いや〜。さすがに電撃の四次審査に進んだ作品! 黙って最後まで読むべしです。
バーニーさんの後書きを読んだ上で、レビューを書くのも烏滸がましいかと思ったのですが、この作品はもっと日の目を見ても良いと思いましたゆえ、駄文をお許し下さいますと幸いです。
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バーニーさんにこんな素晴らしい才能を授けてくれたご両親には感謝しかない! 国民栄誉賞ものだ! 急に何を言い出すかって? そう思ったあなたは、こちらの小説をまず読んでみて下さい。
主人公がストーカーという奇抜な設定から出発。しかも登場するストーカー、1人ではない。結構ドン引きな彼らの行為ですが、ギャグテイストの助けもあり、割とさっくり脳内処理出来る安心設計です。
前半はストーリーの根幹を固める堅実な作り。伏線がしっかり提示されており、後半から着々と回収されて行く安定感があります。そして最後に困った時、まさかアレを使って来るとは……! こういうのを予想するのは割と得意なつもりでしたが、すっかり忘れておりました。実に良く出来ていて天晴れです。
起承転結のはっきりとした王道ストーリー。そうと分かっていてなお、転がるように上がる後半のスピード感。そんなバーニー節に完全に飲まれてしまい、テンション上げ上げのまま、ラストまで心地良く一気読みしてしまいました。
加えて短い作品ながら、脇役まで含めた登場人物の作り込みも必見。バーニーさんの小説の特徴とも言えるかもしれませんが、キャラクター1人1人が生きているように目に浮かぶので、コミカルな文章表現も相まって、漫画を読んでいるような軽快さです。今回のような作品では特に光りますね。
なかなか扱いづらい人物たちがハッピー大団円を目指す。良いじゃないですか。自分は大好きです。