第4話 お父様、お覚悟を。一方的にぶん殴りますわ
家に帰り早速父親のグータの部屋を訪れた。
「父さん。俺は冒険者になったよ」
そう報告すると鬼のような形相をしたグータ。
「ほう?今、なんと?」
「冒険者になった。Eランクだ。これからDランクCランクと上がってSランクを目指すつもりですわ」
眉をひそめたグータ。
予想していたがやはり俺の冒険者になる、という行為にいい思いはしていないらしい。
それもそうか。
アドミラル家の子供は俺だけ。
つまり一人息子であり跡継ぎなのだ。
それが急に危険な職業になる、と宣言したのだから親としては止めたいのが本音だろう。
だが、そんなことで俺は満足できない。
死をすぐ隣に感じるほどのスリルがないと俺は満足できないんだ。
「貴様が冒険者に、だと?笑わせるなよラインハルト」
そう言ってくるグータに答える。
「あぁ。俺は冒険者になる」
「愚か者が、こっちにこい」
そう言われ俺は近寄ると。
バチン!!!!
頬をグータに殴られた。
予想外のことで床に尻もちをついた俺。
普通、殴るかよ。
その後も殴る、蹴るを繰り返してくる。
「教育してやるぞこのバカ息子が!庶民がやるような冒険者になど、ならせるわけがないだろ。貴様はどこまでアドミラル家の名に泥を塗れば気が済むのだ?!!恥知らずのゴミムシが!!!!」
その後俺をゴミを見るような目で見てから、とんでもない事を口に出す。
「前言撤回しろ。今度公爵の令嬢が婚約者を募集される。お前は母さんに似て中性的な顔立ちだ。必ずや口説けるだろう。口説いてこい。その際だが必ず低頭にな?自分を下にして令嬢の機嫌を取るのだ。貴族のたしなみだな」
そう言われ俺は立ち上がった。
この俺に女の機嫌伺って、女をチヤホヤしろだと?
冗談じゃねぇよ!そんなの!
グータの頬をお返しにぶん殴った。
俺がやり返さないと思ったら大間違いだぞ!
「がはっ!!」
椅子から転げ落ちるグータに馬乗りになった。
「俺はぁぁぁぁぁぁ!!!!冒険者になるんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!女の顔色見て、機嫌伺って生きるなんてごめんだぞぉぉぉぉぉ!!!!」
両手を使ってグータの両頬をボッコボコにぶん殴る。
お前の言うことを聞いて女性向けの世界で乙女ゲームーブをしろ、って?
する訳がないだろう!
そんなのお断りですわ!
令嬢との婚約なんてこっちから願いさげですわ!
「お、おぉい!や、……めろぉぉぉ!!!」
そんなような事を言っているグータに答えてやる。
「なんだってぇ?!聞こえねぇなぁ?!認めろよぉぉぉ!!!俺が冒険者になることをぉぉぉぉぉ!!!!!」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!やべてくれぇぇぇ!!!!」
やっと聞こえる言葉が出たので俺は手を止めた。
そしてグータから離れた。
「認めるんだな?」
「仕方ないな。お前の熱意は伝わったぞ。だが、条件がある」
目元を泣き腫らしたグータが条件をつけてきた。
「なんだよ?」
「アドミラル家の名に恥じぬよう、一流の冒険者を目指すことだ。庶民共に負けるなど私は許さん」
「はっ」
鼻で笑った。
普段なら鼻でなんて笑わないがラインハルトのイケメンフェイスなら謎の自信が溢れ出てくる。
「そんなことでいいのかよ?俺なら天下取っちまいますわ」
「ふん。ざれごとを」
そう言ってグータは俺に金を渡してきた。
「軍資金だ。くれてやる」
【10万ゴールドを手に入れました】
「こんなに、ええんですの?」
「あぁ。お前が父親を殴ってまで成し遂げたい願いなのだろう?それを応援するのが私の役目だろう」
こいつ絶対ボコボコにされたから、こんなこと言ってるだけなんだろうなぁ。
でも
「感謝しますわ」
「立派な冒険者になるんだぞ」
そう言われた俺は家を出ることにした。
これから俺の冒険者生活が始まるんですわ!
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