第37話 脳ミソ狂い

ん、あれ…ここはどこ?


目が開かないや…なんか疲れてるのかな……




「ぐす……うええぇ…」




ん?誰かが泣いてる?





そこにいるのは幼くなった私のような女の子




ねえ、どうしたの? お名前は?





「ひっく…ひっく」




あっ、ごめん、まずは自分から名前を言うのが礼儀だよね、私はきら…きら……













……煌羅咲麗












だよね?









- 第3章【Project:0(プロジェクト:レイ)】-





「おはよう【お兄ちゃん】」



No.1(ファウスト)、イチに向かってそう言うレイにそっくりな全裸の少女【No.0(ナンバー、レイ)】、ただレイと違う所は紫の色の瞳をするレイと違い、彼女の瞳は真紅の赤、そして穏やかな眼差しの彼女よりもつり目である





お兄ちゃん



そう呼ばれたイチはため息をついて答える





「……【✕(ペケ)】の記憶か?」





No.0はそう言われるとニコッと笑い大きく頷く




「うん!!そうだよ!! 【天晴 一渡(あまはれ、いちと)】お兄ちゃん!!」




起こしてー!とイチに向かい両手を差し出すNo.0



ハイハイとその手を掴み彼女を起こす





天晴 一渡、それが彼の本名らしい





「やれやれ、ペケじゃない奴にお兄ちゃん言われても違和感しかねーよ」




「でも私の脳みそ…ペケの脳みそにはそう記憶されてるよ」




指を額に当ててこの中に記憶してあるよとNo.0




どうやらペケと呼ばれるイチのかつての仲間の脳みそがNo.0に入っているらしい





「お兄ちゃん!! そうあなたを呼ぶのが大好きだったみたい!!」





イチは静かに微笑み頷く






「ああ…そうだな」




それはどこか儚げで寂しそうな表情だった






「ごめんなペケ……お前の体を守ってやれなくて」





No.0の額に頭を当てるイチ







「俺の事を何度も何度もお兄ちゃんと呼んで慕ってくれたオートマタの中でも珍しい唯一感情のあるオートマタだった、何をやってもダメダメでホントに機械か? と思ったけどその明るい笑顔にいつも励まされたな……ずっとこう言うってたんだ」




目を瞑り、イチは思い出に浸る









お兄ちゃん!!私ね!!






いつかお兄ちゃんと同じ








【人間】になるの!!!!!





そうしたらお兄ちゃんと同じ




【人として】




一緒に生きるんだ!!!!!










「……俺は正真正銘【人間だった】」






なんとイチだけは本当に人間だった



それを煌羅咲紀元に利用されてオートマタにされたのだ






「…自らの実験の為に捕らえられたペケを守るために駆け引きを持ち込まれたんだ」







-----------過去---------






「やめてくれ!!頼む!!どうかペケだけは!! ペケだけは……実験に…使わないでくれ…」




土下座で頼んだ過去のイチ




そこに顎に指を当てて考える煌羅咲紀元






「んー、どうしようかね」






「ペケは……ずっと人間として生きることに憧れていたんだ、だから……ペケを実験に使うのはやめてくれ……」





「………!!」





その言葉を聞いた紀元の口元がニヤリと笑った




それはまるで悪魔のように






「……わかった」






「!!ほんとか!!」





「たーだし、条件がある」





一渡だった頃の彼に指を指す煌羅咲紀元



そして放った一言が











「代わりに君がオートマタになって僕の実験に協力するんだ」






「!!!!!」





そしたらペケは実験には使わない、そう言う煌羅咲紀元






「……………」




顔を下に向けて暫く考え込むイチ






そして







「……わかった、何でもしよう」




飲み込んでしまった






そして彼の人としての人生は終わるのだ









----------------------








「だが…結局、奴は約束を守らなかった





ペケの脳を…お前に混ぜ、俺はオートマタにされ、ファウストップシステムという1秒後に全ての人類の未来が見えてしまうというきつい機能を付けられちまった」






協力するといったね? ならば永遠に僕の助手として働いてもらうよ?





もし裏切ったら









No.0に混ぜた【ペケの脳を完全に破壊するからね】






「そう言われて煌羅咲紀元に協力せざるを得なくなった……そうだよねお兄ちゃん」





イチが言う前にNo.0が答える




「結局約束なんて守る気が無かったんだよ…俺は…俺達は…騙されたんだ」





俯くイチ、そんな彼を見かねたNo.0は彼の手を握り







「大丈夫!! 私が最高の妹になってあげる!!!!!」





「………!!」






「お兄ちゃんの痛みがわかるから、だから私はペケとして生きてあげるよ!!」




お兄ちゃん!!とイチに抱きつくNo.0





「お前は…ペケじゃない」




そう喉元まで言葉がでかかった、けどもうイチにはNo.0がペケにしか見えなくなっていた







「ペケ………」





ペケに見えたNo.0の頭を撫でようとした時、彼女は咲程までとは違い、殺意のある眼差しでイチを睨み付ける







「でも協力してくれないと私が自分でペケの部分を壊して殺すからね」




「!!!!!」



ゾクッと悪寒が走る





そうだ、彼女の…No.0としての本性はこっち


逆らったら殺される






イチの中に恐怖が走った







「……わかってる、お前を最高の妹にするために手伝うよ……【Project:0(プロジェクト:レイ)計画】を」





ニコーっとその言葉を聞いてまたペケのような表情に戻るNo.0






「うん!!約束だよ、お兄ちゃん♥️」




その笑顔の裏で「逆らったら私の頭の中のペケを殺すからな?」という意志が伝わってきた








- そして煌羅咲紀元の小屋の外に出る -






「うーん、何か手がかりとか捕まれたら嫌だし燃やしちゃおっかこの小屋」





「待て、まだジューサが…いや、大丈夫か」



この後誰かに助けられるジューサの未来が見えたイチ、しかしそれは影になっていて誰かはわからない





右手を火炎放射器に変えるNo.0








「じゃあ、燃やすね-♪」








燃え盛る小屋だったもの、その騒ぎを聞きつけ365の住人が二人の所へ集まってくる






「イチ…それにレイ、何をやってるんだい?」



おばさんが震えながら訪ねる






「それに…エリックを殺したって…本当かい?」





その言葉に黙っていたイチだが






「…………」










「ああ…そうだな」








「!!!!!」





その答えに住人が全員驚愕し抗議をあげる






「バカな!!管理者が人を殺しただと!?」






「管理者は俺達を守ってくれる存在じゃ無かったのか!?」






「悪魔!! 疫病神!!!!!人殺し!!!!!」




ワー!!ワー!!と罵声を浴びせられるイチ





「…………」



口を紡ぐイチ、その後ろから舌打ちをしながら前に立つNo.0







「っさいなあ」




両手をガトリングに変えて撃ちまくった!!!!!






「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」





悲鳴と共に倒れていく住人達






「脳みそにもならないモブトマタ達が偉そうにしないでよ、管理者なんて私を隠すための【カモフラージュ】なんだから!!」




全員倒れることを確認してからクルっとイチの方を向くイチの方を向く






「さっ、行くよお兄ちゃん♥️」






「……何処へ?」






「んーと、まずはProto・0が目覚めてないか確認して~そっから管理者達を一人ずつ破壊して脳を食べていこう♪」







悪魔のような笑みを浮かぶ









「【脳みそ狂い♥️モグモグバイキング】


を始めるよ♪」









 - 続く -















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