第11話

 一応仕事だからな。と言ってロクドトはコダタに掛けられた呪いを解く作業を始めた。

「キミ、どうせ暇だろう。少し手伝ってくれないか。患者の頭を抑えながら顎を上げてくれ」

 反論する暇を与えず指示を出してきた。気道確保の事を言っているのだろうか。とりあえず言われた通りにした。

「よし。そのままじっとしていろ」

 ロクドトは机の引き出しから何かを取り出し、それをコダタの首につけた。ぺったりと首に張り付いたそれは、白い光を放ち始めた。

「何ですか、これ」

 触るとぷるぷるしそうな、わらび餅の様な見た目のそれは、段々黒く変色していく。

「ワタシの発明品の一つだ。こいつを魔力に触れさせれば、少量ではあるが魔力を吸収する事ができる。吸収した魔力は……」

 真っ黒に変色したわらび餅を手に取り、ロクドトは続きを言った。

「ワタシのコレクションになる」

 一瞬だけ口角を上げてわらび餅を引き出しに戻した。治療用の道具でも何でもないのかよ。

「いやあ、魔王の魔力を分析するのが楽しみだ。神や魔王クラスの魔力を分析する機会なんて、一生に一度訪れるかどうかといったところだからな。まぁワタシは既に二度その機会が訪れているし、これはワタシが天才たる所以だろう。ああこら顎を上げる手を休めるな。これから棒を突っ込むんだから」

「えっ?」

 私に聞かせているのか独り言なのかも分からない彼の言葉にツッコミを入れる隙も与えてくれないまま、ロクドトは銀色の細長いL字の棒の、長い方をコダタの口に突っ込み喉まで通した。次はこれで何をコレクションする気だ。

 ブツブツと何か呟きながら、ロクドトは棒を持った手を繊細且つ慎重に動かしたり、短い方の先端から中を覗き込んだりする。その手から棒へは魔力が流れ込んでいる。身体の内側から呪いを解いているのだろうか。暫くしてその棒は引き抜かれた。

「これで喉の痛みは引いただろう。内蔵も無事だ。もう手を放していいぞ。キミが呪いと言ったこの魔法はまだ解けてはいないが、これについてはまたキミに質問したい。キミはただ魔力が見えるだけなのか、何の魔法を使用したかまで分かるのか、どっちだ」

「誰が魔法を使ったのかは分かりますが、何の魔法を使ったかまでは分かりません」

 質問の意図は分かりかねるが、今回は素直に答えた。するとロクドトは鼻を鳴らして「だろうな」と言った。素直に答えようが答えまいが、彼に馬鹿にされる事は決まっているようだ。

「何の魔法か分かればこれを呪いだなどと言う訳がない。騙す目的で言うのであれば別だがな。これは探知魔法だ。こいつがイェントックに戻る事を見越して掛けたんだろう」

 探知魔法とは読んで字の如く、何かを探る為に使用する魔法だ。この場合はコダタをGPS替わりに使っていた、と言った方が分かりやすいだろう。

「呪いじゃないなら、何でコダタさんはあんなに苦しんでたんですか?」

 今度は呆れたように溜息をつかれた。

「こいつには首を絞められた跡がある。キミがやったとは思えないから、魔王がやったんだろう?」

「はい」

「魔王の握力がどれ程のものか知らないが、魔力で増強させていたに違いない。だったら当然、相当苦しむ事になる。こいつが無事だったのは奇跡だな。キミが助けていなかったら、今頃ワタシはこいつを解剖しているところだ。だが……端から殺す気であれば、探知魔法を掛ける筈がない。魔王は初めからキミが邪魔をして、こいつと共にここに来る事を分かっていたのか? キミは一体どういう立ち位置にいるんだ?」

 ロクドトは前髪の奥から疑いの眼差しを向けてきた。まさかこんな事を聞かれるとは思っておらず、私は言葉を詰まらせた。

「キミは魔王に攻撃されたコダタを助け、そしてここ、イェントックに来た。それは魔王に見限られたか見限ったかして、こちら側についたとも考えられる。だがこれは計画された事ではないと何故言える? コダタの前でキミと魔王が袂を別ったように見せ、その実魔王がキミをここに送り込ませるという作戦の可能性だってある。ディカニスには基本馬鹿しかいないから、キミを魔王に操られた可哀想な子としか見られないと魔王は考えたんだろう」

「でも……私、ディサエルからは、そんな事、何も……」

「ふむ……」

 言い淀む私を見て、ロクドトは少し考えてからまた口を開いた。

「ならばワタシは敵を欺くと同時に味方も騙したと考えるね。きっとその方がキミも自然な演技ができると考えたんだろう。いかにも魔王といったやり口だな。つまり魔王はキミには何も言わずに計画を立てた。キミが取るであろう行動を予期した上で」

 面白そうだからこいつはこのままにしておこう。と言ってロクドトはコダタに掛けられた魔法を解くのを辞めた。探知魔法だから放っておいても害は無いのだが、魔王の行動を面白がり患者を蔑ろにするような奴に医者を任せているこの組織の事が些か不安になってきた。

「スティルに会うかね?」

 スティルは一応この人が属している組織のトップ(しかも神)の妻(こっちも神)という事になっていたはずだし、コダタも様付けで呼んでいたのだが、彼にとってはそんな事お構いなしのようだ。友人を紹介するような気軽さで言ってきた。

「そんな簡単に会えるんですか? と言うか、私と会わせても大丈夫なんですか?」

「スティルはこの教会の地下室に幽閉されている。見張りがいるからキミ一人では無理だが、ワタシと一緒なら大丈夫だ。スティルだって毎日男の顔ばかり見ていて飽きているだろうから、キミが行けば喜ぶだろうよ」

 地下室に幽閉とは剣呑だ。もとより神であるのだからもっと良い待遇を受けて然るべきだろうに、何故そのような扱いを受けているのだろうか。

「スティルが一人で過ごせるような場所は地下室しかなかったんだ。野蛮人共と雑魚寝は色々とマズい。それに……キミにとっては気持ちのいい話ではないが、野蛮人共も、カルバスも、女性を下に見ている節がある。一応貴賓扱いであはあるが、本質的な扱いはよくない」

「ああ……」

 女性を下に見ている、というのはこの部屋へと歩いていく途中で耳にした騎士たちの声からしてもそうであろう。そういうお前はどうなんだとロクドトに聞きたくもあるが、この人はたぶん相手が誰であろうが同じ態度だ。カルバスに対しても「キミは馬鹿か?」と平気で言う気がする。

「そんな訳だからキミをスティルと会わせてやる……と言うよりも、スティルと会ってくれないか。ワタシもよく会いに行くのだが、まともな話し相手が欲しいと不満を漏らしているのだよ。彼女曰く、ワタシはまともじゃないそうだからな」

 人を思いやる気持ちも持っていたのかと感心したが、最後の一言を不満げに言ったせいで台無しだ。だが会わせてくれるのであれば、その言葉に甘えさせていただくとしよう。ディサエルの妹がどんな人なのか、ずっと興味があったのだ。

「善は急げだ。早速キミをスティルの所に案内しよう。カルバスが帰ってきてからでは面倒だ」

「どこかへ出掛けてるんですか?」

「ああ。大方魔王を仕留める為の罠でも張っているんだろう。今度こそは確実に息の根を止めてやる、と息巻いているからな」

 仕留めるだなんて、そんな獣みたいに言わなくてもいい気がするが……彼らにとってはそれほどの脅威なのだろう。魔王ディサエルは。だがたった数日であれ共に過ごした身としては、ディサエルの事を悪く言われるのは何だかモヤモヤする。

 ロクドトが早く行くぞと言って歩き出してしまったので、モヤモヤしつつも(それとコダタをこのままにしておいていいのか気になりつつも)後についていった。この部屋に入ってきた時に使った扉を開けて先程の広間に出た。そのまま祭壇を横切ろうとした所で、アリスとギンズの二人組がこちらに駆け寄ってきた。

「ロクドト、コダタは無事か?」

 ギンズが不安そうな顔で訊ねてきた。

「ああ、苦しみからは解放された」

 その言葉を聞いたギンズはほっと息をつき、安堵の表情を浮かべた。

「それは良かった。ありがとうロクドト」

「苦しみからは、とは気になる言い方だな。完治してはいないのか? 完治していないのであれば、彼女を連れてどこへ行こうとしているのだ」

 反対にアリスは疑わしい目を向けてきた。

「ほう。キミも少しは頭が使えたんだな。そうだ。完治はしていない。いかな天才であれど、神の力には遠く及ばないという訳だ」

「……何が言いたい」

「何だ。やはり頭は使えないのか。頭の使えないキミにも分かるように言ってやろう。天才であるこのワタシでも、魔王の掛けた呪いを解くのは大変難しいのだ。彼女を連れてどこへ行くのかと聞いたな。呪いを解くヒントを得る為に、スティルに会いに行く。魔王の事をよく知るスティルであれば、何か呪いを解く方法を知っているかもしれない。呪いを掛けられた時の状況を詳しく説明してもらう為に彼女も連れていく。ここまで言えばキミの頭でも理解できただろう」

 途中で口を挟ませない為か、私と会話していた時よりも少し早口で声も張っていた。実際途中でアリスが口を挟む事は無かったが、ロクドトの失礼な物言いが気に障ったらしい。物凄い形相でロクドトを睨んでいる。と言うか周りの人たちも皆ロクドトを睨んでいる。

「スティル様、だ。何故貴様という奴はいつもいつもその様に無礼を働くのだ」

「本人から呼び捨てでいいと言われている。ならばスティルと呼ぶのが礼儀だろう」

「それは貴様が礼儀を知らぬから、スティル様が呆れてそう言っただけではないのか?」

「ふむ。スティルの呆れ顔なら何度も見てはいるが、ワタシの態度に関しては誰に対しても同じだから気に入っていると言っていたぞ」

「何だと……?」

 ロクドトとアリスの間……いや、ロクドトとこの空間にいるディカニスの団員たちの間には、今や一触即発の空気が流れている。薄々感じてはいたし、ロクドトの態度が態度だからそうなるのも無理はないが、ロクドトは殆どの団員から嫌われているようだ。ギンズは中立の立場に見えなくもないが、それでもロクドトのスティル呼びには眉をひそめている。

「キミがそうしてワタシを通せんぼしたいなら好きなだけすればいいが、その間もコダタは苦しみ続けるがいいのか?」

「ぐっ」

 いくらロクドトの事を嫌ってはいても、仲間の命が掛かっているとなると(本当は全然無事なのだが)引かざるを得ない。その事に気がついたアリスは一歩引いた。

「ロクドト。君の腕の良さはここにいる皆知っている。だが君の態度は目に余るものがある。私達相手ならいいが、スティル様にはくれぐれも失礼の無いようにするんだぞ」

 代わりに一歩踏み込んだギンズがロクドトに警告した。対するロクドトはふんと鼻を鳴らしてまたすたすたと歩き出したので、私は急いでその後を追おうとした。だが誰かが私の腕を掴み、それを阻止した。反射的に振りほどこうとしたが、掴む力が強くてそれもできない。その腕の先を見上げると、アリスが怪訝な表情で私を睨んでいた。

「待て。君はロクドトと一緒にいたから、奴の言葉が本当かどうか知っているだろう」

 ヤバい。どうしよう。ロクドトには口で勝てないからと私に矛先を向けてきた。

「本当かどうかって……何の事ですか」

 嘘がバレないように、慎重に言葉を選んで返さなければならない。

「コダタの事だ。スティル様の事を聞いても、何も知らない君には何も分からんだろう」

 それもそうだ。コダタの事を、何と言おう。

「コダタさんは……あの時、魔王に首を絞められていました。それが原因となっていた苦しみは、ロクドトさんが治しましたが……その、首の周りの呪いが、どういう呪いなのか分からなくって、それでスティルさ、様に、会いに行こうとなりました」

 デカくてゴツいのに腕を掴まれ鋭い目つきで見降ろされながら嘘をつくのはこれっきりにしてほしいものだ。滅茶苦茶怖い。

「アリス、そのくらいにしろ。彼女怖がってるぞ」

 気づいてくれてありがとうギンズさん! ギンズのお陰でアリスが手を放し、すまないと形だけの謝罪をした。

「本当は部外者をスティル様に会わせるべきではないが、非常事態だ。失礼な態度はとるなよ」

「……はい」

 ロクドトのせいで私まで嫌な視線を浴びせられながら、それでもスティルに会う為に、ロクドトの入っていった扉を開けた。

 扉を開けた先は医務室と同じような小部屋になっており、その先にもまた扉があった。ロクドトの姿が見当たらないと思ったら、扉の陰になる場所で壁にもたれていた。

「もしかしたら本当の事を言うのかと思ったが、キミも目的の為なら嘘をつくタイプのようだな。さあ、この扉を開けるとすぐ下り階段になっている。踏み外して怪我をするなよ。いらん仕事が増える」

 誰のせいで嘘をつく羽目になったと思っているんだ。だが反論する暇もなく扉を開けて階段を降りていくので、私もその後に続くしかなかった。まぁ扉の前で待っていて下り階段の警告をしてくれただけの優しさはあるようだから、今回は許してやろう。でも最後の一言は余計だ。

 扉を開けた先は石造りの螺旋階段になっていて、所々に火のついた蠟燭が浮かんでいる。階段は壁に沿うようについているが、真ん中は何もない空間になっている。誤って落ちないように気をつけながら降りていった。降りた先にもまた扉があり、ロクドトが開けるとこちらも石で囲まれた廊下が伸びていた。階段と同様に蝋燭が浮かんでいるが、何だか陰気臭い感じがする。確かにこんな所にある部屋に女性を入れるのは、幽閉と言っても過言ではない。そう長くはない廊下の一番奥に、鎧を着た騎士が二人いるのが見える。きっとそこにスティルがいるのだろう。

 廊下を歩き、いくつかの扉の前を通り過ぎると、すぐに二人の騎士の前まで来た。扉の両側に立っている騎士達に、ロクドトは「やあ」と挨拶した。だが二人の騎士は挨拶を返す代わりに、手に持った細身の剣を扉の前で交差させた。こんな所でもロクドトの嫌われっぷりを見せられる事になるとは……なんて言いたい所だが、明らかに私を睨んでいる。部外者がいるのだから、騎士としては当たり前の仕事をしているだけだ。だが、私は先程アリスに腕を掴まれ鋭い視線を浴びせられたばかりなのもあって、恐怖心が少し蘇った。うう、こんな短時間で二度も……。昨日会った人も乱暴気味だったし、ここの人達嫌いだ……。

「言わなくても分かるだろうが、スティルに会いに来た。ここを通させろ」

 そんな私の心境を知ってか知らずか、ロクドトは私を庇うように前に出て言った。

「用件はなんだ」

 騎士の一人が、私から視線を外さずに言った。

「コダタが魔王に呪いを掛けられた。その呪いの解き方が分からないから、スティルに相談しに来た。ほら言ったぞ。さっさと通させろ」

 ロクドトが簡潔に用件を述べたが、それでも騎士達は動く気配すらない。

「その子は何だ」

 もう一人の騎士が厳めしい顔で言った。怖いよぉ……。

「彼女はコダタが呪いを掛けられる所を見ていたそうだ。だから状況説明の為に連れてきた。いいか。ワタシにも解けないような魔王の呪いだぞ。事は急を要するんだ。早く通せ」

 やはり騎士達は動かない。実は人間じゃなくて、喋る石像なんじゃないのか?

「ならば貴様が彼女から話を聞いて、それをスティル様に報告すればいいだろう」

 と、最初に口を開いた騎士。どうやら私を通す気は毛の先程もないらしい。

「まったく。手間を掛けさせるな」

 そう呟くとロクドトは突然振り向き、私の口を抑えて壁際へ押しやり身体が覆い被さる程接近してきた。さっきからずっと恐怖心を抱いていた私は、ロクドトが何故急にこんな事をしてきたのか分からなさすぎて、いよいよ本当に怖くなった。ロクドトは細身ではあるが、男性なので私よりも力が強ければ頭一つ分背も高い。あまりに急すぎて抵抗も何もできず、最早涙目である。

 するとロクドトの背後から、ガチャリと重いものが落ちる音がした。その音を聞いたロクドトが私から離れて振り返ると、私の視界にも二人の騎士が倒れているのが見えた。一体全体、この一瞬で何が起きたんだ?

「ああ、その……すまない。キミを怖がらせてしまったな」

 私の目線の高さまで腰を屈めたロクドトが、その大きな手を私の顔に近づけてきた。私はびくりと身体を震わせ、その反応を見たロクドトははっとして手を引っ込めた。

「……まぁ、無理もないな。こればかりはワタシが悪い。だがキミに危害を加える気は無かった。と言うより、キミも巻き込ませない為に取った行動なんだ。この馬鹿共がキミを通す気が無い事は目に見えて明らかだった。だから馬鹿共を眠らす為に、睡眠薬を混ぜ込んだ煙幕を投げた。効果範囲は狭いが、万が一キミも吸ってしまったらいけないと思ってこんな事をしてしまった。許せとは言わないが、こうした理由があった事だけは理解してもらいたい」

 肩を落とし、元から猫背気味な背をさらに丸くしながら謝ってきた。まだちょっと涙目だし心臓はバクバク鳴っているが、悪気があった訳でも、怖がらせようとしてやった訳でもない事は理解した。だから私はこくりと頷いた。ロクドトは口を何度かパクパクさせてから、消え入るような声で「ありがとう」と言った。感謝の言葉を言い慣れていないんだろう。

 倒れた騎士を避け、両開きの扉の片側をロクドトが押し開けると、部屋の中から真っ白い手がぬっと出てきて、彼の首を掴んだ。

「女の子を怯えさせる奴は入ってくるな」

 真っ白な手は、そのままガンガンと何度もロクドトの頭を扉にぶつけた。私の恐怖心が蘇った事は言うまでもないだろう。

 呻き声は出せども何故か何の抵抗もしないロクドトの首を白い手がぱっと離すと、ロクドトはその場で崩れ落ち、喉を抑えながらむせ始めた。そんな彼を避けながら、真っ白な腕の人物が私の前に現れた。その人物は、ぞっとする程肌も白ければ髪も純白。踝まで丈のあるワンピースも染み一つない白で、先の丸い可愛らしいパンプスもやはり白。周りに漂う魔力の色も白と、あれこれ白づくめだ。しかし瞳の色と、それに合わせたように胸元にひらめくリボンの色の二ヶ所だけが赤い。その人物は氷の様に冷たい目でロクドトを一瞥したと思ったら、一転して少女のようにあどけない笑顔を私に向けてきた。

「女の子が来るなんてすっごい嬉しい! さあ、入って入って!」

 彼女は折れそうな程細い手で私の腕を掴み、気後れする私を無理矢理部屋の中へと誘った。未だに出入り口で蹲っているロクドトに躓かないよう気をつけながら、私は室内に入った。

 その部屋は、恐れを抱く程白かった。

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