第36話 No.0(ナンバー・ゼロ)×Proto・0(プロト・ゼロ)
侵入したイチとジューサの前で仮面を剥がしたハカセの正体、それは
「改めて自己紹介を、僕は【煌羅咲紀元(きらさききげん)】正真正銘の煌羅咲麗の兄だ」
レイ兄、煌羅咲紀元その人その者だったのだ
「どういう事だ!? 何故あなたが365に!?」
驚きの余り理解が追い付かないジューサ、それをイチが冷静に答える
「…何でも糞もねーよ
だってこれまでの事、この世界全て
【煌羅咲紀元が作った実験世界】なんだからな」
その言葉に耳を疑うジューサ
「え……?」
いつも以上に目を開かせ開けた口が塞がらなくなる
「作った…?この世界を…?」
それは可笑しい、以前ハカセが話した【365を見つけた】という言葉を覚えている
「それならば…今の言葉と矛盾が生まれるはずだ!!見つけたとは作ったとは違う!!」
ハカセ…もとい紀元に反論するジューサ、しかしそれを聞いたイチが紀元の方を見ながら呟く
「ジューサ、お前はクールに見えて人を見るのが下手だからもう少し人間観察を疑った方がいいぞ」
それにジューサも少し怒りを露に答えてしまう
「なんだと!? ならイチ!! 何で君はそんなことが分かるんだ!! 何処で!! どうやって真相を突き止めた!!!!!」
「ああ…突き止めたんじゃねえんだ」
ゆっくりと、ゆっくりと彼の左目に埋められた【1】の数字、そこに左手を伸ばし添える
「見えちまうんだよ…【1秒1秒の未来】が
レイが時を戻したお陰でな」
「え………」
何を言ってるんだとイチを唖然と見る
それを傍観していた紀元は本当の悪党のように額に手を当てて高笑いし始める!!!!!
「くっくっくっくっ……
あーハッハッハッハッ!!!!!!
ああ愛しいレイ!!!!!そんな何処かお間抜けな姿も我が妹ながら愛らしいいいいいい!!!!!!」
「見える…?…レイが時を戻したから…?…」
高笑いが落ち着き冷たい眼差しで紀元はジューサを見る、そして彼に指を指してにやつきながら答える
「昔からここにいる割には本当に何も知らないんだなねえ、ならばここで教えてあげよう」
そして視線だけをイチに向け、叫ぶように答えた
「そこにいるイチ!!
いや
No.1(ファウスト)はあ!!
見えてしまうんだよ!!!!!
【1秒1秒毎に未来】がねえ!!!!!
【誰よりも一番先に】!!!!!
1(イチ)だからああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!
あーハッハッハッ!!!!!
あーハッハッハッ!!!!!
ああああああ!!!!!」
高笑いをして答える紀元の言葉にジューサはイチを震えながら見る
「…未来が見える…?
一番最初に…?」
「………」
イチも口を開き
「……ああ、そうだな」
「嫌でも1秒1秒見えちまうんだよな
【全ての人類の未来、そうインプットされてるから】」
「インプット…?」
何を訳の分からないことを言ってるんだとジューサ、しかしイチは慌てること無くそれに答える
「【タイムシステム】」
「え」
「それは俺に内蔵された機能で【時間が進むことに干渉している】
レイが秒を作り直す前はその能力でずっと未来を予測していたんだ」
その言葉を聞いてクククと笑い答える紀元
「凄いでしょ?僕の発明♪
そしてレイに内蔵したのは【リセットセットシステム】
彼女の感情が高ぶったとき機能し、対象をリセットする効果を持つ」
「ちょっと待てよ」
とジューサが紀元とイチの話を止める
「さっきからシステムだのなんだの…それじゃまるで僕たちは作られたような存在じゃ…」
その言葉に紀元が口を挟み
「そうだよ」
「え」
そして伝えた
知りたくなかった真相を
「君達全員、この世界の住人も
【僕が作ったオートマタ(機械人形)】なんだよ
……No.13(ナンバー・サーティ-ン)」
「……な…に…」
ザザザ
頭の中にノイズが走る
「嘘だ……」
ザザザ
「嘘だああああああ!!!!!」
自分達が作られた機械人形だって!? そんなわけがない!!
だって僕達には管理者って役目があるし心もあるし飲み食いだって!! 睡眠だって!!
全部出来るじゃないか!!!!!
「……と言いたいところ悪いけどよジューサ」
そう言い出そうとしたジューサにイチが先に言葉を出す
「その話……本当だぜ」
自分の頭に両手を当てるイチ
そしてその両手を⬆️に上げると持った頭部がまるで蓋を開けるかのように
「!?うわあああああああああああああ!!!!!」
その恐怖にジューサは後ろに退いた
丸見えの脳ミソ、そこには無数のチップが付いていて
「……黙ってて悪かったな、俺もオートマタだ……イチは仮の名
ホントの名はNo.1(ナンバー・ファースト)」
口を震わせてそれでも信じたくない、否定したいジューサ
「う、嘘だ…イチはイチだ……だって可笑しいじゃないか!!」
ならなぜ元の世界…ここではない世界の記憶をみんな持ってる!? イチには戦争の、ニーには恋人の裏切りという元の世界の出来事がちゃんとある……それがこの異世界に来た、ここが異世界という事の証明じゃないか!!と訴えるジューサ
その言葉にため息を付きながらポリポリ頭を書いて紀元は答える
「どうとでもなるよそんなの機械なんだからさ、No.1の脳ミソに付いてるチップみたいに記憶を書き換えるチップなんて簡単に作れるわけ」
「チップ……?」
じゃあ…元の世界なんて…
「その通り」
「【元々存在しない出来事をチップが見せてる嘘の記憶】なんだよ、君達自身が自分が作られたオートマタだって気づけないようにするためにね♪」
「-っ!!!!!!」
膝を付きショックを受けるジューサ
次に言う言葉…聞くのが怖い…けど聞くしかない
「…じゃあ…僕はホントは人間でもジューサでもなく」
ニヤアと不気味に笑みを浮かべる紀元、そしてその質問に躊躇無く楽しんでるように答える
「そのとーり!!
君は人間ではないオートマタ!!!!!
そしてホントの名前はジューサではなく僕が作った
【No.13(ナンバー・サーティーン)】!!!!!」
「!!!!!!!!!!」
ショックが真実が凄まじかった
元の世界があると思ってた
みんな人だと思ってた
365という世界があると思ってた
しかしそれは全て全部嘘
【チップが見せてる365という異世界…否【研究所】での実験のための嘘の出来事】
顔を下に向け紀元に尋ねる
あの時紀元が行っていた「No.13はナクヨとミナゴを恐れて逃げた自分そっくりの存在」
しかしそれは別の存在ではなく
自分自身だったのだ
「何で…わざわざそんなことを」
んー?と嫌らしい笑顔で聞く紀元
「そうだねえ、そろそろ教えてもいいかもね♪」
気になっていた幕の降りている奥の場所
紀元が大きく叫びながらそこを開けた!!
「全ては君達を使って研究データをチップに学習させ【最高の妹】を作るためさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「!?ひっ!?」
それ見てジューサは震える!!
上がる幕
下から見えてくる中の正体
そこには
「な…なんだよこれええええええ!!!!!!!!!!!」
幕の裏
そこには無惨にバラバラに倒れているたくさんのオートマタ達
しかしそんな中、中央の巨大なイスに座っている全裸の少女のオートマタ
それは何処か彼女に似ていて…
「…レイ!!!!!?」
なんとレイそっくりだったのだ!!
しかしノンノンノン!!と紀元が激しく否定する!!
「それはこの子を作るために僕が最初に作り上げた試作品【Proto・0(プロト・ゼロ)】の事さ!!
ここに眠るのは僕の最高の妹!!!!!」
「【No.0(ナンバー・ゼロ)】
さああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「No.……0」
確かナクヨとミナゴから逃げたってと言いかけたジューサ、その間を割り込むように紀元が話す
「ああ、あれは一同起こしただけ、No.794、No.375の能力記憶をすべてチップに埋め込ませるために……そして」
紀元が懐から出した謎のスイッチ、それを押すと
「ん…ふわあーあ…ハカセ?」
「何してるの? ハカセ」
背後からやってきたのは聞き覚えのある声
「ナクヨ…ミナゴ…?」
「僕がスイッチを押せば二人は何処からでも来るようになってる、ささ二人とも、ごめんよ~ハカセお腹が好きすぎて昨日のハンバーグ勝手に食べちゃったんだ💦」
「ええ!?」
「僕のハンバーグ~!!」
ぷんすかと二人、そんな二人の頭に手を当てて話す
「代わりにとびきり美味しいハンバーグをつくってあげるからね」
「ホント!?」
「ハカセ大好き-!!」
ウキウキする二人、しかしそんな二人をニヤリと笑った紀元は……
「え……」
二人の頭を無理矢理開けて手を突っ込む
「君達の……脳ミソ出ねえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
二人の脳に手を当て無理矢理こねくりまわしたのだ!!
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、」
「ぎ、が、ご、げ、が、ギィ!?」
脳ミソをいじくり回されぐちゃぐちゃにされてくるうナクヨとミナゴ、その光景をジューサは唖然と見ていた
「そお~れこねこねこねこね~」
「ぎさやゎあしゎへさはわむあ!!!!!?」
「御ふしもゆじさはゎたあしをあならわやへ!!!!!!?」
もはや声にならない叫びを上げる二人そして
「二つの脳ミソがっちゃんこオオオオお!!!!!」
「何……してるんだよおおおおお!!!!!」
怒りと恐怖のあまり紀元の元へ剣を抜き走るジューサ、しかし
「!?ぐっ!!」
後ろから何者かに刺される!!その相手はなんと……
「イ……イチ……どうして……?」
「悪いなジューサ、この計画…【project・0(ゼロ)】を潰すわけには行かねーんだ」
かはと血を吐きながら嘘だとイチを疑いの目で見てしまう……
「イチ…君は最初から……うらぎ……」
霞む視界の中、倒れるジューサ
それをやれやれと眺めるイチ
イチと紀元は…最初からグルだったのだ
「じゃじゃーん!!!!!できたよお!!No.794とNo.375の全ての記憶が入った天才脳ミソハンバーグ!!!!! あの二人を外に出していろいろ学ばせた甲斐があった……くうぅうう!!!!お陰で超天才な脳ミソができた!!!!!」
狂ったように喜ぶ紀元に対してため息をつくイチ
「良く言うぜ時止めの狭間とかいう【学習させる為の密室】でたくさん本を読ませて学習させた癖に」
「ふふふーん、その通り」
ウキウキと隅の棚から一冊の厚い本をだす
「【project・0企画マニュアル】、時止めの狭間もあの二人の脳に色々と学ばせる為の部屋、そしてジャバウォールも君達と戦闘をさせて君達のデータを取るために僕が昔から作ったテスト用オートマタ♪ どう?時止めの狭間までのルート、ゲームみたいに楽しかったでしょ?」
マニュアルのページを開く紀元、そこには【時止めの狭間行き方条件】と書かれていた
「最初からゲームみたくしたくてねえ、お陰でみんなマニュアル通り動いてくれたよ、まあそう動くように僕が既に脳にチップを入れてたんだけどね♪……先代の管理者…いや【先代のオートマタ】も以下同文」
これまでの出来事…時止めの狭間までのルート…ジャバウォールの存在…先代達もオートマタだった事実上、全て紀元の企画通りだったのだ
「んで、俺らはどうすんだよ」
「ああ、勿論脳ミソを回収するよ、No.0を起こしてね、ああでもプロト0、No.13、そしてNo.1、君達はまだダーメ♥️ 物事には順序があるからさ」
なんとレイ、ジューサ、イチの脳はまだ取らないというのだ
「はぁ、陰気くせえやり方だなほんとに」
未来が見えてしまうイチ、脳の中に先に自分達の脳を取り入れた未来が見えてしまう
「君の未来が見える力はNo.0に危害が加わらない為に必要、Proto・0のリセットセット能力もまだ彼女が完全に回復しきっていないから脳が万全じゃない……そしてNo.13の終わらせる力【ラグナロクシステム】、これは最後だ、全てを学習しきる前に終わらせる訳にはいかないからね」
「なるほどなあ、けどもう起こすんだろ?」
というイチの言葉にクククククと笑う紀元
「その通り!!このNo.794とNo.375の脳ミソハンバーグでも充分起動はできる」
眠るNo.0の前に行き頭を開く紀元
中には今までのオートマタから取って合わさった脳が入っている
そこに先程取ったナクヨ&ミナゴの脳をくっつけてぐちゃぐちゃに混ぜる
「さあ…目覚める時間だ……
No.0」
ひとつになって大きくなった脳をNo.0に入れ直し頭を閉じる
すると……No.0を赤い瞳がうっすらと開いてきて……
「……………」
「ああ…ようやく目覚めた…おはよう!!No.0!!僕の最高のいもう…と?」
紀元が喜びのあまり話しかけた瞬間だった
ズシュッ
「……か……は?」
No.0のドリルに変わった右腕が紀元を貫いたのだ、まるでそれはミナゴのように
「な……なぜ……!!」
「はぁ」
ため息を付きながら答えるイチ
「あのなあ、先代のオートマタの記憶も入ってる脳ってことは【誰かしらお前に恨みを持ってるやつも1人は存在する】って事だろうよ、全員が全員お前に賛同する訳じゃねーんだから」
そう、これまでNo.0はたくさんのオートマタの記憶の脳を入れられてきた
その中で紀元に恨みを持つ者もいたというのは明らかな事なのである、なんせたくさんいたのだから
「くく……ははは」
頭に手を当てて不気味に笑う紀元、そして狂人のように大笑いする
「はーはっはっはっ!!!!素晴らしい!!!!!素晴らしいよNo.0!!!!!
それでこそ僕の作った
最高の妹だああああああああ!!!!!」
パアン!!!!
「……うるさい」
No.0の銃に変わった右腕が紀元の頭を貫いた
「はぁ……」
よいしょと気だるそうに起きるNo.0
後ろを振り返りイチを見る
「……おはよう【お兄ちゃん】」
お兄ちゃん、その言葉を聞き優しく微笑みイチも返す
「ああおはようNo.0」
「【俺の妹】」
- 次回 【project・0編】 始動 -
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