第3話 スライム退治ですわ
俺がギルドに入ると冒険者登録からスタートとなった。
冒険者適性を図るために一番弱いと言われているスライムを倒してこいと言われたが。
「リーナ。スライムはどうやって倒すんだ?」
依頼を受けてやってきた草原。
俺はスライムの倒し方すら知らなかった。
「そ、そこからなんですの?」
「あぁ。そこからだ。教えてくれ」
「ラインハルト様は魔法は使えますか?」
そう聞かれて俺は首を横に振った。
俺は元ただの日本人のおっさんだぞ。
使えるわけない。
「分かりました。では説明してさしあげますわ」
そう言ってリーナは俺に魔法の使い方を教えてくれた。
「これが【ファイアボール】ですわ」
そう言って手本を見せてくれた。
リーナの手には火の玉がふよふよと浮かんでいる。
俺は【ファイアボール】を使う。
しかし火の玉は出なかった。
「もっと簡単なのはないのか?それに俺は魔法より剣を使いたいぞ」
「では基礎剣術の【スラッシュ】などはどうでしょう?念じれば使えるはずですよ」
そう言われて持っていた剣を右手に持った。
そして
【スラッシュ】
スキルを使った。
すると草原に生えていた草がスパンと切れた。
「おぉぉぉぉ!!できたぞ!リーナ!!」
「良かったですわ。その調子で【スラッシュ】でスライムを倒してみましょう」
そう言われ俺はスライムを倒していく。
スパン!
スパン!
スパン!
3体くらい倒したところで異変が起きた。
「リーナ。体がムズムズするぞ」
前世では感じたことのないムズムズを俺は感じていた。
なんだ、この感覚は。
「それはレベルアップですわ」
リーナがそう言った瞬間。
俺の視界にウィンドウが現れた。
【レベルが上がりました】
──────────────
名前 :ラインハルト・フォン・アドミラル
年齢 :12歳
レベル:1→2
攻撃力:1→2
防御力:1→2
魔力 :10→12
体力 :10→13
──────────────
「おぉぉ!!!これがレベルアップなのか!」
「そうですわラインハルト様」
そう教えてくれたリーナ。
俺は理解した。
なるほど、こういう世界なのか、と。
つまり勝てない敵が現れた場合レベルを上げて殴り飛ばせばいいんだな。
レベル制ということはそういうことなんだな。
◇
俺たちは言われていた課題分のスライムを倒したのでギルドに戻る。
無事にEランクの冒険者カードを手に入れた。
「やったぞ!これで冒険者だ!」
俺が喜んでいるのに水を指してくるリーナ。
「初めて見ましたよ冒険者で喜んでいる人」
「そんなものなのか?」
「はい。貴族はこんな仕事やりたがらないので」
どうやらやはりそんなものらしい。
たしかに、俺がギルドにいるとあんまりいい視線は感じなかった。
それほど貴族が冒険者になる、というのは意外な事らしい。
でも俺は前世から思っていたことがある。
自分の命をかけてモンスターと戦う冒険者って素敵じゃない?って。
男の俺にはよく分からないんだよな。こんなスリルを求めず婚約破棄ですわ!とかで満足できる貴族連中共がさ。
やっぱり男ならこうやってモンスターぶっ殺して『死』をスレスレに感じる。
そんなスリルを求めないとね?
もうあのカレリアとかいう女とは婚約破棄した。
俺はどんどんスリルを自由に求めていくのだ。
それこそ俺の転生した意味だと思ってる。
早い話が俺はドバドバのアドレナリンで気持ちよくなりたいだけなのだ。
「リーナ。俺はこのまま冒険者ランクをあげるつもりだ」
そう言ってリーナの顔を見た。
「着いて来れない、というのならもう俺とは縁を切れ」
ここからは男の領分だ。
お前ら女に入ってくる隙間なんてねぇよと言ったつもりだったが
「いいえ、ついていきます、と言いましたわ」
と男顔負けの覚悟を見せてくれる。
ふっ、そうか。
覚悟はできているらしい。
なら、もう二言は無いな。
今日はとりあえず解散することにした。
さっさと帰ってあの父親にこれからのことを話そう。
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