第48話 そして0はいなくなる

前回の話から、No.0の過去へと繋がる



- レイアを交通事故で失ってから数ヶ月 -





「……見つけた」




煌羅咲紀元は度々レイアが轢かれた事故現場へ来ていた。 微かな希望を探すために




そして見つけたのだ




【レイアの脳の極一部】を





「これから作る………





【最高の妹】を!!!!!」






それから何年も何年も月日が流れた



彼は人に見つからず研究ができる空間をその科学者としての知識を最大限まで使い創ったのだ



それが後の【365日、一年中邪魔されない仮想空間365(ミムゴ)】である。




彼はボロボロのアーサをこき使い、ひたすら研究を重ねた。 録な食事も取らずその体が痩せ細るまで





そして………






「……完成だ!!」





できた。レイアそっくりなオートマタ



「けどこれは完成ではない、まだまだ未完成に過ぎない!! 美しく完璧にするには……まだだ」


限界極まる目付きでその瞳は野望に満ちていた




彼はこのレイアそっくりなオートマタをプロトタイプ【プロト:0】いわゆるレイ と名付けた




プロト:0を起動させる煌羅咲紀元




目覚めたばかりの彼女は動きがぎこちなく多少こけただけでもパーツが壊れてしまう。


実験は失敗か? そう思われたが……






「……どういうこだ?」




なんと壊れたパーツは数秒で回復していたのだ




紀元は試しにアーサにプロト:0をバラバラにしろと命令し、アーサは彼女を木っ端微塵に破壊する。しかし驚いた






「…!!これはこれは」




なんと直ぐに体が元に戻ったのだ!




「……くはははははは!!!!!素晴らしい!!素晴らしいよ!! 直ぐにリセットするその力!! きっとレイアの脳が「あの時交通事故にあっても直ぐに元通りになれば…」って願ってたんだろうなあ!!あーはははは!!!!!」




高笑いで大袈裟に拍手をする煌羅咲紀元



そのリセットの力、彼はそれを【リセットセット=システム】と名付けた




高笑いを止めた煌羅咲紀元




「……ニヤリ」




「ヒッ!!」




その目付きは冷たく怪しく笑みを浮かべてアーサに顔を向けた





「ああ…こんなに素晴らしいのに何故お前は只の人間なんだろうなあ」






ガシッ!!





「!?うわっ!?」





煌羅咲紀元が指をならすと2体のオートマタがアーサの腕を掴む





「や!!止めろ!!離せ!!」





ふふふと近づいてくる煌羅咲紀元




「何も取り柄の無いお前にも力をやろう…【人間を止めるんだ】この出来損ないが」 




思い切り手術代に叩きつけられるアーサ




「や、止めろ…やめ……」




ドリルがアーサの胸に近づき、そして










ギュイイイイイイイイン!!!!!





「ギャあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!この化け物おおおおおおおお!!!!!」







「あーはははははははははははははははははははははははははは!!!!!僕の優しさだ!!


人間の部分は半分残しといてあげるよ!!



さあ終われ……そして始まれ!!13番目のオートマタ…【No.13】!!!!!」






----------------------






ゆっくりと目が開く






「ああ…目覚めたかい?」





……僕は誰だ?




「しまった、ショックで【記憶も全て消し飛んだ】か」





そのようだ、僕は何も思い出せない





煌羅咲紀元は奥に眠るプロト:0に似た最新型のオートマタを見せる






……彼女は?





「彼女は【No.0】、最新型のオートマタだ


僕はこれを目覚めさせたい、だが目覚めるにはデータが足りないのだ」





煌羅咲紀元はNo.13に一冊のマニュアルを見せる






……これは?





「全てこのシナリオ通りに事を進めて欲しい、そうすれば僕のNo.0……【最高の妹】が完成するから」







……わかった、この場所からスタートすればいいんだな





「そのとーり!! 、後で君の仲間達も次から徐々に送っていくとしよう…そうだな先に隣の彼」





煌羅咲紀元は横を向くと白と赤の髪をした青年


「【No.1】を送る。そこから2人でこの本の通りに動くんだ。」







……わかった。了承しよう






「気を付けた前、君達はそこに着いた瞬間【全ての記憶】を失う。 これまでの記憶があるとシナリオの支障になりかねないからね。




そして君には全てを終わらせる力【ラグナロク=システム】を搭載した」







ラグナロク=システム……?





 「もしも何か想定外のことが起こった時に【全てを終らせる力】だ。だがそれを使うと積み上げた物も全て終ってしまう。 そして最後に来るだろうプロト:0のリセットセット=システムが発動してまた全て最初からだ」







…わかった、迂闊に使わないようにしよう








「そうか…わかった…ならば行ってこいNo.13!! 君はそこに向かった瞬間【ジューサ】と名乗ることだろう、それだけは消えないようになっている!!




さあ行け、始まりのスポット……




【お願いしまツリー】へ!!!!!」








----------------------




   ~ そして現在 ~


「ああああああああああああ!!!!!」




No.0の額に手を当て過去を読み取るレイア







「そうか…お願いしまツリーは人々の依頼を受ける場所は表の姿



ほんとの姿は……【ゲームのスタート地点】!!」







「あ…あ…」




No.0の手が光に包まれていく



瞳からはオイル……いや、人間と同じ涙が流れた






「……生きたかった




みんなが……オートマタ達が私の為にシナリオを動いてくれた……その気持ちに答えたかった!! だからもう無理をさせないように!!」





奪っていたのだ、脳みそを



自分がみんなと1つになればみんなが頑張る必要は無くなるから




それが彼女の…No.0のほんとの願いだった






「……うん、ほんとは優しいんだ」



優しい笑みを浮かべ自分の額をNo.0の額に合わせる





「私は……私は……煌羅咲紀元の我が儘で作られただけだから…でもその為にアーサも犠牲になって……人間からオートマタに改造されて…!!


一渡も……ペケを…かつての仲間達を失って!!」





その涙、その泣きじゃくる表情


No.0はオートマタではない




人間と同じだ






「ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい」





「…………No.13」




優しく彼女の肩に手を置くアーサ





「大丈夫、君を恨んだりなんか誰もしてない



それに何も出来なかった僕が力を手に入れられたのはオートマタになれたからなんだ、皆を守る力を……だから何も間違ってないよ……




ありがとう」






「………!!」




その目は大きく見開き





「……うん」




 レイアの力で消え行くNo.0



そんな彼女を優しく抱き締めるレイア





「消えるんじゃない…1つになるんだよ」





「1つに…?」





「うん、プロト:0でもNo.0でもない



煌羅咲レイア…只一人の人間に……」





「…………!!」





泣いていたNo.0の顔は笑顔になり、そして





「………うん、そうだね




【私】」






光の粒子となった彼女の体は……レイアに入っていった。






「…………終ったね」




アーサの言葉にレイアは頷く







「うん、後はこの世界をリセットし……」






その時だった







ズブシュ!!







「!!」






「あーはっはっはっはっはっはっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!素晴らしい!!素晴らしいよ!!!!!まさかこれまでぜーんぶ


【僕のシナリオ通り】とわねええええええええええええええええ!!!!!」





レイアを貫き背後で高笑いする男






「……きげええええええええええん!!!!!!!!!」





生きていたのだ、煌羅咲紀元が!!






「あの時死んだのはダミーのオートマタさ!!」






「ああ……ああ……!!」





レイアを貫いた爪が深く刺さっていく



そして





パシュウウウウウウウウ!!!!!






「ああ!!!!!いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





レイアの光を吸収し始めた!!






「待ってたよ!!プロト:0とNo.0が1つになるこの時を!! さあずっとこれからは一緒だよ♥️



僕の…最高の妹おおおおおお!!!!!」






「ああ…光が飲み込まれ……アーサああああああああああああ!!!!!」


 



「姉さああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」





アーサが手を伸ばすも時既に遅し




レイアは光となり…煌羅咲紀元の中に入った






「あ…あ……」






光に包まれ姿が代わる煌羅咲紀元


その姿はまるでギリシャ神話のゼウス神のようだ





「ああ♥️これでずっと一緒だ…僕の可愛い可愛い妹♥️」






全てが煌羅咲紀元の本に書いてあったシナリオ通りだった、……抗ってなどいない、全て読まれていたのだ






「この………貴様ああああああ!!!!!」




怒りで剣を向けるアーサ






「さて、後はこの出来損ないの弟を破壊するだけ♥️お前の役目も終ったよNo.13」





光に包まれているのに残酷なオーラが近づく度に伝わってくる







「この【神になった】煌羅咲紀元が審判を下してやろう」





- 続く -














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