第10話 カボチャ🎃
「…おいお前何やってる
【10(テン)】!!」
「……」
ジューサの言葉に無言で立ち上がるジューサ
「ジューシ君…?」
心配するレイ、顔を俯かせるジューシは段々と顔をゆっくりあげる
「……ふふふ」
「アーハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
「ジューシ君!?」
突然狂喜じみた高笑いを上げるジューシ
驚くレイに嘲笑うような瞳で睨む
「レイちゃんバーカじゃないの~!?
そもそもジューサの弟のジューシなんてそんなベタな展開有り得るわけないじゃーん!!」
「わっ!?」
すると急にボン!!と吹き出た煙の中に隠れるジューシ!!
煙の中の影が変化してその正体を現す!!
「……トリック・オア・トリート!!」
頭はカボチャ、黒いマントを羽織り右手にはステッキ、そして黒い帽子を被ったその姿はまるで魔法使いだった
「僕はジューシなんかじゃない
10月の管理者【10(テン)】!!
ハロウィンのカボチャのお化けさ
ま、よくいう【ジャックオランタン】みたいなもの♪」
それは握っているステッキに10と刻まれた10月の管理者だった!!
「そんな!!私を、街の皆を騙したんですか!?」
「あはははは!そうだよ~!!
だって10月ってハロウィンじゃーん?
トリック・オア・トリート!!
お菓子くれなくても悪戯するぞ~?」
ケラケラと笑うテン、それを見るレイは悲しそうに見つめる
「何故そんな悪戯を!?
管理者は人を助けるんですよね!?」
すると何いってんだコイツというような眼差しでレイを見るテン
「はあ!? 正義の管理者がいるなら裏切り者の悪の管理者だっているに決まってんじゃ~ん、これって王道展開だよね~
それにちゃんと10月の管理者らしく仕事してるもんね~
ハロウィンのお化けらしく
い・た・ず・ら・で☆」
「そんな…」
顔を俯き落ち込むレイ
そんな彼女の前にジューサとイチが立ち
「レイ下がってろ…俺は今無性に腹が立ってる」
珍しく怒りの表情をするイチ、横のジューサも静かながらその目付きは鋭く冷たくテンを睨んでいる
「…裏切ったのか、ジューサ」
「そうだよ~?糞真面目なジューサ君♥️」
「何故だ!?」
「だって人助けとかそんな偽善者運動会つまんないんだもん
それに僕は悪戯専門だし性に合わないもん!!
世のため人の為とかやってらんないよ~だ!!
僕は悪戯してお菓子貰って自分さえ得すればそれで良いんだよ~」
あっかんべーと3人を煽るテン
「てめえ!!」
怒り寸前のイチ、それを押さえろとジューサが宥める
「……組織を裏切った
!!もしかして君が」
冷静に気を保ちながらも何かを察するジューサ
「あっれ!?あれれれれえ!?ばれちゃったあ!?
せいっかい!!流石だねえジューサ!!」
えい!!と右の手の平にボン!!と何かが置かれてそれを3人に見せるテン
その手の平に置かれたのは数字が激しく動くビン、素早く1、2、3、と繰り返している!!
「まさか…それは」
「ピンポーン♪その通りさイチ」
ニヤリと笑いテンは次の言葉を3人にバラした
「…【秒を盗んだのは僕だ】☆」
「!!」
「んだと…このやろう」
「どうしてそんなことを…」
怒るイチと悲しむレイを煽るようにテンはケタケタ笑いながら答える
「だってぇ~時間なんて煩わしいんだもん!!、時間さえなければ僕らは働かずに永遠に楽して生きれるんだ、それも考えずに管理者はお手伝い屋なんてやってて何人の為とか夜の為とかバーカみたい!! 無理に仕事しなくてもいいのにね」
「……!!」
少しその言葉にレイは悲しみの中に怒りも目生えてきた、握りこぶしを作り震える
「…!! 止まった時間の中でも!!
その中でも誰かの為に何かをするのは間違っていません!!
皆今できる何かを考えて行動しています!!
例え…それが止まった時間の中でも!!!!」
「レイ…」
レイの言葉にジューサは耳を傾ける
「ふーん、言うねえ」
テンはレイがこんなに反論してきたのが気に入らないのかつまらなそうな顔をしている
「あっ、そうだレイちゃん、この前あのワンコと一緒にいたよね」
「…ハチさんの事ですか?」
あのワンコ、きっとハチの事だろう、以前共に行動していたことをテンに見られていたのだ
「ワンコの癖に賢くないよね彼、今でも帰ってこないご主人様を待っているし、そこのジューサはとばっちりを受けて嫌われている」
「何が…言いたいんですか…?」
ニヤリと不適な嫌らしい笑みを浮かぶテン
「分からない? さっき僕がジューサそっくりのジューシに化けたんだよ~?
ジューサそっくりの☆」
「!!まさか」
ジューサとレイ、そしてイチまでも合点が一致した
「ピンポーン♪
あのワンコのご主人様をこーろーしたーの―はー」
テンの姿が黒き渦を巻き姿を変える
その姿、レイを騙したジューサそっくりの…
ジューシの姿
「ぼ く だ ♥️」
そう、ハチの主を殺したのはジューサではなく、彼そっくりに化けたジューシ=テンだったのだ
「!!なんて事を」
口に手を当ててショックを受けるレイ
「てめえ…それでジューサに化けて罪をきせようと」
イチの怒りも限界が来ていた
「あっはははは!!そうそう!!
おもしろいでしょー!!
何の罪もないジューサ君が僕のお陰で他の管理者から嫌われるんだから!!」
手を叩きながら高笑いするテン
「…僕に」
「あ?」
それでも落ち着いて話すジューサ
「僕に罪を着せるのは構わない…けど」
ゆっくり腰のサーベルを抜き刃先をテンに向ける…怒りに満ちた鋭い目付きで
「管理者が人殺しをしたことは許せない!!!!!」
睨まれるテンだがそれでも嘲笑うようにケタケタしている「え!?いいのお!?
管理者であろうものが人を殺そうとするなんて
……結局君も僕と同じだね☆」
「…!!」
その言葉に戸惑うジューサ、自分は今テンと同じような行いをしようとした事にガタッと膝を落とし落ち込む
「僕は…僕は」
「フフフ…レイちゃーん!!」
「きゃ!?」
フッと消えたテン、次の瞬間レイの目の前に現れる!!
「確か君明日が誕生日だから時を取り戻したいんだよねえ」
「え、あっ…」
「レイ!!」
「この野郎!!レイから離れろ!!」
レイを救おうとするジューサだがさっきのショックで立つことが出来ない、代わりにイチがレイの元へ向かおうとするが…
「どーして誕生日に拘るのかなぁ~
ちょ~と【見せて貰おうか】」
テンの右手から鍵が現れる
そして
ズン!!
レイのおでこに鍵を刺し、ガチャリと扉を開けるように回す、するとレイの額に現れた光の穴の中に入っていった
バタッと光を失った目を開きながら倒れるレイ
「レイ!!!!!」
ようやく立ち上がることの出来たジューサとイチがレイの所へ急いで向かう!!
「レイ!!おい、しっかりしろ!!
レイ!!レイ!!」
「僕のせいだ…僕が戸惑ったから…!!」
必死にレイを揺するイチ
自分があの時迷わずにテンを斬ればと自らを責めるジューサ
レイはもう
動かなかった
― 続く ―
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