええ!? けどな…レイアが味わった痛みはこんなもんじゃない!!!!!
何気ない平和な日常から突然悲劇が訪れたあの子の苦しみが!!!!!家にいたお前にはわかるか!?わかんねーだろ? なあ!!」
「ああああごめんなさい!!ごめんなさい!!
」
うずくまり許しを斯うアーサ、よろよろと力無く紀元に近づく
「何でもします…だからお願い……殺さないで…兄さん……いえ……【紀元お兄様】…」
「…………」
自分の這いつくばるアーサを無言で見つめる紀元
そして「はぁ」とため息をつき足で払いのける
「あうっ!!」
後ろを振り向く紀元、そして止めを指すような一言を浴びせる
「……【死んだのがお前なら良かったのに】」
「……っ!!」
去っていく紀元に必死で手を伸ばすアーサ
その目は涙でぐしゃぐしゃで震えが止まらない
待って…行かないで…どこ行くの…?やだ、行っちゃやだよお…お兄様…兄さん……お兄ちゃん……
いい子にするから…なんでも言うこと聞くなら…だからお願い……
僕を……見捨てないでぇ……!!
そして伸ばしていた手は降りて力無く意識を失った
「………………」
何も言えない、その光景を見て胸が苦しい
自分がこんな扱いを受けていた事実を知り呼吸が乱れる
「……次の過去へ!!」
逃げるように叫び次の過去へと飛んだ
- 続く -
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