告げられた辞令

例の立てこもり事件から数日が経ち、俺は丸井警部補と共に、署長から表彰されていた。


「大木博一殿、貴殿はこの度凶悪犯の逮捕に貢献したことをここに称える。〇△署署長内田安正」


 そう言われ俺は深々と頭をさげて表彰を受ける。この手の表彰っていつ以来だ?


 そうして表彰式を終えると署長が俺に声をかける。


「ああ、大木君。ちょっと署長室までいいかね?」

「え、はい」


 俺は署長に呼ばれ、署長室に行き、署長室に入ると署長に促されソファーに座る。


「まあ座りたまえ」

「はい」

「本当なら電話連絡で知らせるんだが、君が昇任試験に合格したという知らせがあってね、おめでとう」

「ありがとうございます」


 おいおい、まさか昇任試験にも合格するなんて、何?今俺の人生きてんじゃないの。階級だけなら班長に並んだぞ。


「そこで辞令だが、4月より君には刑事課に異動してもらおうと思う」

「大変ありがたいお話ですが、どうして私に?」

「昇任試験の合格、それから渋井逮捕の貢献があり、丸井君が推薦してねえ」

「丸井警部補がですか⁉」


 まさか丸井警部補が俺を刑事課に推薦してくれていたなんて、あの優秀な刑事に俺認められたのか?


「もちろん、私も君が刑事課で働くことはこれからの君の為にもなると思ってね、期待してるよ大木


 署長まで、俺をそんなにかっているのか、俺はこの時有頂天だったが、この時の俺はある事に気付いていなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る