第13話 二人のケンカ

「バカバカバカバカ!!!!!」



「だから、何度も謝ってるだろ!!」




やいのやいの


ぎゃいのぎゃいの






「………」



「(……小学生(ガキのケンカが始まった))」






言い合いをしているレイとジューサ



それを遠い目で遠くから見つめるイチ   



なぜこうなったかというと






― 回想 ―



レイとジューサとイチ、3人で依頼を終えた後、イチの家に遊びに来た



「ふふふ♪今日は皆で食べるように朝から作ったったパンケーキがあるんですよ~」



「お!?おう!!(甘すぎないだろうな)」




不安がるイチをよそにニコニコとバスケットの中を開けるレイ、しかし






すっからか~ん




「……」



「…あれ?」



目が点になり可笑しいな、朝作っておいたのになあと頭を傾げるレイ、チラリとジューサの方を見ると





「……」


目を剃らすジューサ、そのほっぺには




「ジューサ…その食べかすは?」



「………」




    






「ごめん」




「……」










「……ブチ💢」



珍しくレイの怒る音がした







― 回想終了 ―




「ジューサはホントに食い意地が張りすぎなんですよ!!!!」




「張ってない!!


てか大切なら自分こそ朝に伝えておくべきだろう!!


だから君はポンコツなんだ!!」





「ポ」



カッチーン






「……豆腐メンタル」



「グサッ」




「……おっちょこちょい!!」


「食いしん坊!!」



「僕がいないと依頼ロクにこなせないくせに!!」



「私がいないとロクにご飯食べられないでしょう!?」




やいのやいの


ぎゃいのぎゃいの





「何ですか!!」


「何だよ!!」




「う~!!×2」




「……」


二人の言い合いを静かに腕を組みながら聞いていたイチ、しかしとうとう我慢の限界が来たらしい




「お前ら」



静かに二人の肩に手を置くイチ




「何ですかイチさ…」


「邪魔をしないでく…」




二人が振り向くとそこには





「騒ぐのは良いがな、ここ俺ん家だから


森の中でやってくんねーかなあ( ^ω^ )💢」



笑顔なのに凄くゴゴゴゴゴゴゴゴという効果音が聞こえた




「ご、ごめんなさーい!!×2」





― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


暫くして、ジューサと喧嘩して別れたレイはぷんすかしながら新しい依頼を受けていた




「バカバカ、ジューサの馬鹿!!」



ぷんぷんしながら歩くレイの向かう先は山の中の薬屋さんから依頼された場所、依頼内容は




【体力回復のポーションを作るのに癒しの葉の材料を集めてほしい


byベレッタ】




目的地へ向かう前にベレッタには「似たような薬草がいっぱいあるのだけど…葉が一本ギザギザになっているのが本命よ? ひとりで大丈夫?」


と心配されていた



「癒しの葉…ジューサがいればどの植物か分かるかもしれないですけど…」


 

自然とジューサの事を考えてしまうレイだがハッとなり首を横にブンブン降る



「ううん!!大丈夫です!!



ジューサがいなくたって出来ますもん!!」






― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



その頃のジューサも




「はあっ!!」



たくさんの魔物と戦っていた




依頼内容【洞窟からバットン(コウモリ)がたくさん町にはびこんで来て迷惑してます


どうか全てのバットンを退治してくれませんか? by町長】



とのことだが、そのバットンの数はなんと軽く1000を超えている!!




「はぁはぁ…ホントに後何体いるんだ…」



ふらふらな体をサーベルを杖にして耐えるジューサ、それに




「空腹がなければ…こんな時レイがいれば途中で体力ポーション入りのパンを食べて体力を……い、いや!! レイがいなくたって、レイが作ってくれたパンが無くったって!!」



レイには頼りたくないと痩せ我慢して立ち上がるジューサ





「さあこい!!まだまだ行けるぞ!!」





----------------------


「はぁはぁ…見つかりません」



たくさん探してるが本命の葉っぱが一向に見つからないレイ、それもそのはずだ


何せここは広い高原、その中でギザギザの葉っぱを1枚見つけなければいけないのだから…





「(ジューサがいれば…私ダメダメだ)」



ペタッとしゃがみこんでしまうレイ



「(こんなにもジューサがいないと私はなにも…)」



諦めかけていたとき遠くから声が聞こえた




「あの…私に手伝わせて」




「その声…」




紫の髪に白い瞳の女性、右手の甲には【6】と書かれていて、彼女の周囲には雨が降り続いている




「…ムーさん!!」




「そう、私です…エヘヘイッテミタカッタ」





----------------------



「ぐっ…意識が…」



まだまだ無数にいるバットン、ジューサの体力も限界まで迫っていた




「うっ…」



そしてついに倒れてしまった!!



「(こんな時レイのパンが…彼女が来る前はお腹が減っても痩せ我慢していたのになあ…)」



倒れながらもうだめだと諦めかけたジューサ



そのジューサにたくさんのバットンが襲いかかる!! だが





ドカアアアン!!!!!





「……?」




「へっへ-ん餅爆弾大成功♪」



一瞬でバットンが全滅した



ジューサの前に立つ青年


左目に【1】とかかれ、着物を着ている、背中には羽子板を背負っている彼はそう




「……イチ!!」




「へへっ、心配してきてみりゃなんてザマだよ♪」




----------------------


「…と言っても私自身じゃなにもできないけど…」


そう言ったムーがレイに手紙を渡す



「これって…」



紙にはこう書かれていた






ギザギザの葉っぱは口笛を吹けば飛んでくる


この世界の植物にはフェアリーが宿っているからフェアリーが持ってきてくれるよ


byジューサ




「…ジューサ?なんで」



「その…ジューサがすれ違った時に頼んできたの








「もしレイを見かけたらこの紙を渡してほしい、彼女は植物の事にまだまだ詳しくない、特にギザギザの葉っぱを探すのは下手っぴ、植物関連の依頼が来たら彼女1人では絶対に迷うだろう」って」





「……!!」




そう、喧嘩した後でもジューサはちゃんとレイの事を考えていてくれたのだ




「私…謝らなきゃ…ジューサ、ありがとう」


受け取った紙を強くかつ優しく握りしめ胸に当て涙を流す




「喧嘩の話…聞いちゃった…謝ろ?…レイ」



心配するムーの前で涙を肘で拭きレイも強く頷く




「…うん!!」   




そしてジューサへの喧嘩への謝罪、そして離れていても助けてくれる優しさに感謝を込めて







「ピイイイイイイ!!!!」




大きく口笛を吹いた!!






----------------------



「ほらよ」


ジューサに肩を貸して立つのを手伝ってあげたイチが彼にある物を渡す





「…!! 体力ポーション入りのパン」



驚きで目を丸くするジューサにイチが説明してくれる



「俺に怒られて二人が出てった後、レイが暫くしてこっそり戻ってきて渡してきたんだぜ







「もしジューサに会ったらこれを渡して下さい、きっとあの子の事だから誰も頼れないとお腹が減っても痩せ我慢して無理に依頼をこなそうとします



ホントに…世話の掛かる弟です


byレイ」ってな」






「だ、誰が弟だ!!」



珍しく赤面して反論するジューサ、イチもにひひと笑ってそれを受け入れる



「けど危うく昔のお前に戻りかけたんじゃねーか?、誰も頼らずお腹が減っても我慢して頑張っちまうお前に



……お前、レイが来てから変わったんだよ、少し人に甘えるようになったんだ」





「……!!」



顔を赤くしながら剃らして貰ったパンをむしゃむしゃ食べる



「……レイの料理がとっても美味しいだけだもん」



「へへっ、そうかよ


たくっ、素直じゃね~なあ!!」



しかしそのジューサは無表情の中から何処か暖かく柔らかい表情が見えた




そんな中、洞窟の中からドシンドシンと大きな音を立てて、巨大な熊型の魔物「ベアーダ」が来る




「…ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」





それを目の前にして二人の目付きが変わる




「…コイツ倒したらレイにちゃんと謝れよ?」



パンの最後の1切れをゴクンと飲み込み、鋭い目付きでサーベルを抜く




「……ああ」




完全回復したジューサがベアーダに飛び込んでいった!!





「礼【レイ】には従うつもりだ!!!!!」




----------------------



「あ×2」



依頼を終えてばったり会う二人




「レイ、その…喧嘩の事はホントに」



目を剃らしながらももじもじ謝ろうとするジューサ、その時ガバッと抱きつかれ




「ジューサ!!!!!ごめんなさい!!!!!」




「ふぇ!?」





「私ジューサがいないとほんとダメダメでえ-!!」




泣きながらほっぺすりすりされるジューサ



「や、やめ…」



ぷはあ!!とレイを突き放すジューサ



お互い息を整えてジューサも落ち着いて話す




「…僕も悪かった、やっぱりレイが必要だ…


ごめん」





「…!!」





「はい!!」



 


「あ」




「え?」





「その」




「仲直りのついでとはなんだけど敬語は止めないか?、よそよそしいしそろそろ仲良くもなってきたし」





「……!!」





また抱き付くレイ





「うん!!わかったよジューサ!!!!!」



 まーたほっぺすりすり




「そ、そこまで距離感縮めていいとはまだ言ってない!!!!!」



突き放して落ち着いて笑顔で話す





「……これからも美味しい料理、作ってくれ、レイ」





「うん……ジューサも私にたくさん勉強教えてね」




その仲直りを遠くでみてたイチとレイもほっとする




「やれやれだな、全く」


「やっぱり二人…仲良し一番」





 





暫くたった日




「ちょっ!!レイ!!やめて」



うさみみ~🐰





「アアアアア!!!!!ジューサ可愛い!!可愛いよ!!次は猫耳!!猫耳行ってみようか!!」




ねこみみ~🐱



「あ、あの…これ…恥ずかし…」




「きゃああああ!!!!!やっぱり女の子顔だから似合うううう!!!!!次これ次これ!!」



ツインテゴスロリ~♥️




「ぼ、ぼくをなんだと…/////」



「ああんもう!!弟もいけるし妹もいけるよ!! 可愛い!!可愛い!!可愛い~!!




……流行りのTS物狙えますねぇ…はぁはぁ、じゅるり」




「てぃ、てぃ-……何?」





遠くで見つめるイチとムー



「…あいつら性別間違えてね?」


「レイ…もうおじさんになってる」







「んふふふふ~私だけの可愛いジューサ~♥️」



ほっぺすりすり


ほっぺすりすり






「や、」

















「…やめろおおおおおおおおおお!!!!!!」





仲直りしたのは良いけど変な性癖に目覚めそうになってるレイなのでした






- 続く -































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