第23話 ハカセ

「人造人間…?」



ジューサとミナゴに合流したレイとナクヨ




ミナゴはドリルに変えた右腕を元に戻し、話をする体勢に戻る






「そうだ、僕達は【ハカセ】が作った【実験体No.0~1000までの間で唯一生き残ったNo.375とNo.794】」




「生き残ったとはどう言うことだ?」



負傷した右足を抱えながらジューサが訪ねる、しかしそこでナクヨが慌てた様子で割り込み





「わっ!!大変!! お話の前に治療しなくっちゃ!!」




パタパタとジューサの所へ走るナクヨ、ジューサの右足に手を添える…すると






「…【モルフォ蝶】」



なんとナクヨの背中から蝶の羽が生え、美しい光の鱗粉をジューサの右足に撒き散らす




するとジューサの負傷した傷が癒えてくる





「凄い…、君は回復も出来るのか」





「私は守りと癒し…【ハカセが私の性格でそう判断した】の」





「あ、あの…その力って…」




ジューサの治療が終わった所でミナゴが自分の頭に指をトントンと当てて答える





ミナゴ「僕達には記憶があるんだ」









ミナゴ「【世界全ての記憶】その中から【自分の性格にあった記憶を自分の能力に出来る】ようにハカセが僕らを作った」





「!!!!!」






----------------------


…いや、参ったな





せっかく作った実験体No.0~No.1000


その中のNo.0とNo.10は何処かへ脱走


他の実験体達は全てNo.375が破壊してしまった



やれやれ、彼には感情が欠けている。見たもの全て壊してしまうキラーマシンになってしまった



どうにか彼を宥められる何かはないか…







ピク


ピク





……おや?あれは、実験体No.794、まだ意識があったとは



ズル…


ズル…




!?ま、まずい彼女がNo.375の所へ!!


既に下半身が破壊され体を引きずって動くような状態なのにNo.375の所へ



今度こそ死ぬぞ!!






ズル…





「…………」




No.794がNo.375を見つめている…いや、心なしかNo.794もさっきまで振るっていた腕を止めている……? どういう










ぎゅっ






!! これは……予想外だ




No.794がNo.375をその今にも壊れそうな体で抱きしめ……









つー






僕は驚いた……No.794が涙を流したのだ





間違いない、彼女には感情があるのだ!!




もしかするとNo.794ならNo.375の暴走を止められるかもしれない……







…ならこうしよう





あの二人を双子の兄妹にしよう



そして色々な事を教えよう







本物の人間に近づける為に…!!





そして僕は自分の私物で持っている分の本を教えた




するとNo.794が昆虫図鑑に興味を示し、蝶のページを指差した




「……?」




いいかい?これは蝶々だ




「てょう…てょ?」





ブワッ!!




!? するとなんだ!?なんとNo.794の背中からさっき見た蝶々の羽が生えたではないか!!



しかし驚くのはそれだけではなかった




なんとその羽から巻き散らかされた鱗粉がNo.794の無くなった下半身を完全に治したのだ!!




その隣、No.375が歴史の本に興味を示している




「……?」




ああ…それは刀だ、昔の人はそれで戦っていたんだよ



「きゃ…たな」






ブウン!!





……え




その一瞬、僕の頬に血が流れる




No.375の左腕が刀に変化したのだ






「きゃたな!! きゃたな!!


きゃ!!きゃ!!」




「てょうてょ…きえい」




なんとこの2体は見たのを自分の力に変えることが出来るのか…!!



これは……面白い!!





そして何度も僕は自分の私物の本で2体にたくさんの事を教えた



そこで分かったのがこの2体、好みの内容が違うということ





No.375は戦国武将、恐竜や、戦闘機の図鑑など、攻撃的な内容の本が気に入っている



No.794はその逆だ


祈りの本、可愛い動物図鑑、美味しいお菓子の図鑑など、癒しの内容の本を好んでいる



  つまりこの二人は自分の性格にあった内容の本を好んでそれを自分の力に変えられるのだ


…教えよう、たくさんの事を






僕の愛する息子と娘の為に!!



-----------------------





「そんな感じでハカセは僕達に色々教えてくれた」




歩きながら教えてくれるミナゴ、ハカセの話をするその表情は先程までとは違い、何処か穏やかだ




「ハカセの本、私達大好き、いっぱい知らないが覚えられたの」




「そっか……」




その話を聞くレイも何処か子供を見守る母親のような優しい表情をしている






「優しいお父さんだったんだね」





「お父さん……?」



その言葉に2人はキョトンとする



「ハカセ…お父さんなのか?」



「ハカセ確かにお父さんなのかも…」





見つめ合う二人、すると二人は微笑んだ





「へへ…お父さん」




二人で笑顔を見せ合う




その光景を見てジューサも微笑む




「ホントに仲が良いんだな


こうしてみるとホントに人間みたいだ」




その言葉にレイは首をううんと、横に降る






「人間だよ」



   






「ちゃんとした





私達と同じ人間」







そして何もない空間の中にたった1つ立っている扉の前に来る





「さあここだよ」






「ハカセはこの先」







「……よし」




レイとジューサは互いを見つめ頷き合う、そして覚悟を決め扉を開いた!!








「秒を返して貰おう!!」





- 続く -


































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