第24話 ナクヨとミナゴについて
ごくりと唾をのみ、二人で一緒に扉を開けるレイとジューサ
その中はとてもこのねじ曲がった空間とは思えないほど異様な場所だった
「何…ここ」
「ここは…教会か?」
そこはなんと立派な教会
辺り一面に美しいステンドグラスが張り詰められ、奥には大きな祭壇が立ち巨大なパイプオルガンがレイ達を見下ろすように天井のあらゆる場所に設置されてある
ガーン!!!!
その祭壇が左側、美しい音色と無理やり叩き鳴らしたような不協和音がクロスしたようにピアノを弾いている1人の人物が入る
「おや…君達は」
ピアノから立ちレイとジューサにゆっくり近づいてくる人物、声からして男性だろうか
とても背が高く不気味な仮面を付けている
「こ、こんにちは!!わ、私はレイって言います!!!!!💦」
あたふたと慌てながら自己紹介をするレイ、その横で警戒しながらもボソッと「ジューサだ…」と自分の名を告げるジューサ
その二人を見て頭をポリポリ書きながらじっくり見つめる仮面の男……すると
「……ああああああああああ!!!!!君達が!!!!!」
「は!?はい!!」
急に大声を出されて驚きながらも頷くレイ、すると仮面の男は申し訳なさそうに二人に謝罪する
「ああ、いやすまないね驚かせて、
君達が来たと言うことは秒を取り返しに来たんだろう? 因みにナクヨとミナゴという二人の子供にはあったかい?」
「いるよ」
「ここだよ、ハカセ💦」
どうやらナクヨの言うように彼が噂の【ハカセ】らしい、レイとジューサの背後から呼ばれたかのようにハカセの前に走っていくナクヨとミナゴ
するとそんな二人をまるで父親のように頭に手をポンと乗せる
「よしよし、いい子だ、二人が連れてきてくれたんだね」
二人の頭を撫でるハカセ、ナクヨもミナゴもえへへ~と嬉しそうにそんなハカセを見つめて答える
「そうだよ、彼らはどうやら味方らしい
勘違いして斬りかかった」
「何やってんの!?」
「後やっぱりテンちゃんがレイちゃん達に迷惑かけたみたいなの…」
「ほんとに何やってんの!?」
二人の会話を聞いてはぁとため息を付くハカセ
「あ、あのテンさんとはお知り合いで?💦」
レイの言葉にハカセは首を横に降る
「いや、知り合いどころか家族だよ」
「?どー言うことだ?」
疑問を感じるジューサ
するとハカセは驚愕の事実を伝えた
「彼は僕の作った実験体No.10(テン)だ」
「!!!!!」
その言葉に驚く二人、なんとテンは元の姿や元の世界も何もない【作られた存在】だったのだ
ハカセはナクヨとミナゴの方を見つめる
「この二人には最初心という物が存在しなくてね、僕が作った他の実験体を全部壊して暴れまわっちゃって、それで怯えた彼はこの狭間からの逃げてしまったんだ…他にも君達にそっくりな【No.0(ナンバーゼロ)】【No.13(サーティン)】もね」
「いや、待て待て待て待て待て待て」
今さらっと凄いことを自然に言われた気がするジューサとレイ
「僕達とそっくりなのいたの?」
頷くハカセ、秒を手にかざし、この力を説明をする。
「うん、そうだよ、この力があれば時から次元すら越えられる。そこで365を見つけた
時を司るこの世界なら色々な事を2人に教えてあげられると思ってね、君達の元の世界にも飛んで君達の姿をコピーさせて貰ったんだ」
なんと秒には次元を越える力すらあるのだ!!
「……えっち」
顔を赤らめながら呟くレイ
その言葉に困りながら答えるハカセ
「ごめんね、この二人にどうしても色々な事を教えてあげたくて、後まともな容姿もあげたくて君達の姿をコピーさせて貰ったんだ」
「…ほんとにえっち」
「ほんとにすまない、けど君達2人のお陰でナクヨとミナゴも感情も、まともな容姿も手に入れることが出来た」
「ああいや待て待て待て待て待て」
また自然な流れに巻き込まれそうだったジューサ
「あくまで僕らの姿をコピーしたのはNo.0とNo.13だったんだろ?」
ジューサはナクヨとミナゴの方を向く
「なら何故あの二人も僕らと同じ…いや、僕らを合わせた姿なんだ!?」
そう、あくまでレイとジューサをコピーしたのはNo.0とNo.13なら何故ナクヨとミナゴがレイとジューサを合わせたような姿をしていたのか
その疑問にナクヨとミナゴが答える
「ナクヨと話し合った」
「あの逃げた二人…私達より先に生まれたお兄ちゃんとお姉ちゃん…なんかとても綺麗で可愛くてかっこ良かったね」
「僕らもあの姿になってみたい」
「けどすぐ逃げちゃったからわからないよぉ」
「確か…こんな感じで」
「こんな感じでもあったよね?」
「……あれ?」×2
「…って感じでふたりの事をうる覚えで思い出したらこの姿になっちゃったの」
「これはこれでかっこいい✨✨✨✨」
なんと二人の姿の由来は【レイとジューサをうる覚えで思い出したら二人を合わせたような感じになっちゃった】んだという
「(頭良いのか悪いのかわからないぞ実験体!!!!!)」
これには流石のジューサも突っ込みを入れざる得なかった
「…まあでも、ふふ」
「レイ?」
クスッと笑うレイに首を傾げるジューサ
「二人とも、良かったなあって…きっと、最初は心もなくて、男の子かも女の子かも自分でわからない姿だったんだよね? そんな二人の役に立てたなら私も嬉しいよ♪」
「…怒っていないのかい?」
レイは笑顔で頷く
「理由が分かれば私も怒ったりなんかしません」
レイは2人に近づき頭を撫でる
「最初は心も人も無かったらしい作られた存在の二人が…私とジューサのお陰で立派な人間に近づけたんだもの、寧ろ誇りに思いますよ」
よしよしと二人を撫でるレイをやれやれと微笑むジューサ
「ほんとに君は仏のような…いや、聖母のようなメンタルをしているな」
「……かあしゃん」
「おかあしゃん」
「ふぅえ!? お母さんではないよ!?…セメテオネエチャンガイイ」
「レイ、願望が聞こえてるぞ」
そんなやり取りをしているレイを見てハカセが訪ねる
「レイ…君はそんな風に思ってくれるのかい?こんな勝手な行いをした僕達を」
頷くレイ
「はい、ハカセも悪いことをするために秒を盗んだわけではありませんし、何よりテンさんの言葉も今分かった気がしますから」
あの時テンの言ったテンの言葉
【ナクヨとミナゴの為】
テンも全てナクヨとミナゴにたくさん物事を教えたいから秒を盗んだのだ。時を越えて、次元を越えて、そこで大事なものをたくさん鎌で狩り、ナクヨとミナゴに見せてこれがどういうもなのかと学ばせる
「………」
ハカセは目をつむり、感謝を述べる
「ありがとう……ナクヨとミナゴはもう充分たくさんの事を学んだ、秒と、テンが狩った人の大切なもの、全て返すよ」
「しかし」
疑問に浮かぶジューサ
「何故一回逃げたはずのテンが秒を盗んでまたここに…?」
ううん、とレイ
「逃げたんじゃないよ、きっと【あの二人に何か心を教えられるものを探しに向かって秒を持ってきたんだよ】」
頷くハカセ
「そしてもう充分だと思い1度先代の0月の管理者に返したんだけどね」
「先代にあった事が!?」
驚くジューサにハカセは頷く
「他にもたくさんの先代の管理者達にもね
……しかしテンは「まだだ!!まだ足りない!!もっと学ばせるんだ!!」とまた秒を盗んで持ってきてしまった」
納得がいった
1度返した秒をテンが【ナクヨとミナゴを学ばせ足りない】飛んで思いまた盗んできてしまったのだ
「他にもたくさんの人達の大切なものを…しかしそっから先は使っていない、もう必要ないからね……さあ、そろそろ返そ…」
ハカセが秒をレイとジューサに返そうとしたその時だった!!
ズバシュ!!!!
「!!!!!」
「!?ハカセエエエエエエエエエ!!!!!」
何者かが…ハカセを背後から切り裂いたのだ
倒れるハカセ…その後ろには大きな鎌を持ったカボチャ頭がケタケタ笑いながら立っていた
「カーッカッカッカ!!……バアアアアアカ!!!!!
返すわけねーだろ!!!!!
もっと…いや、永遠にナクヨとミナゴにはたくさんの事を学ばせて僕の下部にするのさああああ!!!!!」
「……テエエエエエエエエエエエエン!!!!!!!!」
怒りに満ちたジューサがサーベルを抜きテンに斬りかかる!!
倒れたハカセには残った3人が
「ハカセ!!ハカセ!!やだ!!死んじゃいや!!」
泣き叫びながらハカセを必死に揺さぶるミナゴ
それを見てナクヨも…きっと初めての涙を流した
「うう…」
朦朧とする意識で3人を見つめるハカセ
うっすら笑みを浮かべる
「そんな顔も出来るようになったのか…良かった……レイ、頼むよ
テンを…止めて…くれ」
そう、言い残し……ハカセは静かに目を閉じた
「ハカセ…ハカセエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!」
ミナゴは必死に、がむしゃらにモルフォ蝶を発動してハカセを生き返らせようとはげむ
ミナゴはプルプルと拳に怒りをためて、両腕をドリルに変える!!
「……貴様ああああああああああ!!!!」
そして怒りに身を任せテンへと向かった!!
そんなテンも二人を嘲笑うように鎌で相殺しながら煽る
「ジューサくうううぅん、僕に構ってて良いのかなあ?」
「黙れえ!!何が言いたい!!」
「今頃365、ヤバいかもよお?」
「どういう事だ!!!!!」
嘲笑うように…そして冷たいように笑いながら答える
「だって……」
「復活させちゃった☆時の破壊龍【ジャバウォール】♥️」
「なっ……!!」
全員が奮闘している中
レイは静かに俯いていた
- 続く -
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