第4話 2人のお手伝いとジューサのお仕事

「すぅすぅ」


レイが気持ちよさそうに眠っている。


するとレイの鼻先に何かくすぐったい感触が伝わってくる



「…んーん?」


なんだか生暖かくてそれでいていい香りがする。恐る恐るゆっくり目覚め目の前を見てみるとそこには



「…へ?」


なんとジューサが眠っていた。生暖かい感触はジューサの寝息だったのだ



「(な、なななんでえええぇ!? 私と一緒に眠ってったってこと!? え~!?)」



顔が赤くなるレイ、頭の中がパニックになりあたふたしながらもジューサを揺さぶって起こそうとするが全く起きない



「ジューサ-!!起きてくださーい!!


何で私と一緒に寝ているんですか-!!」



ぐわんぐわんと揺らし下手したらジューサの首が取れそうな勢いで揺らす!!





「ジューサ-!!」








2時間後


「…ん」


ジューサがようやく目を覚ましたようだ、しかし起こし疲れたレイはゼーゼーハーハーと膝に手を当てて疲れている




「おはようレイ


…何故疲れている?」



「あなたをおごじでだがらでず


…てか何で私とおんなじベッドで寝ていたんですか」



一呼吸を整えてレイはジューサに聞いてみた


するとジューサは眉を下げて悲しそうな表情で答えた



「…一人で寝るのは寂しい」



「(え!? ジューサはいつも家に一人で…!?)」



その言葉に胸を締め付けられるレイ



「それにレイからは僕の大好きなジュースの匂いがする!!」



「(ジュースの匂い!!)」



それは嬉しいのか嬉しくないのかよくわからない言葉だった



気を取り直してジューサがレイに話し掛ける



「レイ、気を取り直して頼みたい事がある」


「へ?何ですか」



話はそとに出てからと、ジューサはレイを連れて外に出た




「……本当にずっと今日なんですね」


麗は宇宙(そら)を見上げてそう呟く



秒が盗まれて永遠の今日となったこの365(ミムゴ)の管理界、しかし眠気が出て睡眠を取ったように確かに睡魔はあるようだ


それに少し小腹も空いてきたので止まったのは時間だけと言う事になる。



「不思議な感じ」


「…用件を話そう」



宇宙を見上げていたレイにジューサが話し掛ける



「あ、すみません


…それでなんでしょうか」



ジューサが事情を話す  


どうやら森の先にあるジャム屋さんの店主【コットル】おばさんからジャムの材料に使用する大量のリンゴーンを集めてきて欲しいらしい




「これも月の管理者の役目でね」


時間が止まったとはいえ流石に管理者として暇は出来ない


各管理者は相談しあって自分の能力を駆使し【お手伝い屋さん】をして働いているらしい


「例えば僕なんかは」


と腰に帯刀しているサーベルを抜き、華麗な剣裁きを見せてくれる


「おおー!!」


「見ての通り剣術を駆使するのが僕の能力なんだ」




「管理者さんって凄いんですね~!!」


「いや、別に…」


「後この国普通に一般の人も暮らしてるんですね!!」


「…流石に管理者達だけしか暮らしてないような治安の悪い国じゃない」


少し羨ましいレイは頬を膨らませて拗ねる


「私にも何かあればいいのに~」


レイの能力は1年が終わった世界を始まりに作り代える力、しかし時間が止まってしまった今意味をなさないじゃないですかー!!やだー!!とジューサに訴える



「…いや、あるだろ、自分の格好見てみ?」



「ぇ」 



レイの格好は幽霊、するとレイの体が透け始め透明になっていく!!




「透けたああああ!!!!!」



「幽霊だけに透明能力か、便利だな」



それはそれとして、ジューサはお手伝いの案内場所まで連れていってくれるそうだ


暫く歩いて公園に来た、その中央には大きな木があり沢山の紙がぶら下がってある



「おー」


「【お願いしまツリー】、紙に書いたお手伝いの以来をこの木にぶら下げて志望された管理者がその人の場所へ向かい依頼内容を引き受ける!!」



「(はっ!)」


何か頭に電流が走ったレイ


「(もしかして、ここで私の取り柄を手に入れるチャンスでは!?)」





~レイちゃんの妄想ターイムはっじまっるよー!!↓



「いやー、助かったよレイ君!!」


「君のお陰で今晩よく眠れるよ!!」



「凄いわ!!レイさんどの管理者よりも優秀なのねー!!」


「はぁはぁ、僕レイたんのファンになりましたブヒ!!


サイン下さ後に踏んづけて下さいブヒ-!!」



レーイ!!


レーイ!!


レーイ!!


レーイ!!










~ 妄想ターイムおーしまいっ!!





「~あはは~嫌々それ程でもありますよ~うふふふふ~」



「最後ヤバイやついなかったか?」



頭を撫でて妄想に浸かりうっとりしているレイをジューサは取り敢えず遠い目で突っ込んでおいた



暫くしてコットルおばさんのジャム屋さんへ向かう二人


お店の前には太めで肝っ玉の良さそうなおばさんが立っていた、恐らく彼女がコットルおばさんであろう


「あらー!!ジューサいらっしゃい!!

おや?そちらのお嬢さんは誰だい?」


「は!!ははは始めまして!!0月の管理者のレイです!!」


初対面なので緊張するレイだがなんとか自己紹介ができ安堵するレイをコットルはんー?と上から下までジーッと見る




「あの~何か?」



「んー?いやーなんかね、ジューサには丁度いい彼氏なんじゃない?と思ったのよ」



「はい!?」


顔が赤くなり沸騰するレイだがジューサが冷静に違うからとコットルに説明した。



「そ!そうですよ!!そういう関係ではありません!!」



慌ててブンブン手を振るレイ、しかしコットルは


「いやあ、おばさんにはわかるわよぉ? ほら、ジューサってば根暗じゃない?」


「ちょっと」


少しムッとするジューサ



「この子にはあんたみたいに明るい子が彼女になってくれた方がいいと思うのよね~


おばさんにはわかるよ?


あんた達はきっといいペアになる!!」


 目をキラッとさせて何かを見少ししているような発言をするコットル、しかしレイは断じて違います!!とブンブンしている




「はーい!!この話終わり!!終わりでーす!!」



手で✕(ばってん)を作り無理矢理中断に進めるレイ、それに同感したジューサも頷き依頼の内容をコットルに尋ねた




「あらそうだったわごめんなさいね!!


内容はツリーに吊るした通りよ」



コットルによると時間が止まった影響でリンゴーンの実が実らなくなり収穫が出来なくなってしまったらしい、他のジャムの材料である果物の実はストックがあるがリンゴーンだけがタイミングが悪いのかストックがゼロなのだそうだ




「でもね!!少し歩いた先の川の端っこの木にたくさん実がなってるってお客さんが教えてくれたのよー!!、あんた達悪いけどあるだけリンゴーンの実を取ってきてくれるかしら?


おばさんは店の番があってね~」




その頼みにレイとジューサは顔を合わせて頷いて


「わ!!わかりましたやりましょう!!」


「仕事の依頼を断るのはNGだからね」



俄然やる気のレイと落ち着いて了承を得るジューサ、二人の返答を聞いてコットルは目を輝かせて二人に抱きついてきた!!




「ありがとねあんた達!! 報酬は高くしとくわよ!!!!!」



「ぐ、ぐるじ…」


「……」



コットルの手をバンバン叩いて外そうとするレイと意識が遠のっていき気絶寸前のジューサだった





二人が歩いて15分程だろうか、コットルの言っていた川についた


「わー、きれいです!!」


川の青はとても汚れなく美しさそのもの、その端っこの木々にたくさんの赤くて美味しそうなリンゴーンがなっていた





「私の世界のリンゴそっくりです!!でもなんでここだけ実がたくさんなっているのでしょう」



「きっとこの清き川の水から溢れている生命エネルギーが植物にも聞いて成長しやすくなっているんだろね」



ふふっと微笑むリンゴーンを集める袋を開けるジューサ、ここに入れてとレイに教えた




「さて、じゃあ仕事を始めようか」


スッとサーベルを抜くジューサ、次の瞬間、ジューサの姿が一瞬で消えた!!




「えええええ!? 消えました!?」



しかし消えたわけではなかった、1本の木からリンゴーンの実がボト、ボトと綺麗に流れるように落ちて行く!!


「え!?なに!?何事ですか!?」




レイが慌てている間にジューサが姿を現して、気づいた時には目の前の木から全ての実が落ちていた!!




「これでよしと」



「ま、まさかジューサが全部やったんですか!?」




「うん」



普通に頷くジューサ、そう、彼は消えたのではなかった、神速で動き華麗なる剣裁きでリンゴーンの実を落としたのだ!!




「凄いです-!!」


称賛しながら袋にせっせと落ちた実を入れていくレイ



「レイも自分の能力を駆使してやってみるといい」



レイの能力は透明化、これをいかせればと握りこぶしをぐっと作り



「はい!!やってみます!!」


 


しかしいざ木の前に行くと



「(…あれ)」










「(動かない物相手に透明化意味ありません!?)」



目を点にして自分の能力に疑問を浮かべるレイ


  

しかしジューサが首を横に振り



「いや、これにおいて透明化は便利だよ」



「果物にですか?」



「そう」



そんな話をしていたら木になってる一個の実が何か振り向いたような気がした


「気のせいですよね?」





「グルルルルゥ」




なんか振り向いた実に1つ目と牙がついてます


「………」



「ギシャアアアア!!!!!」



「きゃあああああああ!!!!」



なんか実が叫んでレイに襲いかかってきた!!



「この国の果物には悪魔の魂が宿ってるから野生動物のように襲いかかってくるから透明化は非常に役立つ


僕みたいに素早く動いて果物が動く前に枝から切り落として地面に叩きつけ気絶させるのが一番効率的だけど」





「早く言ってくださあああい!!!!」



襲ってくるリンゴーンを透けて避け続けるレイ



しかしレイだってただで避けている訳ではない!!



「(こうなったら…)ええい!!」


「ガウ!!」


リンゴーンの体当たりを透けて避け背後に回る!!



そしてリンゴーンを手に掴んだ!!




「後ろ取りました!!」



「おお!!」




しかし



「ガウウウウウウ!!!!!」



「びゃああああ!!!!」



暴れるリンゴーンにそのまま引きづられていくレイ!! まるで爆走バイクだぜ!!




「…一応悪魔の魂宿ってるから果物でも力は悪魔そのものなんだよね」



「早く言ってくださあああい!!!!」



涙目になりながら何処かへ引きづられて行きました


この後ジューサが探してリンゴーンを気絶させレイを助けた





暫くしてリンゴーンを集め終わった二人はコットルのお店へ



「あらー!!ありがとうね二人とも、これ報酬のお金と少しだけリンゴーン持ってて!!」



「え?でもお店の分足りるんですか?」


「いいのよ!!これだけあれば暫く持つわ!!


無くなったらまた頼んじゃおうかしら」




レイとジューサは顔を合わせて頷き笑顔で了承した



「はい!!任せてください!!」





依頼を終えてレイの家、お腹を空かせたジューサの為にレイが手料理を作ってくれるそうだ



「ちーっす!! よお、お二人さん!!」


「あ、イチさん!!」



二人の所へイチも遊びに来た



「ジューサから聞いたぜ、レイもお手伝い屋を始めたらしいな、いよっ、めでたいねえ!!」



「えへへ、ありがとうございます!!


私頑張っちゃいます!!」



「おう!!頑張れよ!!」




「そうだ!!イチさんも私の料理食べてって下さい!!」



「お!?良いのか!! めでたいぜ!!」




テーブルに次々と料理が並べていく



野菜炒めに、ミネストローネ、マカロニサラダにオムライスと見た目は普通の料理だ




「もうお腹空きすぎた」


「いっただきまーっす!!」


「はい!!召し上がれ」



いい笑顔で食べ始める3人


しかしイチだけオムライスを一口食べた瞬間





「(……ん?甘過ぎる)」



他の料理にも手を出してみるが



「(あんんんっま!!)」





「えへへ、実は隠し味にコットルさんから貰ったリンゴーンを擦って料理に全部いれたんですよ~」



照れながら頭をかくレイ




「(それかー!!)」



「で、どうですか!?」


「え!?」



目をキラキラさせて見つめてくるレイ


ジューサは悩んだが作り笑顔を作って




「…う、うまいねえ、めでたい」



その言葉にレイは飛びきり笑顔で手を挙げて喜んだ


「やったー!!これから毎日作ってあげますね!!!!」



「ま!毎日はきっついなあ…」


冷や汗をかきながらジューサを見るイチ、しかしジューサは




「うまい!! うますぎる!!」



目を輝かせてスプーンを休ませず進ませている!!




「(エエエエ!?)」




「こ!!これを毎日作ってくれるのか!?」


「はい!!喜んで!!」




「甘くだ!! たくさん甘くしてくれよ!!」



「うふふ~わかってますよ!!」



普段見せない喜びを見せるジューサとくねくねしながら喜ぶレイ、それを見たイチは



「(料理オンチと甘党味オンチ!!)」



案外いい組み合わせだと二人を見て思ってしまったのでした





続く
































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る